TEAC D-500
¥100,000(1989年頃)
解説
ディストーションシェイパーZD-IIを搭載したD/Aコンバーター。
ディザ方式を利用したZDサーキットをさらに発展させたディストーション・シェイパーZD-IIを搭載しています。
ZD-IIは高域集中型(ハイパス)ディザを用いることでディザ信号を可聴帯域外へ追いやり、大幅なディストーション・シェーピング効果を実現しています。
デジタルフィルターには25bit8倍オーバーサンプリング・デジタルフィルターを搭載しており、遮断特性の緩やかなローパス・フィルターを使用することで、群遅延特性を飛躍的に向上しています。
また、25bit階調の情報を16bitへと変換するため新技術のノイズ・シェイパーを搭載しており、デジタルフィルター段階で切り捨てられた音楽情報を再び演算することで微小レベルでのリニアリティを向上しています。
D/Aコンバーターには、フィリップス社製の中でも最も厳選されたS1バージョンのものを採用しており、優れた変換精度とリニアリティを獲得しています。さらに、左右チャンネル各2DACの完全独立構成とすることでゼロクロス歪を排除しています。
CD、DATやBSチューナーだけでなくサンプリング周波数の異なるソースにも対応するため、新開発のサンプリング周波数自動検出PLL回路を搭載しています。これによりクォーツ発振では困難な3モード対応を実現しています。
シャーシには2重構造のツイン・ボトム・シャーシを採用しています。また、スピーカーから直接音圧を受けやすいフロントパネルには肉厚のアルミ引き抜き材を用い、さらにダンプ・シート付き塩ビ鋼板をトップパネルに使用するなどの制振設計が施されています。
電源部には新開発のRコア・バランスタイプ・トランスを採用しています。このトランスは1次側と2次側をそれぞれ逆方向にトロイダル状Rコアに巻きつけることで有害な電磁ノイズをキャンセルしています。さらに、発熱も極力抑えた高効率の大容量40VAを実現しています。
また、電源コードにはOFC線を採用し、電源部の線材にはPCOCCを用いるなど、高品位化を図っています。
D-500では、+と−のデジタル信号を反転させて伝送するバランス伝送方式を採用しています。これによりアースに流れ込む濁り成分を従来のD/Aコンバーターの約1/4に減少させています。
回路基板には厚手のコンポジット材を採用し、振動や経年変化に極めて強い回路基板を構成しています。また、センターバス・バーを介することでデジタル部とアナログ部を分離し、相互干渉を排除しています。
銅リード線のオペアンプ、高効率のスーパーファースト・リカバリー・ダイオードやカスタムメイドのオーディオ用電解コンデンサーなどのパーツを採用しています。
機種の定格
型式 | D/Aコンバーター |
オーディオチャンネル | 2チャンネル |
周波数特性 | 0~15kHz ±0.1dB(32kHz) 0~20kHz ±0.1dB(44.1kHz) 0~22kHz ±0.1dB(48.0kHz) |
S/N比 | 110dB以上 |
ダイナミックレンジ | 100dB以上(1kHz) |
高調波歪率 | 0.0016%以下(1kHz) |
チャンネルセパレーション | 110dB以上 |
出力 | アナログ:2Vrms デジタル:0.5Vp-p/75Ω(同軸) |
入力 | 同軸:0.5Vp-p/75Ω、2系統 光:2系統 |
D/Aコンバーター | 16ビット4DAC+ZD-II |
デジタル・フィルター | 25bit8fs+ノイズシェーパー |
アナログフィルター | 3次バターワース・フィルター |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 14W |
外形寸法 | 幅225x高さ137.5x奥行457.5mm |
重量 | 10.0kg |