SONY TC-2250SD
¥56,800(1972年頃)
解説
ドルビーシステムを搭載したステレオカセットデッキ。
ドルビー規格に適合できる製品を生産するため、例えば検査システムには従来の2倍の人員と機材を投入するなど、より高品質の生産体制を整えて製造されました。
ヘッドにはF&F(フェライト&フェライト)ヘッドを採用しています。
このヘッドは、耐摩耗性で従来のラミネート型ヘッドに比べ200倍もあり、ヘッドの片減りなどが起きないため、周波数特性に悪影響を与えにくくなっています。
さらに、コア部だけでなくガード部にまで同質のフェライトを採用し、それを非常に高い硬度を持つ無歪ガラスで融合溶着しており、これにより、温度や湿度による変化だけでなく、経年変化によるギャップエッジの崩れや乱れを防いでいます。
また、ブラックミラー仕上げによってゴミの付着問題を解決しています。
電源電圧の変化でバイアスが変動することでドルビーの厳密な特性が得られないのを防ぐため、安定化回路が組み込まれています。また、ヘッドとヘッドアンプの初段FETを直結し、低域における周波数特性やS/Nを改善しています。
ドルビーノイズリダクションシステムは、ノイズに影響されやすい部分を圧縮して録音し、再生時に圧縮した部分を同じ分量だけ拡大させる動作で行います。
これにより、聴感上耳障りなノイズを低減しています。
プリアンプ部は、初段にリニアリティと高域特性が優れ、かつ低雑音のFET2個を使用しています。
また、使用しているシリコントランジスタは低雑音・高利得タイプのものを採用しています。
メカニズム部には2個のキャプスタンの中央にヘッドを置いたクローズドループ・デュアルキャプスタン方式を採用しています。
これにより、常に一定のヘッドタッチが得られるだけでなく、テープが進行中に起こす振動やテンションムラも押さえ、テープの走行安定性を向上しています。
また、モーターには防振対策を施したヒステリシス・シンクロナスモーターを採用し、ワウフラッターを改善しています。
テープセレクターを搭載しており、ソニークロミカセット(CrO2)の性能を引き出した録音・再生が可能です。
SQ4チャンネルの録音・再生が可能です。
ソニー独自のリミッター録音方式を搭載しており、マニュアルでレベルあわせをした後、リミッタースイッチをONにしておけば適性入力の時にはマニュアル録音の状態で録音され、大入力が入った時にだけ自動的にリミッター回路が作動して歪を防止します。
また、スイッチをOFFにすればマニュアル録音も可能です。
メモリーカウンターとのシンクロ動作を正確にするため、電子回路を内蔵したオートシャットオフ機構を採用しており、録音・再生・早送り・巻戻しのどの場合でも、テープが巻き終わった時操作ボタンとヘッド部ピンチローラーが自動的に停止位置に戻り、メカニズムを開放します。
これにより機構部やテープに無用な負担をかけるのを防止しています。
メモリーカウンターを採用しています。
テープの状況がわかりやすいシースルーランプを内蔵しています。
イジェクトボックスの蓋はヘッドを掃除しやすいように簡単に外せる構造を採用しています。
機種の定格
型式 | ドルビー内蔵カセットデッキ |
テープ速度 | 4.8cm/s |
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ |
録音時間 | C-120で往復120分 |
早送り・巻戻し時間 | 1分30秒(C-60にて) |
録音バイアス周波数 | 85kHz |
総合S/N | 49dB(Dolby Inでは、1kHz 5dB、5kHz 10dBの改善) |
総合歪率 | 2% |
周波数特性 | 20Hz~17kHz(ソニークロミカセット使用時) 20Hz~15kHz(一般テープ使用時) |
ワウ・フラッター | 0.1%Wrms |
入力感度/インピーダンス | マイクジャック(2系統):最高感度0.2mV/ローインピーダンス ライン入力ジャック(2系統):最大感度0.06V/100kΩ 録再コネクター(入力側):2.2kΩ |
出力レベル/インピーダンス | ライン出力ジャック(2系統):基準出力0.775V/10kΩ以上 ステレオヘッドホンジャック:8Ω 録再コネクター:8.2kΩ |
使用半導体 | トランジスタ:42個 FET:2個 ダイオード:27個 SMD:1個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 18W |
外形寸法 | 幅400x高さ127x奥行276mm |
重量 | 6.6kg |
付属 | 接続コード RK-74x2 ヘッドクリーニング棒x1組 |