TEAC A-650
¥119,000(1975年12月10日発売)
解説
カセットの枠を超えて理想の音質を追求した2モーター方式カセットデッキ。
操作部にはプッシュボタンオペレーションを採用しています。プッシュボタンはストロークが2mmとなっており、信頼性の高いマイクロスイッチを採用しています。
また、ロジックコントロールによって、どのモードからどのモードへもダイレクトチェンジが可能です。
メカニズム部は、定速走行用と早巻きようにそれぞれ専用のモーターを採用した2メーターメカニズムを採用しています。これにより、プーリーやアイドラーなどの伝達機構が簡略化でき、耐久性が向上しています。
定速走行用には、PLLサーボDCモーターを採用しています。このモーターには、モーターに直結した周波数発電機(FG)からの交流信号を、独立した基準発振器の交流信号と位相比較してモーターの回転を制御する方式を採用しています。これにより、負荷変動や温度変化に強い安定した走行を実現しています。
ピークレベルメーターには、検波回路に両波整流方式を採用したものを採用しています。これにより正負が非対称な実際の音楽信号でも適切にピークを指示できています。
また、A-650では、低レベルの信号まで監視できるよう、対数圧縮によって目盛の指示範囲を-40dBまで拡大しています。さらに、アタックタイム10ms、リカバリータイム750msに設定された本格的な回路構成となっています。
Rec Mute機能を搭載しています。録音中にRec Muteボタンを押せば、PauseまたはPlayボタンを押すまでの間、無信号録音を続けます。
市販のオーディオタイマーと組み合わせることでタイマー録音が可能です。
また、A-650ではTimerスイッチをPlayにしておくことで、タイマー再生が可能です。
メモリーカウンターを搭載しており、あらかじめカウンターを000にプリセットしておけば、巻戻し時に999の位置で自動的に停止/プレイに切換ります。
クローム、フェリクローム、ハイファイそれぞれのタイプに合った専用ポジションが得られる、バイアス、イコライザー独立切換機構を搭載しています。
A-650では独立3段切換で3種類のテープに適合させています。
マイクとラインのボリュームを独立して設けており、マイクとラインのミキシングが可能です。
マイクジャック連動のモノ/ステレオ切換機構を搭載しています。マイク1本でモノラル録音をする場合、Lチャンネルのマイク端子にジャックを差し込むと、信号が自動的に左右に振り分けられ、センターマイクとして使用できます。
過大入力時に信号を自然に減衰させることで、音質劣化を防ぐリミッター回路を搭載しています。
テープヒスを低減するドルビーシステムを搭載しています。
ヘッドには耐摩耗性に優れたHDフェライトヘッドを採用しています。
オイルダンプイジェクトを採用しており、ソフトに開閉が可能です。
メンテナンスが簡単な、取外し式カセットホルダーカバーを採用しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
ヘッド構成 | 消去、録音/再生 |
使用テープ | C-60、C-90タイプ |
モーター | キャプスタン用:PLLサーボDCモーター リール用:メカニカルガバナー方式DCモーター |
ワウ・フラッター | 0.06% |
早巻時間 | 90秒以内(C-60テープ) |
周波数特性 | 30Hz~16kHz(クロームテープ) 30Hz~16kHz(フェリクロームテープ) 30Hz~13kHz(レギュラーテープ) |
SN比 | 57dB(3%THDレベル、WTD) Dolby時改善量:5dB(1kHz)、10dB(5kHz以上) |
入力感度/インピーダンス | ライン:60mV/50kΩ マイク:0.25mV/-72dB/600Ω以上 |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.3V/10kΩ以上 ヘッドホン:8Ω |
外形寸法 | 幅440x高さ177x奥行325mm |
重量 | 13kg |