
TANNOY Canterbury 15
¥850,000(1台、1988年頃)
¥840,000(1台、1991年頃)
解説
タンノイの新時代のプレステージシリーズとして開発されたスピーカーシステム。
低域には強力なアルニコマグネット(ALCOMAX-III)を採用した38cm同軸型2ウェイユニットを搭載しています。
このユニットはタンノイ独自の同軸型2ウェイ方式を採用しており、ダイレクト・ラジエーションのウーファーとホーン・ロードトゥイーターが同軸上に組み合わせられています。これによりウーファーとトゥイーターの2個のユニットから別々に放射された音が同じ点で合成されるためスピーカーの1つの理想である点音源化に近づけることができ、音像の分解能や定位感に優れ、自然な音場を得ています。また、ウーファーの振動板はトゥイーターのホーンの延長として機能するように設計されています。
磁気回路には従来のアルニコマグネットの3倍の磁気エネルギーを持つALCOMAX-IIIマグネットを採用しており、より忠実で応答性の高い動作を実現しています。
ウーファー部の振動板には独自のガードアコースティック・コーンを採用しています。
この振動板は旧西ドイツのクルトミューラー社特製のハードコーンで、ナチュラルな特性のコーン紙に特殊な薬品をコーティングしたタンノイ独自のものとなっています。
また、エッジには特殊な高分子系の材料を独自形状に成型したタノプラス・サラウンドエッジを採用しており、再生音を歪ませるコーンのエッジ部での共振を抑えています。
トゥイーター部にはロール状のエッジまで一体プレスした軽量マグネシウム合金の逆ドーム型ダイアフラムとアルミニウム線のボイスコイルを採用しています。ダイアフラムは6段階プレス法で徐々にドーム形成しており、1回のプレスごとに加熱によって内部歪を除去しています。
ダイアフラムの反対側には音響的にバランスがとれた空洞を設け、トランジェント特性の向上を図り、歪を軽減しています。また、ホーンの内面には磨き込み(ラッピング)処理による滑面化仕上げが施されており、ホーン表面での乱反射を低減することでより正しい再生位相を得るとともに、異質金属の組合せ効果で不良共振も排除しています。
ネットワーク部には独自のレベルコントロールを搭載しています。
このコントロール部は金メッキを施したネジとプレートによってロックアップする構造となっており、経年変化による酸化などで起こる接触不良や接触抵抗の増大による信号ロスや伝送歪を防いでいます。
エンクロージャーはバリアブル・ディストリビューテッド・ポート・システムを用いた特殊バスレフ設計となっています。
この方式では、エンクロージャーのポートを開閉することによってオーディオシステムやルームアコースティックの特性に合わせて低域補償量を調整できます。
また、前面のサランネットの上下の化粧板はバーウォルナットとクラウンウォルナットの2種類のバリエーションがあり、受注時に選択できました。
ハイパワー時のサランネット共振を防ぐため前面サランネットボードは固定式となっており、専用キーが付属しています。
タンノイ社製のウッドワックスWW-5が付属しています。
このワックスは蜜蜂の巣から抽出した特殊なワックスを主成分としています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・1スピーカー・特殊バスレフ方式・フロア型 |
使用ユニット | 全帯域用:38cm同軸型 |
許容入力 | 150W連続 500Wピーク |
出力音圧レベル | 93dB/W/m |
インピーダンス | 8Ω(最小5.5Ω) |
周波数特性 | 28Hz~22kHz |
クロスオーバー周波数 | 1.1kHz |
内容積 | 235リットル |
外形寸法 | 幅705x高さ1,100x奥行480mm |
重量 | 68kg |
付属 | サランネットボード固定キー ウッドワックス |