
TANNOY Impulse-15
¥250,000(1台、1986年頃)
解説
ジャンルを問わない表現力と音楽リスニングの楽しさを追求したインパルスシリーズのスピーカーシステム。
ユニットには38cm同軸型2ウェイユニットである3809を搭載しています。
このユニットにはタンノイ独自の同軸2ウェイ方式を採用しており、ダイレクト・ラジエーターのコーン型ウーファーとホーン型トゥイーターを1個の強力なマグネットで挟んだ構造を採用しています。これにより、ウーファーとトゥイーターの2個のユニットから別々に放射された音が同じ点で合成されるため、音像の分離感や定位感に優れ、自然な音場を実現しています。
ウーファー部には独自のガードアコースティック・コーンを採用しています。これは、旧西ドイツのクルトミューラー社特注のハードコーンで、薄いコーン紙に特殊な薬品をコーティングしたタンノイ独自のものとなっています。また、エッジにはハードギャザードエッジを採用しており、優れた弾力特性を持った材料を独自の形状に成型することで重低音をスムーズにし、再生音を歪ませるコーンのエッジ部での共振を抑えています。
ボイスコイルは手で一つ一つ巻いたものをを使用しており、240度の高温に耐える処理が施されています。これによりボイスコイルの機械的強度が向上するとともに連続的な大入力による温度上昇に対しても安全性を向上しています。
トゥイーター部はロール状のエッジまで一体プレス成型したアルミニウム合金の逆ドーム型ダイアフラムとアルミ線のボイスコイルで構成されています。ドーム部は6段階プレス法で徐々にドーム形成しており、1回のプレスごとに加熱することで内部歪を除去しています。ダイアフラムの反対側には音響的にバランスがとられた空洞を設け、トランジェント特性の向上を図ることで歪を軽減しています。
ホーンのネックには19個のスロートが空けられており、位相の補正を行っています。
ネットワーク部にはプリント基板を使用せず、高性能銀メッキ線材で各部品間を直結したハードワイヤードネットワークを採用しており、伝送系ロスを低減しています。
このネットワーク部にはトゥイーターとウーファー用に位相補償回路が組み込まれています。またネットワークの動作インピーダンスはL-PAD
ATTを用いたことで常に一定になっています。
トゥイーターレベルを調整できるレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しており、エンクロージャー材にはパーチクルボードと比較して約1.8倍の高密度を持つMDF(メダイト)材を使用しています。
外観はウォルナットとオークブラックの2色のカラーバリエーションがありました。
サランネットは、ウォルナット仕上げにはゴールドストライプの入ったダークブラウンのものが付属し、オークブラック仕上げにはシルバーストライプの入ったブラックのものが付属しています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 全帯域用:38cm同軸型(3809) |
許容入力 | 300W連続 500Wピーク |
出力音圧レベル | 94dB/W/1m |
公称インピーダンス | 8Ω(最小6Ω) |
再生周波数帯域 | 45Hz~20kHz |
第三高調波歪率 | 1%以下(90dB SPL) |
クロスオーバー周波数 | 1kHz |
コントロールネットワーク | 1.5kHz~20kHz -6dB~+3dB連続可変 |
内容積 | 110リットル |
外形寸法 | 幅500x高さ760x奥行392mm |
重量 | 35kg |