SONY CDP-C715
¥49,800(1991年発売)
解説
CDルーレット機能に加え、新たにDSP機能を搭載したCDプレイヤー。
CDP-C715にはDSP(Digital Signal Processor)を搭載しています。
DSPではデジタル信号処理を用いて反射音や残響音から生まれるサラウンド効果を再現することができ、7種類(ホール、チャーチ、ジャズクラブ、スタジアム、ディスコ、ライブルーム、BGM)の音場空間をワンタッチで楽しめます。また、セットした音場の音質や残響を好みの状態に調節し、DSPファイルでディスクごとにメモリーすることも可能です。
DSP機能は光デジタル出力では動作しない設計になっています。
シリアルチェーン機能を搭載しており、2台のCDP-C715を連結することができます。
接続は付属ケーブルを用いてワンタッチで行え、2台のプレイヤーでディスクを1枚ずつ交互に演奏するチェーン演奏などのコンビネーションプレイが可能です。
ディスクトレイにはCDルーレットを採用しており、ディスク5枚をまとめてセットできます。これにより、5枚連続プレイや5枚にまたがるプログラム演奏、シャッフル演奏などが楽しめます。
D/A変換部にはハイデンシティ・リニアコンバーターシステムを採用しており、45ビットノイズシェイピング・デジタルフィルターとパルスD/Aコンバーターを搭載しています。
CDP-C715ではシングルモードのパルスD/Aコンバーターを採用しており、パルスD/Aコンバーター1個で正相と逆相、各LRの信号を出力する4D/A出力となっています。
パルスD/Aコンバーターは1個の電流源と1個の電子スイッチで構成されており、0と1の2つの値を高速でスイッチングすることによって音楽波形を表現しています。これにより、振幅レベルは常に一定で時間軸方向にのみ変化を持たせたPLM(パルス・レングス・モジュレーション)波を出力しています。そして、ローパスフィルターを通すことでオーディオ帯域外の不要高域ノイズを除去し、音楽波形を得ています。
また、パルスD/Aコンバーターには20kHzまでの可聴帯域の量子化ノイズを低減するため、64倍オーバーサンプリングとSony
Extended Noise Shaping方式を採用した多段ノイズシェイピング演算を搭載しています。オーバーサンプリングではサンプリング周波数を高くとることで可聴帯域内の量子化ノイズを低減しています。また、ノイズシェイピングではビット数を減らした時に再量子化誤差を入力側にフィードバックして可聴帯域内の量子化ノイズを低減しています。これらの技術によって高いダイナミックレンジを確保しています。
パルスD/Aコンバーターは45メガパルス/秒で動作しており、従来方式では困難であった微分非直線歪やグリッチ、ゼロクロス歪を根本から解消しています。
パルスD/Aコンバーターの前段には45ビットノイズシェイピングデジタルフィルターを搭載しており、高精度なオーバーサンプリング演算を実行するとともに演算結果に対して1次のノイズシェイピング演算を行うことで高いダイナミックレンジを確保しています。
ジッターによる問題を解消するため、ダイレクト・デジタル・シンクを搭載しています。
また、この方式ではマスタークロックをパルスD/Aコンバーターと同一チップ上に形成されており、ジッター除去をパルスD/Aコンバーターの最終段である電子スイッチの直前で行うことで原理的にジッターの発生を無くしています。
サーボ回路にはSサーボIIIを搭載しています。
SサーボIIIではサーボ電流の高域ノイズ成分をローパスフィルターで除去し、滑らかなサーボ電流を供給しています。これにより電源部からの電力供給を安定させ、音質への悪影響を防止しています。
ディスクの回転を制御する駆動系サーボ回路にはデジタルCLVサーボを搭載しています。
デジタルCLVサーボではスピンドルモーターの回転を検出し、これを10ビットの分解能でコントロールしています。これによりディスクの内周、外周を問わず正確な線速度を維持しています。また、12cmCDと8cmCDのディスクの慣性質量の違いも検出し、より適切なドライブを行っています。
ピックアップ部にRFアンプを内蔵することでローノイズ・高安定化を図っています。
デジタル信号処理LSIにはソニーCDプレイヤー用第4世代LSIを採用しており、従来外付けだったRAMを容量32kビットにアップしたうえで内蔵しており、さらに厳密な6重エラー訂正方式を採用することで信号処理能力の的確さを高めています。
カスタムエディット機能を搭載しており、ピークサーチ、タイムエディット、プログラムエディット、マルチディスクプログラム、リンクエディット、タイムフェード、バリアブルフェード、マニュアルフェーダーの8つの機能を搭載しています。
ピークサーチでは全曲を高速サーチし、音量レベルの一番大きい箇所の前後約4秒間を繰り返し再生します。
タイムエディットはテープ録音時のA面とB面の編集が効率良く行えます。
まず、使うテープの長さに合わせて編集する場合はTIME SETボタンまたはAMSボタンでテープの長さをセットし(ダイレクトキーで秒単位のセットも可能)、エディットボタンを押すと、まずA面分として1曲目から順番にプログラムして、タイムオーバーの曲にぶつかったら、時間内に収まる曲のうち一番長い曲をセレクトします。その後エディットボタンを押すと同様にB面の編集を行います。
また、AMSボタンでハーフディスクを選択してエディットすると、曲順を入れ替えずにテープA面とB面が同じくらいの長さになるように曲を振り分けます。
プログラムエディットでは好きな曲を好きな順番にマニュアルで編集できます。
AMSキーかダイレクトキーで積算時間を確認しながら好きな曲を好きな順番にプログラムします。この時オートスペースをオンにすれば、各曲の演奏時間に3秒ずつのブランクを加算してエディットできます。ポーズボタンを押したところでA面分、続けてB面分までまとめてプログラムできます。
マルチディスクプログラムでは、5ディスクで最大32ステップまで好きな曲を好きな順番で楽しめます。
この機能はトレイにセットされたディスク間でのみ可能です。
リンクエディットは、タイムエディットやジャストエディットで余ったテープに曲を追加できます。
すべての曲をプログラムして、さらにエディット時間内に曲が入る余地がある時は、入る曲のトラックナンバーとLINKの表示が点滅し、点滅しているトラックナンバーの曲の中から再度選択して曲を追加できます。
また、リンクエディットはディスクを入れ替えてエディットを継続することも可能です。
タイムフェードでは指定した時間にフェードアウトさせることができます。時間設定はTIME
SETボタンかAMSボタンで行います。
バリアブルフェードによってフェードイン/・フェードアウトする時間を2秒から10秒まで1秒単位でセットできます。
マニュアルフェーダーでは好みの箇所でフェードイン/フェードアウトができます。
カスタムファイル機能を搭載しており、ディスクメモ、プログラムバンク、レベルファイル、ラストモードメモリーの4つの機能を利用できます。
ディスクメモではディスク1枚につき最大10文字までメッセージが記録できます。使える文字は英数字と特殊記号、ブランクを加えた78文字になります。
プログラムバンクではプログラム演奏の設定を記録しておくことができます。
レベルファイル機能ではディスクごとに異なる再生レベルを設定できます。
ラインアウト/ヘッドホンボリュームを好みの音量に合わせてレベルファイルボタンを押すだけで設定でき、同じディスクを入れた時は自動的にメモリーしたレベルにセットされます。
ラストモードメモリーではカスタムファイルをつけたディスクのとり出す直前にセットされていたプレイモード、フェードタイムをメモリーでき、同じディスクを入れた時にはそのモードが自動的に呼び出されます。
ミュージックスキャンを搭載しており、曲の冒頭の部分だけを次々に演奏することができます。
演奏時間は10秒、20秒、30秒の3通りが選択できます。
曲の頭出しがスピーディに行えるAMS機能を搭載しています。
ディスク1枚全曲/全ディスク全曲/全ディスクプログラム/ディスク1枚シャッフル/全ディスクシャッフル/セレクトディスクシャッフル/1曲の7モードリピート機能を搭載しています。
ディスプレイ部には5ディスク+20曲ミュージックカレンダーを搭載しています。
光デジタル出力を搭載しています。
ボリューム付きヘッドホン端子を搭載しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | CDプレイヤー |
周波数特性 | 2Hz~20kHz ±0.3dB |
全高調波歪率 | 0.003%以下(EIAJ) |
SN比 | 110dB以上(EIAJ) |
ダイナミックレンジ | 100dB以上(EIAJ) |
ワウ・フラッター | 測定限界(±0.001%W.peak)以下(EIAJ) |
出力レベル | 2Vrms(Fixed) |
デジタル出力 | Optical:-18dBm(発光波長660nm) |
ヘッドホン出力レベル | 15mW(32Ω) |
消費電力 | 18W |
外形寸法 | 幅430x高さ125x奥行385mm |
重量 | 6.6kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-D870 シリアルチェーンケーブル |