SONY TC-K555
¥108,000(1981年頃)
解説
30年に渡るデッキ技術を結集し、音質に的を絞って開発されたKシリーズのカセットデッキ。
ソニー独自の独立懸架型S&F録音・再生専用ヘッドを採用しています。
このヘッドは占有スペースはコンビネーションヘッドと同等で、2つのヘッドにパッドが均一に当り、アジマス調整もできる独立構造のため、漏洩磁気にも強くなっています。さらにヘッドコア材に採用したS&Fは、センダスト合金の持つ高い飽和磁束密度とフェライトが持つ優れた高域特性を組合わせたもので、優れた特性を得ています。
また、録音時にそのクオリティを確かめられる3ヘッドならではの録音時の同時再生モニター機能も搭載しています。
消去ヘッドには、保持力が高いメタルテープでもクリアに消すため、消去効率を高めたマグネフォーカスF&F4ギャップヘッドを採用しています。
クローズドループ・デュアルキャプスタン方式を採用しています。この方式ではヘッドを中心に配置された2組のキャプスタンとピンチローラーによってテープを挟みこみ、ヘッド付近でのテープ走行を安定化させています。
これにより、ヘッド手前のキャプスタンとピンチローラーで、送り出しリール側からの振動が抑えられるためワウ・フラッター特性が向上し、さらにテープの振動スパンは2組のキャプスタンとピンチローラーにより極めて短く区切られるため、共振周波数を可聴帯域外に追放できています。また、ヘッド手前のキャプスタン回転速度をごくわずかに遅くすることにより得られる2つのキャプスタン間のテープテンションを利用し、常に安定したヘッドタッチが得られています。
ノイズリダクションシステムとして、ドルビーNR Cタイプを搭載しています。
Cタイプでは、帯域分割方式やBタイプ以来のノウハウであるスライディングバンド方式の強化により、ブリージングを徹底的に抑えこんでいます。また、高域でのテープ飽和量改善にも注目し、アンチ差チュ例ションとスペクトラルスキューイングの2つの回路により9kHzで約4dB改善しています。
また、従来からのドルビーNR Bタイプも搭載しています。
キャプスタン駆動用モーターには、トルクむらの原因となるスロットを無くし、ブラシも取り去ったシンプルな構造のBSLグリーンモーターを採用しています。
また、早送り/巻戻し用にはハイトルクDCモーターを搭載しており、巻き径によってテンショントルクが変動するのを抑えるマグネットクラッチを巻きとりリール台に採用し、巻き始めから巻き終わりまで安定したテープ走行精度を実現しています。
さらに、複雑な伝達機構を排したロジックコントロールのシンプルさによってこれら2つのモーターを適正位置に配置し、メカニズム全体の信頼性を向上させています。
録音・再生フラットアンプは、全段をL/Rツインモノ構造にすることで相互干渉を断ち切り、信号の流れに沿ったコンストラクションで全段と後段の干渉を極力抑えています。また、再生ヘッドと再生アンプはダイレクトカップリングとし、コンデンサーによる音質劣化を追放しています。
ドルビー回路も録音用と再生用をそれぞれ専用化し、録音時の同時再生モニターでもドルビーNRの効果が確かめられます。
電源部はFETバッファ回路を採用し、電源系での左右の相互干渉を抑えた±2電源方式としています。
ノーマルテープのバイアス値をジャストチューンできるよう、TYPE1のNORMALポジションに±20%の範囲でコントロールできるバイアスアジャストボリュームを搭載しています。
チューニングは、FM放送の局間ノイズなどを録音/再生切替モニターしながら録音ソースの音に近くなるように合わせる事でできます。
テープセレクターはバイアス/イコライザー同時切替え4段セレクターとなっており、これに連動してそれぞれのテープタイプ別に最適録音レベルを示すプロパーセッティングレベルガイドもピークプログラムメーター内に点灯表示します。
テープの走行量を分秒単位で表示するリニア電子カウンターを搭載しています。
このカウンターは減算機能も搭載しており、マイナス表示も可能です。
-40dB~+8dBを左右それぞれ16のエレメントで表示するピークプログラムメーターを搭載しています。
このメーターはピークホールドと一瞬一瞬のピーク値を同時表示するダブルインジケーション方式となっており、ピークホールドはその時点でのピーク値を約4秒間ホールドした後、次のピーク値表示に自動的に切替ります。
オートプレイ/メモリープレイ機能や、オートスペース付きREC MUTE機能、MPXフィルタースイッチ、別売りタイマーを使用した連続留守録音/目覚まし再生などの機能を搭載しています。
別売りのワイヤレスリモコンやワイヤードリモコンを使用することで離れた場所からの操作が可能です。
また、別売りシンクロリモートコントロールユニットを使うことで、リモコン端子付プレイヤーおよびプレイバックデッキの演奏とタイミングを合わせたシンクロプレイが可能です。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ | |||||||||||||||||||||||||
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル | |||||||||||||||||||||||||
ヘッド | 録音:S&F 再生:S&F 消去:F&F |
|||||||||||||||||||||||||
モーター | キャプスタン用:BSLグリーンモーター 早送り・巻き戻し用:ハイトルクDCモーター |
|||||||||||||||||||||||||
SN比 |
|
|||||||||||||||||||||||||
周波数特性(EIAJ) | 25Hz~17kHz ±3dB(Metallicテープ) | |||||||||||||||||||||||||
周波数範囲(EIAJ) | 20Hz~19kHz(Metallicテープ) | |||||||||||||||||||||||||
ワウ・フラッター(EIAJ) | ±0.06%W Peak(0.04%WRMS) | |||||||||||||||||||||||||
歪率 | 0.5%(DUADテープ、EIAJ) | |||||||||||||||||||||||||
最小入力レベル/インピーダンス | ライン:77.5mV(-20dB)/50kΩ | |||||||||||||||||||||||||
出力レベル/インピーダンス | ライン:-5dB(50kΩ負荷時)/10kΩ以下 ヘッドホン:-20dB~-50dB(8Ω負荷時)/Low |
|||||||||||||||||||||||||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | |||||||||||||||||||||||||
消費電力 | 22W | |||||||||||||||||||||||||
外形寸法 | 幅430x高さ105x奥行285mm | |||||||||||||||||||||||||
重量 | 6.1kg | |||||||||||||||||||||||||
付属 | 接続コードx2 ヘッドクリーニング棒 |
|||||||||||||||||||||||||
別売 | ワイヤレスリモコン RM-80(¥18,000) ワイヤードリモコン RM-50(¥6,000) フットリモコン RM-51(¥8,800) シンクロリモコンユニット RM-65(¥3,000) |