
TANNOY Yorkminster/TK
¥850,000(1台、2002年発売)
解説
往年のオートグラフを偲ぶデザインを採用したプレステージシリーズのスピーカーシステム。
ユニットにはタンノイ独自のデュアル・コンセントリック・ユニットである30cm同軸型2ウェイユニットを搭載しています。
デュアルコンセントリックユニットはウーファーとホーンツィーターを同軸上に組み合わせた構造となっており、2つのユニットから別々に放射される音が同じ点で合成される事で点音源に近い音を実現しています。
磁気回路にはウェストミンスターロイヤルにも採用されたAlcomax-IIIを採用しています。Alcomax-IIIは従来のアルニコ・マグネットの3倍の磁気エネルギーを持ち、駆動力の大幅な向上によってより忠実で応答性の高い動作を実現しています。
ウーファー部にはハードエッジタイプのクルトミューラー社製ガードアコースティックコーンを採用しています。このコーンはコーン紙に特殊な薬剤をコーティングしたタンノイ独自のもので、有害なコーンの分割振動を抑え、トランジェント特性やパワーハンドリング特性を向上させています。
また、エッジにはコットンクロスをツインロール状に成形したハードエッジを採用しています。エッジには特殊フェノール樹脂を含浸させて表面を特殊コーティングしており、強度と耐久性を高めています。
ツィーター部はホーン型ツィーターを採用しています。
ダイアフラムはロール状のエッジまで一体プレスした軽量マグネシウム合金の逆ドーム型ダイアフラムを採用しており、ボイスコイルにはアルミ線ボイスコイルを採用しています。このダイアフラムは6段階プレス法で徐々にドーム形成しており、1回のプレスごとに加熱する事で内部歪みを取り除く処理がされています。
ダイアフラムの反対側には音響的にバランスがとれた空洞を設けてトランジェント特性の向上を図り、歪を軽減しています。さらにホーンのネックに19個のスロートを設ける事で位相の補正を行っています。
ホーン部には真鍮削り出しホーンを採用しています。内面をラッピング処理によって滑面化仕上げする事でホーン表面での乱反射を低減し、より正しい再生位相を確保しています。また、異質の金属を組み合わせた効果で不要共振を排除しています。
ホーン表面には酸化防止の金メッキ処理が施されています。
内部配線にはオランダ Van-den-hul社製の銀メッキ線材であるMCSC(Matched Crystal Silver Coating)ケーブルを採用しており、プリント基板を用いずに各部品間を直結する事で伝送系でのロスを低減しています。
ロックアップ式の高域レベルコントロールを装備しています。
この方式では金メッキが施されたネジとプレートによって確実にロックアップする事で経年変化や酸化などによる接触不良や接触抵抗ロスを防いでいます。
ロールオフは5kHz以上の周波数を+2dB~-6dBで5段階に増減できます。また、エナジーはクロスオーバー周波数から20kHzまでのツィーターのレベル全体を±3dBで5段階調整できます。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しており、背面にバスレフポートを2個設けています。
フロントとバッフルにはバーチ材を使用しており、さらにチーク材の突板処理によって往年のオートグラフの雰囲気を継承しています。
入力端子にはバイワイヤリング接続にも対応した金メッキスピーカー端子を採用しています。
また、音質改善の可能性を広げるため、アース端子をスピーカー端子に隣接して装備しています。
鋳鉄製インシュレーターが付属しています。
リスニングルームや床面などの状況に合わせて脚部のピンポイント脚に合わせて3点支持する事で不要振動や共振を防ぐ事ができます。
タンノイ社製のウッドワックスWW-5が付属しています。
このワックスは蜜蜂の巣から抽出した特殊なワックスを主成分としています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
使用ユニット | 全帯域用:30cm2ウェイ同軸型 |
周波数特性 | 23Hz~22kHz |
能率 | 94dB/W/m |
許容入力 | 150W(連続) 550W(最大) |
入力インピーダンス | 8Ω |
クロスオーバー周波数 | 1.1kHz |
内容積 | 200L |
外形寸法 | 幅620x高さ1,080x奥行447mm |
重量 | 61.5kg |