SONY DTC-A8
¥115,000(1995年発売)
解説
CD製作用のアナログ入力44.1kHz録音に加え、つなぎ録りノイズの低減を実現するロールバックREC機能を搭載したDATデッキ。
録音と録音ポーズの操作を頻繁に繰り返す使い方に対応したロールバックREC機能を搭載しています。
録音ポーズの瞬間からさらに数秒間トラックフォーマットだけを記録したままテープを送り、再び録音ポーズ直前のタイミングまで巻戻し、スタンバイとなります。
入出力端子には、オーディオミキサーなどとの接続を考慮し、ピンジャックとともに標準ジャックを搭載しています。
テープ走行をつかさどるキャプスタン用やテープの早送り/巻戻しを行うサプライ/テイクアップの両リール用、そして信号の読み込みを行うヘッドドラム回転用に、それぞれ独立のダイレクト・ドライブモーターを使用した4D.D.モーターメカニズムを採用しています。
各役割ごとにベルト伝達をともなわない専用のモーターを設けたことでモーターの負担を軽減し、テープ走行の精度と安定性を高めています。
A/D変換部には、1ビット方式のモジュレーターを内蔵したパルスA/Dコンバーターを搭載しています。64倍オーバーサンプリングと5次ノイズシェイピングの高速・高精度演算を行うことで、理論SN比119dBを実現しています。
また、サンプリングレートを戻すためのデジタル演算を行うデシメーションフィルターとは分離させ、独立構成としたことで、アナログ信号を扱うモジュレーター部へのノイズの影響を軽減できています。
SBM(スーパービットマッピング)デジタルフィルターを搭載しています。
SBMでは、可聴帯域内に均一に分布する量子化ノイズを人の聴感特性上耳につきにくい高域へシフトするとともに、通常は切り捨てられる下位4ビットの情報をノイズシェイピングの原理を利用して上位16ビットへ繰り込み、大幅なノイズ低減を実現しています。
また、SBMデジタルフィルターでは、内蔵のデシメーションフィルター部で折返し雑音を低減するとともに、SBM部でデシメーションフィルターから出力される24ビットデータの情報量を、ほぼそのまま16ビットデータに変換し、高品質な録音を実現しています。
D/A変換部には、ソニー独自の高精度演算方式を導入し、パルス出力の高密度化を実現したアドバンスト・パルスD/Aコンバーターを採用しています。
片チャンネル4D/A出力、両チャンネル8D/A出力の1チップICとし、コンプリメンタリーPLM動作(互いに補数関係にあるパルス波2出力を差動合成)を行うことで、高調波歪の発生を低減しています。
サブコード機能を搭載しており、スタートID、スキップID、エンドIDの記録や消去が可能です。
スタートIDは曲の頭などを示すサブコードで、曲の開始時に自動的に書き込まれるオートと自分の好きな位置(スタートID直後、SPモード時は9秒間、LPモード時は18秒間を除く)に書き込めるマニュアルの2モードを搭載しています。
スキップIDはテープの再生時に飛ばして聴きたい部分の頭に書き込んでおくIDで、再生中にスキップIDを見つけると次のスタートIDまで早送りします。
また、必要な部分の最後にエンドIDを書き込んでおけば、そこをテープの最後とみなして、再生時はオートリワインド、早送り時はストップします。
再生時にマニュアルで行うスタートIDの書き込み、およびスキップID/エンドIDの書き込みにリハーサル機能を搭載しています。
リハーサル中には音を聴いて確認しながらポイントを前後に0.3秒単位で移動できます。移動時間はディスプレイに表示されるため確認しながら設定が可能です。
また、すでに書き込まれたスタートIDもリハーサルをしながら修正できます。
スタートIDにはプログラムナンバーを振ることができ、再生の際にそのナンバーを指定するだけでダイレクトに選曲することができます。プログラムナンバーは録音時にオートで振られるほか、リナンバーの操作をすることによって振りなおすことが出来ます。
スタートIDを追加したり消去したりすることで不揃いになったプログラムナンバーを修正するため、ワンタッチでテープの頭からナンバーを振り直すリナンバーが可能です。
スタートIDを0.3秒ずつ前につけ直しながらリナンバーするシフトリナンバー機能を搭載しています。
エンドサーチ機能を搭載しており、エンドIDあるいは未録音部を自動的に探し出すことができます。
SCMS(シリアルコピーマネージメントシステム)に対応しており、CDソフトなどをマスターとして一世代分に限りデジタル→デジタル録音できます。また、アナログ入出力端子のみを使う場合、SCMSの制限を受けずに繰り返し録音ができます。
アナログ入力による録音では、従来の48kHzモード(標準)、32kHz・LPモードに加えて、新たに44.1kHzモードを搭載しています。これによりCDフォーマットと同一の録音が可能です。
録音の際に、あとどのくらい記録レベルに余裕があるかをdB単位で表示するデジタルピークマージン表示を搭載しています。ダイナミックレンジの広さを活かしたレベル調整が可能です。
CDのQコードデコード機能を搭載しています。これにより、CDをデジタル入力で録音する際に、デジタルインターフェース上の曲間情報であるQコードをデコードし、自動的に正確なスタートIDを書き込む事が可能です。
デジタルピークレベルメーターを利用したfsマップ機能により、テープ上のおおよその位置にどのサンプリング周波数が録音されているかを視覚的に知る事が出来ます。
別売りで、録音や再生を足で操作できるフットスイッチがありました。
機種の定格
型式 | DATデッキ |
テープ走行メカニズム | 4D.D. |
ヘッド | φ30mm、2ヘッド |
エンファシス | 録音時:OFF固定 再生時:ON/OFF自動切替え |
A/Dコンバーター | パルスA/Dコンバーター+SBMデジタルフィルター |
D/Aコンバーター | アドバンスト・パルスD/Aコンバーター |
サーチ速度 | 200倍(標準) 400倍(長時間) |
周波数特性 | 2Hz~22kHz ±0.5dB |
全高調波歪率 | 0.005%以下(EIAJ、ライン入力) |
SN比 | 90dB以上(EIAJ、ライン入力) |
ダイナミックレンジ | 90dB以上(EIAJ、ライン入力) |
ワウ・フラッター | 測定限界(±0.001%Wpeak)以下(EIAJ) |
入力端子 | ライン:2系統(標準ジャック/ピンジャック) デジタル同軸:1系統 デジタル光:1系統 |
出力端子 | ライン:2系統(標準ジャック/ピンジャック) デジタル光:1系統 デジタル同軸:1系統 ヘッドホン:1系統(ステレオ標準ジャック) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 30W |
外形寸法 | 幅430x高さ125x奥行350mm |
重量 | 約6.0kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-D868 19インチラックマウントアダプター |
別売 | フットリモコン FS-A8(¥3,500) |