
TANNOY Edinburgh/HW
¥398,000(1台、1986年頃)
解説
エジンバラの改良型にあたるスピーカーシステム。
ユニットには30cm2ウェイ同軸型ユニットである3149を搭載しています。
このユニットにはタンノイ独自の方式を採用しており、ダイレクト・ラジエーションのウーファーとホーン・ロードトゥイーターを同軸上に組み合わせた構造となっています。これにより、ウーファーとトゥイーターの2個のユニットから別々に放射された音が同じ点で合成され、音像の分解能や定位感に優れた自然な音場を得ています。
ウーファー部の振動板には独自のガードアコースティックコーンを採用しています。このユニットは旧西ドイツのクルトミューラー社製コーン紙をベースに特殊な薬をコーティングしたタンノイ独自のもので、コーンの分割振動を抑えています。
また、エッジ部には特殊な高分子系の材料を独自の形状に成型したタノプラス・サラウンドを採用しており、重低音の再生をスムーズにし、再生音を歪ませるコーンのエッジ部での共振を抑えています。
ボイスコイルは手で一つ一つ巻かれたものを使用しており、240度の高温に耐える特殊処理が施されています。これによりボイスコイルの機械的強度を高めるとともに連続的な大入力による温度上昇の影響を低減しています。
トゥイーター部にはロール状のエッジまで一体プレス成型した軽量硬質アルミニウム合金の逆ドーム型ダイアフラムと、アルミニウム線のボイスコイルを採用しています。このダイアフラムは6段階プレス法によって徐々にドーム形成しており、1回のプレスごとに加熱された内部歪を除去しています。
ダイアフラムの反対側には音響的にバランスがとれた空洞を設けることでトランジェント特性の向上を図っています。また、ホーンのネックには19個のスロートが空けられており、位相を補正しています。
ネットワーク部はプリント基板を使用せずに高性能銀メッキ線材で各部品間を直結したハードワイヤリング・ネットワークとなっており、伝送系ロスを低減しています。
また、レベルコントロール部には新開発の方式を採用しており、金メッキを施したネジとプレートによって確実にロックアップする方式となっています。これにより経年変化による接触抵抗ロスを防止しています。
ネットワーク部ではロールオフとエナジーの2種類の調整が可能です。
ロールオフでは5kHz以上の高い周波数を+2dBから-6dBの範囲で5段階に増減できます。また、エナジー調整では1kHzから20kHzまでのトゥイーターのレベル全体を±3dBの範囲で5段階に増減できます。
エンクロージャーにはタンノイ独自のディストリビューテッド・ポートシステムを採用しており、バスレフのQバリュー(共振量)を抑え伸びのある低音再生を実現しています。さらに、フロントバッフルにはコルク材を張りつめたタンノイ独自のデザインを採用しており、外観上の美しさの追求だけでなく共振による音への悪影響を排除しています。
外観はウォルナット仕上げが施されています。また、前面のサランネットにはアイボリーと茶を混紡した特別製2重織りのものを採用しています。
スピーカーターミナルには最高級Jhon Michell社製の金メッキターミナルを採用しています。
ハイパワー時のサランネットの共振を防ぐため、サランネットボードを固定するキーが付属しています。
たま、タンノイ特性ウッドワックスが付属しています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
使用ユニット | 全帯域用:30cm同軸型(3149) |
許容入力 | 100W連続 350Wピーク |
出力音圧レベル | 92dB/W/1m 112dB/100W/1m 117dB/350Wピーク/1m |
公称インピーダンス | 8Ω(5.5Ω最小) |
再生周波数帯域 | 30Hz~20kHz ±3dB |
第三高調波歪率 | 0.5%以下(85dB SPL、50Hz~20kHz) 3.5%以下(112dB SPL、100Hz~20kHz) |
クロスオーバー周波数 | 1.2kHz(12dB/oct) |
コントロールネットワーク | 1kHz~20kHz(±3dB、5ポジション) 5kHz~20kHz(+2dB~-6dB/oct、5ポジション) |
内容積 | 200リットル |
外形寸法 | 幅660x高さ1,020x奥行420mm(脚部含む) |
重量 | 44kg |