TANNOY Edinburgh
¥398,000(1台、1982年発売)
解説
12インチ同軸2ウェイユニットを用いたフロア型スピーカーシステム。
ユニットには30cm(12インチ)同軸型ユニットである3149を搭載しています。
このユニットはタンノイ独自のデュアル・コンセントリック・ユニットで、ダイレクト・ラジエーションのウーファーとホーンロードのトゥイーターを1個の強力なマグネットを挟んで同軸上に組み合わせた構造となっています。このため、ウーファーとトゥイーターの2個のユニットから別々に放射された音が同じ点で合成されるため、音像の分解能や定位感に優れています。
ウーファー部のコーンにはガードアコースティック・コーンを採用しています。これは、旧西ドイツのクルトミューラー社製のハードコーンに特殊な薬をコーティングするとともに、裏面に8本のリブを放射状に接着したタンノイ独自の構造となっています。これによりコーンの分割振動を抑え、トランジェント特性やパワーハンドリング特性を大幅に向上させています。
また、エッジには特殊な高分子系の材料を独自の形状に成型したタノプラス・サラウンドを採用しており、重低音の再生をスムーズにし、再生音を歪ませるコーンのエッジ部での共振を抑えています。
ボイスコイルは一つ一つ手作業で巻かれたものを採用しており、240度の高温に耐える特殊な処理が施されています。これによりボイスコイルの機械的な強度が増加すると同時に連続的な大入力による温度上昇に対する安全性が向上しており、ハイパワー駆動が可能になっています。
トゥイーター部にはロール状のエッジまで一体プレスした軽量硬質アルミニウム合金の逆ドーム型ダイアフラムと、アルミニウム線のボイスコイルで構成されています。この振動板は6段階プレス法で徐々にドーム形成し、1回のプレスごとに加熱されて内部歪を除く処理がされています。また、ダイアフラムの反対側には音響的にバランスがとれた空洞を設け、トランジェント特性の向上を図り、歪を軽減しています。また、ホーンのネックに19個のスロートで位相の補正を行っており、ウーファーのコーン紙はトゥイーターホーンの延長としての役割も果たしています。
ユニット前面にはダストプルーフキャップが設けられています。
前面バッフルに取り付けられているクロスオーバーネットワークでは、ロールオフとエナジーのに修理の調整が可能です。
ロールオフ調整は5kHz以上の高い周波数を+1.5dBから-3dBの範囲で4段階に増減でき、エナジー調整は1kHzから20kHzまでのトゥイーターのレベル全体を±3dBの範囲で5段階に増減できます。
それぞれの調整つまみはLEVELの位置がノーマルポジションで、フラットな周波数特性が得られます。
エンクロージャーはタンノイ独自のディストリビューテッド・ポートシステムを採用しており、両サイドネットの背面には合計6個所の長円形(幅10mm、高さ197mm、深さ26mm)のポート開口部が設けられています。
このエンクロージャーはウォルナットの無垢材を使用しており、熟練した職人のハンドメイド品となっています。
フロントのサランボードを確実にロックしてハイパワー時の共振を防ぐため、固定用キーを採用しています。
このサランネットにはアイボリーと茶の混紡による特別製2重織のものを使用しています。
ウッドワックスが付属しており、エンクロージャーを磨きこむことでウォルナットの味わいが深まります。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
使用ユニット | 全帯域用:30cm同軸型(3149) |
許容入力 | 100W連続 350Wピーク |
出力音圧レベル | 92dB/W/1m 112dB/100W/1m 117dB/350Wピーク |
公称インピーダンス | 8Ω(5.5Ω最小) |
再生周波数帯域 | 30Hz~20kHz ±3dB |
第三高調波歪率 | 0.5%以下(85dB SPL、50Hz~20kHz) 3.5%以下(112dB SPL、100Hz~20kHz) |
クロスオーバー周波数 | 1.2kHz(12dB/oct) |
コントロールネットワーク | 1kHz~20kHz(±3dB、5ポジション) 5kHz~20kHz(+1.5dB~-3dB/oct、4ポジション) |
内容積 | 200リットル |
外形寸法 | 幅660x高さ1,020x奥行420mm(脚部含む) |
重量 | 44kg |