
TANNOY System 600
¥45,000(1台、1996年頃)
解説
ミキシングやプログラム制作を行う上でメインシステムに求められる要素を備えたスタジオシリーズのニアフィールド用スピーカーシステム。
全体域用として16cm(6.5inch)同軸2ウェイスピーカーユニットを搭載しています。
このユニットはHFホーン(ウェーブガイド)をマグネットのポールピースとする事でLF磁気回路をを構成する必要がなくHF/LFここに最適な磁束が得られています。
同軸ユニットの低域部にはコーン型ウーファーを採用しています。
振動板にはCNCプレシジョン・モールデッドコーンを採用しています。これは、カラーレーションの少ないポリオレフィンコポリマーを、中心へと次第に厚くなるよう精密インジェクションモールドで成型したもので、分割振動モードが最少で高い剛性を持っています。
エッジにはニトリルラバーを採用しています。
低域用ボイスコイルにはアルミニウムをコイル用芯材に採用しています。また、ヒートバリアを備えており、コイル部からの発熱を遮断する事で熱影響から振動板やサスペンションを保護しています。
フレームとエッジの境界にはディフラクションリングを備えており、高域の波動伝播に対して低域の回折や反射波の影響を最小限に押さえています。
同軸ユニットの高域部にはホーン型ツィーターを採用しています。
振動板にはジュラルミンダイアフラムを採用しています。このダイアフラムはスカート部が一体成型されており、ボイスコイルを振動方向軸上の正しい位置に保っています。また、エッジにはニトリルラバーを精密成型して採用しており、幅の狭いエッジとする事でエッジの共振を25kHz以上にしています。
ボイスコイルには低質量・低インダクタンスのアルミ線を銅コーティングを施して使用しており、端末でのハンダ処理を容易にすると共にアルミを酸化から保護しています。また、断面が角形の線材を使用する事で隙間が密となり、より隙間なくコイルを捲くことができ、低インダクタンスのボイスコイルを実現しています。ボイスコイルのボビンにはグラスファイバーを採用しており、湿度の影響を受けにくくすると共に安定した温度特性を得ています。
コイル端末からの引出線にはベリリウム銅線材を使用しており、優れた導電率と高い柔軟性を確保しています。
磁気回路には同意性サマリウムフェライトマグネットを採用しています。
ホーン部には新開発のウェーブガイドを採用しており、より正確な球面波を作り出す事で優れた高域位相特性を実現しています。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
バスレフポートを2つ備えたツインダクテッドポートとしており、バスレフチューニングポイントにおける空気の不規則で高速な流れを最少にし、よりクリアな再生音を実現しています。また、ポート開口部を円曲加工する事でバスレフ共振周波数付近での付帯音を排除しています。
フロントバッフルの稜線部分に円曲加工を施す事でエンクロージャーのエッジ部で生じる回折作用による高域のエネルギー損失を最少にしています。また、内部にはブレーシングと呼ばれる組み合わせ支柱を備えており、低域の余分なエネルギーを低減させる事で音離れの良い音質を実現しています。
ツイーターのマグネット後部と支柱の間にダンプ材を充填する事でマグネットの共振を防いで高域再生音の歪を低減しています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 全帯域用:16cm同軸型 低域用:コーン型 高域用:ホーン型 |
周波数特性 | 52Hz~20kHz ±3dB |
出力音圧レベル | 90dB/W/m(1kHz) |
最大許容入力 | 160W(ピーク) |
連続許容入力 | 80W |
入力インピーダンス | 8Ω |
高調波歪率 | 0.8%以下 |
クロスオーバー周波数 | 1.8kHz |
エンクロージャー材質 | フロント:36mm厚MDF その他:19mm高圧縮パーチクルボード |
内容積 | 13リットル |
外形寸法 | 幅360x高さ220x奥行267mm |
重量 | 7.5kg |