TEAC A-210S
¥37,800(1972年頃)
解説
クロームテープの性能を引出すため、テープセレクターとHDフェライトヘッドを採用したステレオカセットデッキ。
クロームテープと従来のテープとをスイッチ一つで切換えて使用できるテープセレクターを搭載しています。
ヘッドにはHD(ハイデンシティ)フェライトヘッドを搭載しています。
このヘッドは従来のパーマロイヘッドに比べ硬度が高く、耐摩耗性に優れています。さらに、電磁変換特性を特に考慮した音質重点設計により、高域まで歪の少ないシャープな磁界を作り、録音再生能力を向上させています。また、トラック間のシールドにより、クロストーク特性が優れています。
さらに、ヘッドの特性に一番影響を与えるギャップ部は超精密研削装置により、高精度加工されており、直線性や位相差を改善しています。また、コア部以外もフェライトで覆われており、しかも鏡面仕上げとなっているため、TEAC独自のハイパボリックカーブと相まって、優れたヘッドタッチを実現しています。
HDフェライトヘッドはロスが少ないため、バイアス電流が少なく済み、バイアス電流を多く必要とするクロームテープにも有利な条件となっています。
メカニズム部には、特にカセット用に開発された小型高能率ヒステリシスシンクロナスアウターローターモーターを搭載しています。ローター(回転子)がステーターの外側で回転するため、フライホイール効果が大きく、なめらかな回転を得ています。
左右独立の大型VUメーターを搭載しています。
このメーターの目盛スケールは直線に近いエキスパンデッドタイプなため、低レベルと高レベルでの目盛の間隔が広く、レベル監視がしやすくなっています。
再生時/録音時/停止時のいずれの状態でもロックできる独立したポーズ機構を搭載しています。
また、リーケージフラックスや発熱量が少なく、しかも起動トルクが強いなどの特徴を持っています。
テープラン走行ランプを搭載しており、、テープの走行中は、光の縞が走行方向に動いて、テープが回っている事を知らせます。
3桁のテープアクンターを搭載しています。
テープの飽和点異常のダイナミックマージンを考慮したアンプ回路を搭載しており、より高品質な録音・再生を可能にしています。
マイク用入力端子を搭載しています。
録音入力ボリュームにはスライドボリュームを採用しています。
DINコネクター端子を搭載しています。
別売りで専用アクリルカバーやドルビーユニットがありました。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
使用テープ | C-60、C-90タイプ |
テープ速度 | 4.8cm/s |
モーター | ヒステリシスシンクロナスアウターローターモーター |
ワウ・フラッター | 0.15% |
早巻時間 | 90秒以内(C-60テープ) |
周波数特性 | 30Hz~16kHz(クロームテープ) 30Hz~13kHz(ハイファイテープ) |
SN比 | 50dB |
入力感度/インピーダンス | ライン:0.1V/50kΩ マイク:0.25mV/-72dB/600Ω~10kΩ |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.3V/10kΩ以上 ヘッドホン:8Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 16W |
外形寸法 | 幅423x高さ103x奥行250mm |
重量 | 4.3kg |
別売 | A-210S用アクリルカバー TZ-125(¥2,000) ドルビーユニット AN-60(¥18,800) |