SONY TC-K333ESL
¥79,800(1990年発売)
解説
上級機TC-K555ESLの設計思想を継承したカセットデッキ。
ESシリーズで採用されてきたサイレント&クイックアクションのメカデッキをさらに高精度化させたLapisメカデッキを採用しています。このメカニズムではキャプスタンモーターの軸受けの剛性と耐久性に着目しており、軸受けに硬質なサファイアベアリングを搭載することで、剛性、安定性、耐久性を向上させています。
さらに、モーターには回転ムラの少ない3層リニアトルクBSLダイレクトドライブモーターを採用することで、非常に安定したテープ走行を実現しています。
ヘッドベース部に極めて剛性の高い亜鉛ダイキャストを使用したベリックヘッドベースを採用しており、不要振動の伝達を排除しています。また、安定したアジマス精度位相特性を確保することで高域特性の劣化も防いでいます。
モーター部基台に亜鉛ダイキャストベースを採用し、音圧などの外部振動によって発生する変調ノイズを低減しています。
また、モーター部と木台が一体構造のため、より精度の高い回転が得られています。
ヘッドを中心に配した2組のキャプスタンとピンチローラーでテープを挟み込み、テープ走行を安定させるクォーツロックD.D.クローズドループデュアルキャプスタン方式を採用しています。これにより、ワウフラッター特性の向上やモジュレーションノイズの低減、安定したヘッドタッチなどの数々のメリットを得ています。
録音アンプ/再生アンプを独立した基板にまとめ、上下2段に配置することで相互干渉を抑えています。また、全段L/Rツインモノ/DCアンプ構成とすることでチャンネル間の干渉を排除しています。
99.997%以上の高純度無酸素銅で、結晶粒界が殆ど無い単結晶状のESC-OCC線材を要所に採用しています。
CDの音楽信号をそのまま録音できるCDダイレクトIN端子を搭載しています。
一般的な3ヘッドデッキでは、一般的に同時録再時に起きる再生ヘッドからのバイアス信号の侵入をコイルで防いでいます。しかし、この方法では、バイアス信号を排除する反面、音質を劣化させる原因ともなっていました。
これを改善するため、再生アンプ部にアクティブ型のGICバイアスフィルターを採用することで、バイアス信号を排除しています。
再生イコライザーアンプの入力部にディスクリートFETを採用しており、信号増幅を2段構成としています。
これにより、最初にFETでノイズを抑え、次に音質の優れたOPアンプで増幅するため、高音質とローノイズの両立を実現しています。
システムコントロール系からオーディオ系に漏れる僅かな電流を排除するため、C-MOSバッファを用いてこの電流を1/10000程度に抑えています。
ミッドシップドライブ・システムを採用しており、メカデッキと電源部を中央に配し、コントロール系とオーディオ回路を左右両サイドに分離配置することで、4個の脚部にほぼ均等な重量がかかる良好なウェイトバランスを実現しています。
また、内部を3等分するインナーシャーシを採用することでさらに剛性を高めるとともに、各ブロック間の電磁的な干渉を排除しています。
3ヘッド方式を採用しており、録音用と再生用それぞれに最的なヘッドギャップ幅が設定できるため、2ヘッド方式に比べてより優れたリニアリティと周波数特性を得られています。
また、録音状態をリアルタイムに確認できる録音同時モニターも可能です。
カセットスタビライザーを搭載しており、テープがセットされると同時にカセットドアの内側に設けられたスタビライザーがカセットハーフをしっかり固定し、テープの振動を抑えます。
特にESシリーズでは、フリーアクションのホールディングアームを使用しており、またスタビライザーにはソルボセインを採用することで、有害な振動を効果的に吸収しています。
ヘッドには、アモルファス磁性合金を用いたソニー独自のレーザーアモルファスヘッドをベースに、ヘッド巻線をPC-OCC巻線に変更したPC-OCC巻線レーザーアモルファスヘッドを採用しています。
ドルビーHXプロを搭載しており、録音時に実効バイアス量を1/1000秒単位で最適値にコントロールすることで高域でのオーバーバイアスを防ぎ、高域のリニアリティを改善しています。
スーパーバイアスを採用しており、バイアス周波数を大幅にシフトアップすることで音楽信号との周波数差を拡大し、高域の分解能や特性の改善を図っています。
バイアスキャリブレーション機能を搭載しており、内蔵の発振機により、メーターの指示値を見ながらバイアス値を±20%の範囲で微調整できます。
また、テープ感度による録音/再生のレベル差を無くす録音キャリブレーション機能を搭載しています。
ノイズリダクションシステムとして、ドルビーNR BタイプとCタイプを搭載しています。
電源ケーブルにはキャプタイヤケーブルを採用しています。
また、極性表示が付いているため、極性を合わせる事が可能です。
錆や腐食などの経年変化が少なく、接触抵抗も低い金メッキ入出力端子を搭載しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
また、このリモコンを使用することでソニーのリモコン対応CDプレイヤーとシンクロコードを接続せずにシンクロ録音が楽しめる、ワイヤレスCDシンクロ録音機能を搭載しています。
分秒表示の減算機能も搭載したFL管採用のリニア電子カウンターを採用しています。
再生時の操作をシンプル化したオートモニター機能を搭載しており、プレイボタンを押すとモニタースイッチがソースの状態になっていても自動的にテープに切替ります。
また、オート/マニュアルの選択が可能です。
リアルタイムのピーク表示とピークホールド機能を搭載したピークレベルメーターを搭載しています。
ディスプレイモードスイッチを搭載しており、全灯/カウンターのみの部分点灯/消灯の3モードに切換え可能です。
前後の曲の頭出しが素早くできるAMS(オートマチックミュージックセンサー)機能を搭載しています。
特にESシリーズでは、ワンタッチ操作とすることで使いやすさを向上しています。
オートテープセレクターを搭載しており、タイプI(ノーマル)か、II(ハイポジション)か、IV(メタル)かを自動検出します。
巻戻し後に自動的に演奏をスタートさせるオートプレイ機能や、カウンターゼロにリセットした位置から演奏スタートを始めるメモリープレイ機能を搭載しています。
別売りタイマーを組み合わせることで、留守録音や目覚まし再生が可能です。
ボタンを押すだけで自動的に約4秒間のミューティング録音を行い、一時停止するオートスペースRec
Mute機能を搭載しています。
パワーローディング機能を搭載しており、カセット蓋にテープを入れ、ドアを閉じる事無くプレイや巻戻しなどの操作ボタンを押すと、自動的にテープがローディングされ、動作モードに入ります。
この一連の動作はリモコンによる動作時にも働きます。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
キャプスタン軸受け | サファイアベアリング:1 |
ヘッド | 消去:1 録音:1 再生:1 |
モーター | リニアトルクBSL D.D.モーター:1 DCモーター:2 |
SN比 | 61dB(EIAJ、Dolby off、ピークレベル、Metal-Sカセット) 76dB(Dolby NR C、ピークレベル、Metal-Sカセット) |
周波数特性 | 15Hz~22kHz ±3dB(EIAJ、Metal-Sカセット) |
周波数範囲 | 10Hz~23kHz(EIAJ、Metal-Sカセット) |
ワウ・フラッター (EIAJ) |
±0.04%Wpeak 0.022%WRMS |
歪率 | 0.5%(第3次高調波歪率、1kHz、Metal-Sカセット) |
消費電力 | 24W |
外形寸法 | 幅470x高さ140x奥行380mm |
重量 | 12kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-J701 |