TEAC R-919X
¥89,800(1987年発売)
解説
A.R.H.S.リバース機構を搭載したステレオカセットデッキ。
ヘッド部には回転ヘッド方式の完成度を高めたA.R.H.S.(アキュライン・ローティティング・ヘッド・システム)を開発・採用しています。
A.R.H.S.は、回転部のヘッドホルダーと軸受部に重量が軽くショック吸収力の高い高精度軽量アルミダイカストをミクロンオーダーで加工して使用しています。さらに、回転部の軸受けに世界で初めてシールドタイプの精密マイクロベアリングを2個使用することで、ベアリング内径公差
0 -8μ、ヘッドホルダー軸外形公差 -8 -13μという優れた回転精度を実現し、ショックやゴミ、温度変化等による初期特性の劣化を抑えています。
また、回転ヘッドのストッパー部には、ビッカース硬度1,800Hv、耐荷重24,000kg/cm2を誇る純度99.5%のアルミナ・セラミックスを使用しており、極細ピッチの高精度ステンレス・アジマス・スクリューとの組み合わせで、両方向独立のアジマス微調整を実現しています。さらに、ヘッドの高さ調整を可能にしたティアック独自のヘッド・エレベーション・トリプルギアと相まって、3次元的にヘッドポジションを保持しています。
E・M(Electro Magnetic)ヒステリシス・テンションサーボを搭載しています。
このシステムでは、世界で初めてバックテンション・コントロール用として電磁式のヒステリシス・カップリングを採用しています。これは、一般的に使用されている摩擦ブレーキとは本質的に異なる、電磁結合による非接触ブレーキで、トルク変動が少なく、温度や湿度に対する変化がありません。また、リールの回転数をI.R.(赤外線)フォトリフレクターで検出しコイルの電流を変化させるため、常に一定のテープテンションを獲得しています。さらに、磁性体には新開発のFe-Mn系硬質磁性材を使用し、効果的なブレキートルクを獲得し、一定のテープテンションを実現しています。
また、左右対称、フォワード・リバース専用のツインキャプスタン・システムの採用によりテープテンションの一層の安定が図られています。
キャプスタン駆動、リール駆動、メカニズムにそれぞれ専用のモーターを用た3モーター方式を採用することでで3S(Soft、Smooth、Silent)化を図っています。
電源部は、アンプ系の電源とメカニズム系の電源を完全分離したほか、トランスの巻き線も完全分離することで、相互のノイズ干渉による音質劣化を防止しています。
また、±2電源方式を採用することでアース電位が明確になり、システムノイズが低減され、SN比や過渡応答特性、歪率が改善されています。
アンプ部にはオールDC構成を採用しており、コンデンサーを排除してヘッドとアンプをダイレクトに接続しています。これにより超低域周波数の再生を可能にしたほか、低域成分の歪率の改善も実現しています。
信号の入力から出力まで、アンプ系のほとんどを1枚の基板に集約し、さらに表示部やスイッチ類は基板にダイレクトに接続するkとおで、ノイズの防止と線材の短縮を実現しています。
また、信号系のリード線に伝送特性を向上させるLC-OFCを採用したほか、パーツ類のバラつきを無くし、しかもデジタル対応・高音質設計のオーディオ専用アルミ電解コンデンサーやフィルムコンデンサーを採用することで3S(Simple、Straight、Small)化を図り、信号の濁りや劣化を低減してます。
ノイズリダクションシステムとしてdbxとドルビーB/C NRを搭載しています。
dbx NRは高密度LSIによって入力信号のダイナミックレンジをデシベルで1/2に圧縮して録音し、再生時には正確に2倍に伸長することでテープヒスノイズを30~40dBも低減しており、さらに110dBというカセットの限界を超えたダイナミックレンジを獲得しています。
また、ドルビーB/C NRには高信頼性のワンチップLSIを採用しています。
ドルビーHXプロを搭載しています。
この回路は、デッキの録音時に録音ヘッドに加わる高域信号がバイアスとなって動作することを防止する機能を持っており、信号中の10kHz以上の成分を検出し、それが大きい時はバイアスを小さくするように自動的にコントロールすることで、ハイレベル録音における高域の低下を改善しています。
また、ドルビーHXプロは録音時にのみ動作する回路なので、ドルビーHXプロ非搭載の機種でも再生が可能です。
テープの種類によって微妙に異なる録音条件を最適にするため、BIAS&LEVELのマニュアル・キャリブレーション機構を搭載しています。
BIAS発信回路は、プロ用MTRにも採用されているマスターオシレーターとBIASアンプを内蔵しており、LEVELは±約3dB、BIASは±約20%のコントロールが可能です。
高精度でスピーディなコントロールを実現するため、専用マイコンを2基搭載しています。
まず、システムコントロール用のLSIは、各種入力状態を判断し動作モードを決定しメカニズムコントロールに伝送するほか、カウンタ表示やMemory動作やCPSをコントロールしています。
また、メカニズムコントロール用のLSIは、CAMモーターを制御して指定位置にするほか、Reelモーターの制御やアンプコントロール出力の制御、動作モードの表示を行います。
的確なボリューム調整を可能にするため、L/R以外に、微調整も容易に行えるマスターボリュームを搭載しています。
テープモニター/ソースモニターの切替えを自動化したオートモニター機構を採用しています。
Normal/CrO2/Metalを自動検出するオートテープセレクターを搭載しています。
今の曲から前後15曲芽までの任意の曲をサーチして再生するCPSシステムを搭載しています。
カセットの初端から任意の曲をサーチして再生するCDSシステムシステムを搭載しています。
2点間を反復再生するブロック・リピート機構を搭載しています。
4モード(テープカウンター/テープランタイマー/CPSカウント/CDSカウント)切換えのマルチ電子カウンターを搭載しています。
マイクロプロセッサー・コントロールによるFLマルチファンクションディスプレイを搭載しています。
MPXフィルタースイッチを搭載しています。
金メッキ入出力端子を採用しています。
約4秒のオートレックミュート機構を搭載しています。
16ファンクションキー対応のワイヤレスリモコンが付属しています。
別売りでサイドウッドがありました。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
ヘッド | 録音:ハードパーマロイヘッドx1 再生:ハードパーマロイヘッドx1 (A.R.H.S.方式コンビネーション) 消去:ダブルギャップフェライトヘッドx1 |
モーター | キャプスタン:DCサーボモーターx1 リール:DCモーターx1 メカニズム:DCモーターx1 |
テープ速度 | 4.8cm/s |
ワウ・フラッター | 0.03%(W.RMS) ±0.055%(W.Peak EIAJ) |
周波数特性(EIAJ) | メタル:20Hz~21kHz(25Hz~20kHz ±3dB) クローム:20Hz~20kHz(25Hz~19kHz ±3dB) ノーマル:20Hz~18kHz(25Hz~17kHz ±3dB) |
総合SN比 | 60dB(NR out、3%THDレベル、WTD) 70dB(ドルビーB NR in、5kHz以上) 80dB(ドルビーC NR in、1kHz以上) 92dB(dbx NR in、1kHz) |
ダイナミックレンジ | 110dB(dbx NR in、1kHz) |
早巻時間 | 約80秒(C-60テープ) |
入力感度/インピーダンス | ライン:60mV/50kΩ以上 |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.3V/50kΩ以上 ヘッドホン:8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 27W |
外形寸法 | 幅435x高さ123.5x奥行279.5mm |
重量 | 5.9kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RC-311 |
別売 | サイドウッド CS-406(2枚1組、¥5,000) |