オーディオの足跡

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 解説 

新開発のパルス8D/Aコンバーターを搭載するとともに高音質設計が施されたESシリーズのCDプレイヤー。

D/A変換部にはハイデンシティ・リニアコンバーターシステムを採用しており、45ビットノイズシェイピング・デジタルフィルターとパルスD/Aコンバーターを搭載しています。

パルスD/Aコンバーターは1個の電流源と1個の電子スイッチで構成されており、0と1の2つの値を高速でスイッチングすることによって音楽波形を表現しています。これにより、振幅レベルは常に一定で時間軸方向にのみ変化を持たせたPLM(パルス・レングス・モジュレーション)波を出力しています。そして、ローパスフィルターを通すことでオーディオ帯域外の不要高域ノイズを除去し、音楽波形を得ています。
また、パルスD/Aコンバーターには20kHzまでの可聴帯域の量子化ノイズを低減するため、64倍オーバーサンプリングとSony Extended Noise Shaping方式を採用した多段ノイズシェイピング演算を搭載しています。オーバーサンプリングではサンプリング周波数を高くとることで可聴帯域内の量子化ノイズを低減しています。また、ノイズシェイピングではビット数を減らした時に再量子化誤差を入力側にフィードバックして可聴帯域内の量子化ノイズを低減しています。これらの技術によって高いダイナミックレンジを確保しています。
パルスD/Aコンバーターは45メガパルス/秒で動作しており、従来方式では困難であった微分非直線歪やグリッチ、ゼロクロス歪を根本から解消しています。

新開発のパルスD/Aコンバーターは1個で正相と逆相、各LRの信号を出力する4D/A出力となっています。
ESシリーズではパルスD/Aコンバーター2個で8D/A出力としたコンプリメンタリーモードで搭載しています。コンプリメンタリーモードは2個のパルスD/Aコンバーターが互いに相補の関係になるように変調をかけて差動合成するもので、高調波歪を打ち消す効果があり、歪率を向上しています。さらに出力電流値を2倍とすることでSN比を高めています。

ハイデンシティ・リニアコンバーターシステムではパルスD/Aコンバーターの性能を生かすため、前段に45ビットノイズシェイピングデジタルフィルターを搭載しています。
この回路では高精度なオーバーサンプリング演算を実行するとともに演算結果に対して1次のノイズシェイピング演算を行うことで高いダイナミックレンジを確保しています。

ジッターによる問題を解消するため、ダイレクト・デジタル・シンクを搭載しています。
また、この方式ではマスタークロックをパルスD/Aコンバーターと同一チップ上に形成されており、ジッター除去をパルスD/Aコンバーターの最終段である電子スイッチの直前で行うことで原理的にジッターの発生を無くしています。

アナログローパスフィルターにはコンデンサーやコイルなどのパッシブ素子が直列に入らないGIC形ローパスフィルターを採用しています。

ピックアップ部にRFアンプを内蔵することでローノイズ・高安定化を図っています。

デジタル信号処理LSIにはソニーCDプレイヤー用第4世代LSIを採用しており、従来外付けだったRAMを容量32kビットにアップしたうえで内蔵しており、さらに厳密な6重エラー訂正方式を採用することで信号処理能力の的確さを高めています。

光ピックアップのドライブ回路には新設計のファインドライブを採用しています。
この回路では従来片側アースとなっていたシングルドライブ回路を±2電源方式によるバランスプッシュプルドライブ回路とすることでアースと分断しており、ノイズ電流の電源ラインへの混入を無くし、よりクリーンな光ピックアップドライブを実現しています。

サーボ回路には帯域外のノイズに働くSサーボIIIと、サーボ帯域内に働くアドバンスドTSサーボを搭載しています。
SサーボIIIではサーボ電流の高域ノイズ成分をローパスフィルターで除去し、滑らかなサーボ電流を供給しています。これにより電源部からの電力供給を安定させ、音質への悪影響を防止しています。
アドバンスドTSサーボはサーボ動作に不要な電流を10dB近く減らすとともに、光ピックアップのアクチュエーター部に新開発の制振機構を設け光学系の静粛性をより高めています。

ディスクの回転を制御する駆動系サーボ回路にはデジタルCLVサーボを搭載しています。
デジタルCLVサーボではスピンドルモーターの回転を検出し、これを10ビットの分解能でコントロールしています。これによりディスクの内周、外周を問わず正確な線速度を維持しています。また、12cmCDと8cmCDのディスクの慣性質量の違いも検出し、より適切なドライブを行っています。

振動や共振によるトレース精度低下を防ぐため、光学系メカの土台にはGベースユニットを採用しています。
Gベースユニットは組成が大理石と同じ炭酸カルシウムを特殊樹脂に加えてグラスファイバーで強化したもので、共進鋭度を下げ、外部振動の影響を少なくするとともに高い剛性を得ています。

トレイが収納されるフロントパネルの開口部にはアコースティックシールドを搭載しており、特殊ゴム材によるダンパーを設けて気密性を向上し、シャーシ内部に入り込む空気振動の影響を低減しています。
また、トレイ自身にはGベースユニットと同じ素材の高剛性Gトレイを採用し、不要振動がディスクに伝わるのを防止しています。

シャーシ構造にはFBシャーシを採用しており、外周を取り囲むフレームと、フロントとリアの前後を渡すビームによってシャーシ全体を強固にジョイントし、振動に強い構造を実現しています。また、CDP-X555ESではシャーシ内部を銅メッキ処理し、非磁性化を図っています。
脚部にはファインセラミックインシュレーターを採用しています。

電源部は2トランス構成となっており、デジタル・サーボ部とオーディオ部を独立給電しています。さらに、D/Aコンバーター部に対しては電源回路を設け、電源を介しての干渉を根本から無くしています。
また、機構的にもトランスの振動を伝えないよう、4ヶ所にゴムダンパーを使用してフローティング設置しています。

回路基板構成にも配慮が加えられており、デジタル回路とオーディオ回路の基板を分離したセパレートシート構成によってデジタル部からアナログ部への干渉を抑えています。
また、オーディオ回路基板には基板内振動や静電浮遊容量による音質劣化を防ぐ高強度ガラスエポキシ製ES基板を使用しています。

フロントパネルにはアルミパネルを採用し、側面にはサイドウッドを装備しています。


カスタムエディット機能を搭載しており、ピークサーチ、タイムエディット、ジャストエディット、プログラムエディット、マルチディスクプログラム、リンクエディット、タイムフェード、バリアブルフェード、マニュアルフェーダーの9つの機能を搭載しています。

ピークサーチでは全曲を高速サーチし、音量レベルの一番大きい箇所の前後約4秒間を繰り返し再生します。

タイムエディットはテープ録音時のA面とB面の編集が効率良く行えます。
まず、使うテープの長さに合わせて編集する場合はTIME SETボタンまたはAMSボタンでテープの長さをセットし(ダイレクトキーで秒単位のセットも可能)、エディットボタンを押すと、まずA面分として1曲目から順番にプログラムして、タイムオーバーの曲にぶつかったら、時間内に収まる曲のうち一番長い曲をセレクトします。その後エディットボタンを押すと同様にB面の編集を行います。
また、AMSボタンでハーフディスクを選択してエディットすると、曲順を入れ替えずにテープA面とB面が同じくらいの長さになるように曲を振り分けます。

ジャストエディットはタイムエディットを発展させたもので、指定した時間に最も近い曲の組合せを自動的に探しだしてプログラムします。
タイムエディットと同様にA面分とB面分を同時にセットできます。

プログラムエディットでは好きな曲を好きな順番にマニュアルで編集できます。
AMSキーかダイレクトキーで積算時間を確認しながら好きな曲を好きな順番にプログラムします。この時オートスペースをオンにすれば、各曲の演奏時間に3秒ずつのブランクを加算してエディットできます。ポーズボタンを押したところでA面分、続けてB面分までまとめてプログラムできます。

マルチディスクプログラムでは複数のディスクにまたがって編集できます。
プログラムモードでプログラムし、トレイをオープンすると「MULTI PGM」の表示が出て自動的にマルチディスクプログラムに移行します。プログラムは最大6枚(24曲)までできます。また、途中でポーズをプログラムすることもできます。

リンクエディットは、タイムエディットやジャストエディットで余ったテープに曲を追加できます。
すべての曲をプログラムして、さらにエディット時間内に曲が入る余地がある時は、入る曲のトラックナンバーとLINKの表示が点滅し、点滅しているトラックナンバーの曲の中から再度選択して曲を追加できます。
また、リンクエディットはディスクを入れ替えてエディットを継続することも可能です。

タイムフェードでは指定した時間にフェードアウトさせることができます。時間設定はTIME SETボタンかAMSボタンで行います。

バリアブルフェードによってフェードイン/・フェードアウトする時間を2秒から10秒まで1秒単位でセットできます。

マニュアルフェーダーでは好みの箇所でフェードイン/フェードアウトができます。


カスタムファイル機能を搭載しており、ディスクメモ、カスタムインデックス、プログラム/デリートバンク、レベルファイル、ラストモードメモリー、ファイルリコールの6つの機能を利用できます。

ディスクメモではディスク1枚につき最大10文字までメッセージが記録できます。使える文字は英数字と特殊記号、ブランクを加えた78文字になります。

カスタムインデックスでは、ディスクにインデックスの好きな個所に自分だけのインデックスが付けられます。セットはディスク1枚につき最大10ポイントまで行え、約±0.15秒ステップの微調整が可能です。

プログラム/デリートバンクではプログラム演奏や99曲対応デリートプレイの設定を記録しておくことができます。

レベルファイル機能ではディスクごとに異なる再生レベルを設定できます。
ラインアウト/ヘッドホンボリュームを好みの音量に合わせてレベルファイルボタンを押すだけで設定でき、同じディスクを入れた時は自動的にメモリーしたレベルにセットされます。

ラストモードメモリーではカスタムファイルをつけたディスクのとり出す直前にセットされていたプレイモード、フェードタイムをメモリーでき、同じディスクを入れた時にはそのモードが自動的に呼び出されます。

ファイルリコールではどんなファイルを入れていたかをチェックできます。
この機能はディスクをセットしてなくても呼び出すことができ、しかも不要なファイルはその場で消去できます。



デリートプレイ機能を搭載しており、聴きたい曲だけを残しての連続演奏が可能です。シャッフルモードで不要な曲をデリートした後、コンティニューモードに切換えて演奏すると、その曲を飛ばして次の曲を演奏します。
また、99曲デリートシャッフル機能を搭載しており、好きな曲だけを残してランダム演奏することができます。

ミュージックスキャンを搭載しており、曲の冒頭の部分だけを次々に演奏することができます。
演奏時間は10秒、20秒、30秒の3通りが選択できます。

オートキューを搭載しており、ポーズ状態で音の立ち上がるところまで自動的にサーチできます。

最大24曲のプログラム演奏機能や、1曲/全曲/部分(リモコンのみ)/プログラム/デリートプレイ/シャッフル/デリートシャッフル/カスタムインデックスの8モードリピート、インデックスサーチなどの機能を搭載しています。

ディスプレイ部には20曲ミュージックカレンダーを搭載しています。
また、ディマーコントロール機能を搭載しており、ディスプレイの明るさを3段階に調整でき、さらにディスプレイモード機能によってディスプレイ部の全灯/部分点灯/消灯が切換えられます。

光デジタル出力を搭載しています。

固定と可変の2系統のラインアウト端子を搭載しています。
また、リモコン操作時にLEDが点滅するラインアウト連動ボリューム付きヘッドホン端子を搭載しています。

ワイヤレスリモコンが付属しています。
このリモコンにはオートスペース機能を搭載しており、曲間を約3秒間の無音スペースに整えられます。

CDP-X555ESにはゴールドとブラックの2色のバリエーションがあり、それぞれのカラーに対応したリモコンが付属していました。

機種の定格
型式 CDプレイヤー
読取り方式 非接触光学読取り(半導体レーザー使用)
レーザー GaAlAsダブルヘテロダイオード
回転数 200~500rpm(CLV)
演奏速度 1.2m/s~1.4m/s(一定)
エラー訂正方式 ソニースーパーストラテジー
(クロスインターリーブ・リードソロモンコード)
チャンネル数 2チャンネル
周波数特性 2Hz~20kHz ±0.3dB
全高調波歪率 0.0017%以下(EIAJ)
SN比 117dB以上(EIAJ)
ダイナミックレンジ 100dB以上(EIAJ)
ワウ・フラッター 測定限界(±0.001%W.peak)以下(EIAJ)
出力レベル 2Vrms(Fixed)
0V~2Vrms(Variable)
デジタル出力 Optical:-18dBm(発光波長660nm)
ヘッドホン出力レベル 28mW(32Ω)
消費電力 22W
外形寸法 幅470x高さ125x奥行375mm
サイドウッド取外し時:幅430mm
重量 12.8kg(サイドウッド含む)
付属 ワイヤレスリモコン RM-D891(ゴールド)
             RM-D991(ブラック)