SONY SS-G3
¥48,000(1台、1977年頃)
解説
上級機の技術を取り入れて開発されたGシリーズのスピーカーシステム。
左右の定位に加えて奥行きの方向定位の明確化を図ったPLUMB INLINE方式を採用しています。
この方式では、コーンの形状や材質、取り付け位置の実験を積み重ね、総合的な判断からウーファーが前に出た独特なレイアウトを採用しています。これにより、各ユニットの音源位置をほぼ一直線に揃えています。
バッフルボードに反射した音が直接音と干渉し合い、特定の周波数に山や谷が生じたり、指向特性が鋭くなってしまうのを改善するため、AGボード(Acoustical
Grooved Board)を採用しています。AGボードでは、縦横溝が特定周波数でのエネルギーの強い反射波を分散させるディフューズ効果を果たしており、直接音との干渉を弱め、定位感を改善しています。
ミッドレンジとトゥイーターをできるだけ接近させるため、ユニットボードで一体化しています。これにより上下の指向特性を改善しています。
低域にはCARBOCONを振動板に用いた25cmコーン型ウーファーを搭載しています。
SS-G3では、振動板製造段階でのノウハウを煮詰め、叩解機の改良や炭素繊維の混抄方法、プレス方法に新しい試みを取り入れることによってコーン紙自体の充実を図っています。また、形状はSS-G7/SS-G5と同様にNASTRANの振動解析を指針に、半頂角60゜ストレートコーンを採用しており、リブ付きコルゲーションを施してコーン紙全体の剛性を高めています。
エッジには、軽くて腰が強く網目の均一な綿布を用い、その上に特殊ダンプ剤を手作業ではけ塗りしています。また、フレームにはアルミダイカストを採用しています。
磁気回路には、アルニコV鋳造マグネットを使用しています。また、ポールの材質も歪特性の優れたFC材を用い、これらを磁束漏れの少ない□型ヨークに納めています。さらに、構造的にもポールの形状をT字型にすることによって、振動方向に対し磁場が対称となり磁束密度分布を改善し、非対称歪や第3次高調波歪の発生を効果的に低減させています。
中域には8cmコーン型ミッドレンジを搭載しています。
このユニットは、センターキャップに特殊ダンプ剤をコーティングしており、クセの無い素直な特性を実現しています。
高域には5cmコーン型トゥイーターを搭載しています。
ネットワーク部のウーファー用インダクターには、大入力時の歪特性の優れたオリエントコアに1.2mmφの銅線を巻くことによって抵抗値を0.2Ω以下に抑え、さらに線間の共振の影響を防ぐために特殊樹脂でしっかりと固定させています。
また、コンデンサーには内部損失が少なく、音質的にも優れたメタライズドフィルムコンデンサーを採用しています。
エンクロージャーには密閉構造を採用しています。
フロントバッフルには18mm厚硬質カラ松材パーチクルボード、各面には15mm厚パーチクルボードを使用し、それぞれの面をしっかりと接着させて密閉度を高めてます。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:25cmコーン型 中域用:8cmコーン型 高域用:5cmコーン型 |
再生周波数帯域 | 40Hz~20000Hz |
出力音圧レベル | 92dB/W/m |
インピーダンス | 8Ω |
定格最大入力 | 60W |
瞬間最大入力 | 120W |
クロスオーバー周波数 | 900Hz、5000Hz |
レベルコントロール | 中域用:+2dB~-4dB連続可変 高域用:+3dB~-47dB連続可変 |
外形寸法 | 幅345x高さ615x奥行340mm |
重量 | 17kg |
付属 | スピーカーケーブル3mx1 |