SONY SS-G9
¥288,000(1台、1978年頃)
解説
SONYが発売したGシリーズの中で最上位にあたるスピーカーシステム。
定位を明確にするため、プラムインライン方式を採用しています。これは、音源位置を前後左右にそろえるために、縦1列にユニットをならべ、音源が後方になりがちなウーファーを前にとびださせて配置する方式です。
また、ミッドハイとトゥイーターのユニットを一つのユニットボードに配置これによりユニットが近接化し、上下の指向性を改善してます。
Gシリーズの特徴でもある表面の無数の縦横溝があるバッフルボードは、アコースティカル・グルーブド・ボード(AGボード)といい、比較的波長の短い中高音がここで反射し、それが直接波と干渉しあって特定の周波数が鋭くなったりするのを防止するなど、エネルギーの強い周波数を分散させるディフューズ効果を果たしています。
さらに、エンクロージャーは内部の補強方法で板振動を分散させ、特定の周波数が重なりあうことを避けるという分散設計が施されています。これにより箱鳴り現象を抑えています。
コーン紙にはNASTRANを駆使して設計された形状を採用しています。
低域にはCARBOCONを用いた38cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットの磁気回路は重量7.8kgにも及ぶもので、アルニコVマグネットにより磁束密度は10800ガウスになっています。また、磁気回路のポールとヨークに放射状のスリットを入れ、ボイスコイル近傍のうず電流を断つことで歪や損失を抑えています。その他にも数々の改良を施して歪感を低減しています。
中低域には20cmコーン型ミッドバスユニットを搭載しています。
このユニットでは磁束密度10000ガウスに達する磁気回路を採用しており、直径75mmの大口径ボイスコイルを駆動しています。また、磁気回路の構造はウーファーと同様で、300Hzから1200Hzという重要な帯域をしっかりと再現しています。
中高域には8cmバランスドライブ型ミッドハイユニットを搭載しています。
このユニットはボイスコイル内周側と外周側の駆動条件が等しくなるよう設計されており、ピストンモーション領域の拡大と、充分な音圧エネルギーの確保を両立させています。
また、14,200ガウスに達する磁気回路を採用しています。
高域には3.5cmバランスドライブ型トゥイーターを搭載しています。
振動板は、20μチタン箔を一体深絞り成形法でバランスドライブ型に成形したものを使用しており、さらにダイヤフラム表面には特殊高剛性物質がコーティングされています。18000ガウスに及ぶ磁気回路と相まって、ピストンモーション帯域を20000Hz以上に拡大しました。
ネットワーク部にはハイグレードのフィルムコンデンサーを全面的に採用しています。また、コンデンサーやインダクターが機械的共振を起こすことで信号伝送に悪影響を及ぼすのを防ぐため、剛性が高く共振しにくい音響素材SBMCでがっちりと高圧成形しています。
さらに、信号の伝達ロスを少なくするため、線材には高純度無酸素銅を採用しています。この配線は線径0.18mmのものを58芯まとめたもので、1本1本にウレタン被覆が施されています。
マルチ入力端子を搭載しています。
この端子は、総計27本のビスでしっかりと接点部を締める事で電磁誘導や接触不良による信号劣化をふせいでいます。
機種の定格
方式 | 4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
ユニット | 低域用:38cmコーン型 中低域用:20cmコーン型 中高域用:8cmバランスドライブ型 高域用:3.5cmバランスドライブ型 |
再生周波数帯域 | 27Hz~22000Hz |
出力音圧レベル | 94dB/W/m |
最大出力音圧レベル | 115dB/m |
インピーダンス | 8Ω |
定格最大入力 | 120W |
瞬間最大入力 | 300W |
クロスオーバー周波数 | 300Hz、1200Hz、5000Hz |
レベルコントロール | 中低域用:+3dB~-47dB連続可変 中高域用:+2dB~-48dB連続可変 高域用:+0dB~-50dB連続可変 |
外形寸法 | 幅600x高さ1080x奥行455mm |
重量 | 87kg |