National/Technics SA-54
¥89,800(1960年代後半頃)
解説
オールシリコントランジスタ構成を採用した総合アンプ。
メインアンプ部にはITL回路とOTL回路を採用しており、インプット、アウトプットともにトランスを取り去り、低雑音PNPシリコントランジスタによる完全トランスレス回路を構成しています。これによって大出力と低歪を実現しています。
また、オールトランジスタ設計を採用しており、ドライバー回路にもPNP型シリコントランジスタを採用することでノイズを低減しています。
プリアンプ部とメインアンプ部の分離端子を搭載しており、それぞれ単独で使用できます。
FMチューナーのフロントエンド部にはFETによる2段増幅と4連バリコンを採用しています。これにより感度や選択性能を向上するとともにクロスモジュレーションやスプリアス妨害なども改善しています。
さらに、IF段には5段増幅と2段直結リミッターを採用しており、外部雑音や妨害電波を除去し、受信能力を高めてます。
FMマルチプレックス部にシャープな選択度を持つセラミックフィルターを採用しており、耐湿、耐熱性を改善することで局間雑音による誤作動を抑えています。
AMチューナー部は、高周波段へフォワードAGCをかけることでトランジスタ式AM受信機の欠点を解消しています。また、セラミックIFフィルターを内蔵しており、熱・湿気に対して優れた特性を示し、機械共振を利用して広い受信帯域と鋭い選択性能を得ています。
アンテナには高感度フェライトアンテナを採用しています。
機種の定格
| 型式 | ステレオ総合アンプ |
| 回路方式 | 準コンプリメンタリーSEPP-ITL-OTL |
| <メインアンプ部> | |
| ミュージックパワー(IHF) | 45W+45W(4Ω) 40W+40W(8Ω) |
| 実効出力 | 36W+36W(4Ω) 31W+31W(8Ω) |
| 全高調波歪率 | 0.5%(定格出力時、1kHz) |
| 出力帯域幅 | 15Hz~70kHz -3dB |
| ダンピングファクター | 50(8Ω) |
| 周波数特性 | 20Hz~90kHz +0 -3dB |
| 残留雑音 | 1.5mV以下(8Ω) |
| <プリアンプ部> | |
| 周波数特性 | Phono:30Hz~50kHz ±1dB Aux:30Hz~50kHz ±3dB |
| 入力感度/インピーダンス | Phono:3mV/50kΩ Aux、Tape:160mV/35kΩ |
| SN比 | Phono:65dB以上 Aux:80dB以上 |
| イコライザー | (NF型)Phono:RIAA |
| トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
| ラウドネスコントロール | 100Hz:+7dB、10kHz:+3.8dB |
| ローフィルター | 70Hz、-12dB/oct |
| ハイフィルター | 7kHz、-12dB/oct |
| 入力端子 | MAG、Ceramic、Aux、Tape FMアンテナ端子 AMアンテナ端子 |
| 出力端子 | ヘッドホン、Tape スピーカー(2系統) ACコンセント |
| DINコネクター | 1系統 |
| <FMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz |
| 感度(IHF) | 1.8μV |
| 歪率 | mono:0.5%以下(400Hz、100%MOD) |
| SN比 | 60dB以上(1kHz、100%MOD) |
| イメージ妨害比 | 80dB以上(84MHz) |
| ステレオセパレーション | 40dB以上(1kHz) |
| <AMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 525kHz~1,605kHz |
| 感度(IHF) | 20μV |
| SN比 | 60dB以上 |
| イメージ妨害比 | 70dB以上(1,000kHz) |
| アンテナ | フェライトアンテナ |
| <総合> | |
| 使用半導体 | トランジスタ:53個 FET:2個 ダイオード:29個 |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 220W(最大出力時) |
| 外形寸法 | 幅500x高さ129x奥行357mm |
| 重量 | 12.5kg |