SONY CDP-R10
¥1,200,000(1993年頃)
解説
光学系固定方式メカニズムを採用したR10シリーズのCDトランスポート。
メカニズム部には光学系固定方式メカニズムを採用しています。
一般的なCDプレイヤーでは、固定したモーター軸上でディスクを回転させ、読み取り用の光学ブロックを内周から外周に向かって移動させる方法が採用されています。この方法は比較的軽量の光学ブロックを移動させるため、1曲目から5曲目に移るなどのランダムアクセスが容易というメリットを持っています。
しかし、軽量なピックアップ部は動きやすいため外部振動などの影響を受けやすく、フォーカス及びトラッキングサーボ機構で補助する必要があり、レンズが複雑な動きを示すとサーボ電流が増えてしまいます。この電流はグランドに流れこみ、同時に光学ブロックと基板を結ぶワイヤーからフラックスを発し、音質を劣化させます。
この問題を解決するため、CDP-R10では光学ブロックを重量強度のあるメカニズム本体に固定し、ディスク側が内周から外周に向かって移動する構造となっています。これにより光学ブロックの受ける振動は大幅にヘリ、サーボに必要な電流はレンズを横にゆっくりと動かせれば良い程度で済むようになり、音質劣化を抑えています。
ディスク側での振動による影響を抑えるためターンテーブル方式を採用しています。
CDP-R10ではディスクをアルミ合金製のターンテーブルに載せ、かつ高い圧着力を発生するチャッキングプーリーで固定しています。
ターンテーブル側を移動させるスレッド制御にはノンサーボスレッド機構を採用しています。
CDP-R10のスレッド制御は演奏中常に移動しているわけではなく、およそ10秒から20秒に一度、約100μmずつ間欠的に移動する構造となっており、停止している時間を長く取ることで動作をより安定なものにしています。
ノンサーボ・スレッド機構では、この移動タイミングの判断をマイクロプロセッサーで計算した理論量で送っており、駆動は機械的にバックラッシュの無いウォーム・ギア機構を使って行われています。また、ウォームギア機構にはターンテーブル側から駆動力を加えても動かないという特長があり、止めておくための電力を必要としないため、音質的にも有利となっています。
ターンテーブル部はモーター部を内包した軸受ブロックに載っており、軸受ブロックは光学系を固定しているメカベースの上をスレッド制御によって移動します。移動に際してのガタつきを排除するため、メカベースに設けられたレールは鏡面加工が施されており、軸受ブロック車輪がその上を転がるような仕組みになっています。
車輪は主軸3輪とすることで平面性を確保し、横方向の精度を保つ側輪2輪で直進性を保つ5輪構成となってます。さらに磁気を利用して軸受ブロックとメカベースは吸着するようになっています。軸受ブロックとターンテーブルは大きな重量をもつうえ、メカベースとの間に磁気吸着機構があることで外来振動に強い構造を実現しています。
2種類のワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | CDトランスポート |
ディスク | コンパクトディスク |
読み取り方式 | 非接触光学式読み取り(半導体レーザー使用) |
エラー訂正方式 | ソニースーパーストラテジー クロスインターリーブ・リードソロモンコード |
出力端子 | XLRタイプバランスデジタル出力 BNC同軸デジタル出力 RCA同軸デジタル出力 TOSリンクタイプ光デジタル出力 STタイプ光デジタル出力 光ツインリンク端子 |
入力端子 | BNC同軸同期入力 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 30W |
外形寸法 | 幅475x高さ145x奥行410mm |
重量 | 約30kg |
付属 | リモートコマンダー RM-R10 リモートコマンダー RM-A10 |