
SONY CDP-990
¥49,800(1989年発売)
解説
16fs45bitスタガード4D/Aコンバージョンシステムを搭載したCDプレイヤー。
D/A変換部には16fs45bitノイズシェイピング・スタガード4D/Aコンバーターを搭載しています。
これはソニーが開発した8fs45bitノイズシェイピング・デジタルフィルター CXD-1244を用いた方法で、D/Aコンバーターを片チャンネルにつき2個ずつ使用し、1個には8fsのデジタルデータをそのまま、もう1個には半周期遅らせて入力し、そして後段でこの2個の出力を合成しています。これにより低グリッチを維持したままで高精度16fsD/A変換を実現しています。
また、4個のD/Aコンバーターには18ビットリニアタイプを採用するなど、ノイズの少ない音質を獲得しています。
ジッターの発生による位相の乱れを防ぐため、ダイレクト・デジタル・シンクを採用しています。
CDP-990ではD/Aコンバーターに連結したデジタルシンクICでデジタル信号の電圧時間軸をジッターを含んでいないクリーンなマスタークロックの精度に整え直し、D/Aコンバーターに送り込んでいます。これにより位相が正確でより忠実なD/A変換を可能にしています。
デジタル回路には4世代目にあたる新世代LSI CXD-2500を搭載しています。
CXD-2500では従来外付け構成となっていたRAMを容量32kbitに増やし、しかも内部に組み込んで1チップ化しています。これによりデジタルデータの交換をLSI内部で行うことができ、不要な輻射ノイズを大幅に低減し、オーディオ回路への干渉を減少させるとともにエラー訂正能力も向上させています。
ピックアップ部にはRFアンプを内蔵した新開発ピックアップを採用しており、低インピーダンスの信号出力を可能にし、ローノイズ・高安定化によって音質改善を果たしています。
サーボ回路にはSサーボIIIを搭載しています。
SサーボIIではサーボ電流の乱れによって電源を介してアナログ部に悪影響を防ぐため、悪影響を及ぼすノイズ成分をローパスフィルターで除去し、滑らかなサーボ電流を供給しています。これにyろい電源部からの電力供給が安定になり、オーディオ回路への影響を抑えています。
シャーシ構造にはFBシャーシを採用しています。
FBシャーシではシャーシ素材に十分な厚みと強度を持つメタル材を使用するとともに、外周を取り囲むフレームと、フロントとリアを渡す前後のビームによってシャーシ全体を強固にジョイントしており、音質を濁らせる内外の振動を低減しています。
ディスクトレイには上位機種に採用されたGベースユニットと同一素材のGトレイを採用しています。
Gトレイは組成が大理石と同じ炭酸カルシウムを特殊樹脂に加えグラスファイバーで強化した構造を採用しており、共進鋭度を下げて不要な外部振動をディスクに与えるのを防いでいます。
電源トランスの振動がオーディオ回路部に伝わるのを防ぐため、4箇所にゴムダンパーを用いてフローティング設置しています。
フロントパネルにはアルミフロントパネルを採用しています。
カスタムエディット機能を搭載しており、ピークサーチ、マルチディスクプログラム、タイムエディット、プログラムエディット、タイムフェード、バリアブルフェード、マニュアルフェーダーの7つの機能が行えます。
ピークサーチ機能では全曲を高速サーチして音量レベルが一番大きい箇所の前後約4秒を繰返し再生できます。
マルチディスクプログラム機能では複数のディスクにまたがってテープ編集が可能です。
ディスクをセットしてマルチプログラムボタンを押すと、Disc-1と表示されます。入れたい曲をプログラムしたらイジェクトし、続いて2枚目のディスクをセットします。そして同様に入れたい曲をプログラムしていきます。
この機能はディスク最大6枚、24曲までのプログラムが可能です。また、編集時は1枚分を終えるたびに「Next
Disc」と表示され、「-END-」が出るまで再生したら完了です。
タイムエディット機能では、タイムセットボタンまたはダイレクトキーでテープ片面分の長さをセットします。そしてエディットボタンを押すと、まずA面分として1曲目から順番にプログラムを行い、タイムオーバーの曲にぶつかったら時間内に収まる曲のうち、一番長い曲を自動的にセットします。もう一度エディットボタンを押すと、続いてB面分も同様にプログラムを行います。
また、入れておきたい曲を最初にプログラムしておいてから残りの時間をタイムエディットすることも可能です。
プログラムエディット機能では、ダイレクトキーまたはAMSキーを使って積算時間を確認しながら好きな曲を好きな順にプログラムできます。ポーズボタンを押したところでA面分が完了し、続けてB面分まで一度に作ることが出来ます。
タイムフェード機能ではテープの長さを入力すると指定した時間にフェードアウトします。
バリアブルフェード機能ではフェードイン/・フェードアウトする動作時間を2秒から10秒まで1秒単位で変更できます。
マニュアルフェーダーでは、好みの箇所でフェードイン/・フェードアウトができます。
カスタムファイル機能を搭載しており、レベルファイル、ディスクメモ、カスタムインデックス、プログラムバンク、ラストモードメモリー、ファイルリコールの6つの機能が利用できます。
レベルファイル機能では、ディスク毎に聴きたい好みの再生レベルをメモリーできます。操作はラインアウトボリュームを好みで調整してレベルファイルボタンを押すだけで、ディスクを再び入れたときは自動的にメモリーしたレベルにセットされます。
ディスクメモ機能ではディスクごとに最大10文字までメッセージを記録できます。
使える文字は英数字に特殊記号を加えた全46文字です。
カスタムインデックス機能では、ディスクにインデックスの記録がなくても曲中の好きな箇所に自分だけのインデックスを設定できます。
設定できる数はディスク1枚につき最大10ポイントで、約±0.15秒ステップの微調整ができるリハーサル機能付きとなっています。
プログラムバンク機能ではプログラム演奏機能で設定したプログラムをそのまま記録させることができます。
ラストモードメモリー機能はディスクをトレイから取り出す直前にセットされていたプレイモード、リピート、フェードタイム、オートスペースの有無をメモリーでき、再び同じディスクをセットしたときにそのモードが自動的に呼び出されます。
ファイルリコール機能では、ディスク入れなくても今までに入れたファイルをチェックできます。また、その場でファイルを消去することもできます。
マルチモードタイマー機能を搭載しており、プログラム曲やシャッフルプレイ、カスタムインデックスなどのプレイモードを選んでタイマー再生できます。
好きな曲だけを残してランダム再生が行える99曲対応のデリートシャッフル機能を搭載しています。
ディスプレイ部には20曲ミュージックカレンダーを搭載しています。
最大24曲のプログラム演奏機能を搭載しています。
1曲/全曲/部分(リモコンのみ)/プログラム/シャッフル/デリートシャッフル/カスタムインデックスの7モードリピート機能を搭載しています。
曲間を3秒に揃えるオートスペース機能を搭載しており、リモコンからのみ操作できます。
インデックスサーチを搭載しており、リモコンからのみ操作できます。
曲を聴きながら早送り/早戻しを行える2スピードのミュージックサーチを搭載しています。
スローモードはリモコンからのみ操作できます。
全灯/部分点灯/消灯のディスプレイ・モード機能を搭載しており、リモコンから操作できます。
ライン出力は固定と可変の2系統を搭載しています。また、ラインアウト連動のボリューム付きヘッドホン端子を装備しています。
ボリュームはリモコン操作時にLEDが点滅する設計となっています。
光デジタル出力を搭載しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | CDプレイヤー |
読取り方式 | 非接触光学読取り(半導体レーザー使用) |
レーザー | GaAlAsダブルヘテロダイオード |
回転数 | 200~500rpm(CLV) |
演奏速度 | 1.2m/s~1.4m/s(一定) |
エラー訂正方式 | ソニースーパーストラテジー (クロスインターリーブ・リードソロモンコード) |
チャンネル数 | 2チャンネル |
周波数特性 | 2Hz~20kHz ±0.3dB |
全高調波歪率 | 0.003%以下(EIAJ) |
SN比 | 110dB以上(EIAJ) |
ダイナミックレンジ | 97dB以上(EIAJ) |
チャンネルセパレーション | 100dB以上(EIAJ) |
ワウ・フラッター | 測定限界(±0.001%W.peak)以下(EIAJ) |
出力レベル | 2Vrms(Fixed) 0V~2Vrms(Variable) |
デジタル出力レベル | Optical:-18dBm(発光波長660nm) |
ヘッドホン出力レベル | 28mW(32Ω) |
消費電力 | 10W |
外形寸法 | 幅430x高さ115x奥行340mm |
重量 | 5.3kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-D590 |