SONY SDP-777ES
¥79,800(1986年発売)
解説
ドルビープロロジックサラウンドに対応したサラウンドプロセッサー。
オーディオ信号の遅延をはじめ、各サラウンド・ポジションに応じたマトリックス合成をデジタル回路で処理しています。これにより、アナログディレイで起こりがちだったディレイ音の位相回転が発生せず、定位感に優れたサラウンド効果を得ています。
このデジタル回路の中枢には、新開発のC-MOS ICである高速プレゼンスシンセサイザーCXD-1079を採用しています。これは、乗算器や加算器などの演算部と、周辺ICとのインターフェースを全て内蔵したもので、各種RAMとの組合せで、音場効果を得るための実時間高速デジタル信号処理を可能にしてます。また、インターフェースまで含めて1チップ化したことにより、デジタルオーディオ機器で問題となるデジタルノイズや不要輻射を大幅に低減しています。
A/DおよびD/Aコンバーターには、量子化ビット数16ビット直線、標本化周波数48.0kHzの積分型を採用しています。これにより、ディレイ信号はDATと同等のクオリティを実現しており、従来のBBD方式のアナログディレイに比べ、優れた特性を獲得しています。
SDP-777ESにはデジタルディレイ調整機能を搭載しています。ディレイタイムはL/R独立に、0.1~80msec(ドルビーサラウンド再生時は10msec~30msec)の範囲で0.1msecステップのコントロールが可能です。
また、L/Rch独立に調整したディレイタイムを各モードで最高3タイプまで記憶でき、ワンタッチで呼び出せます。
ドルビープロロジックに対応しており、方向性強調回路により、これまで3dB程度であったフロントとリアのセパレーションを25dB以上に拡大し、音の定位を改善しています。
SDP-777ESではアンプを搭載しておらず、ステレオシステムにサラウンド用のステレオパワーアンプとスピーカーを追加することで使用できます。さらに、フロントセンター用にモノラルパワーアンプとスピーカーを加えれば、セリフなどのセンター定位が明確になります。また、サブウーファー用のL+Rモノセンターライン出力も搭載しています。
その他のサラウンドポジションとして、プレゼンス、マトリックス、ホール、シミュレーテッド・ステレオ、リバーブなどを搭載しています。
プレゼンスとリバーブは本体に表示されていない機能で、プレゼンスはセットボタンを押しながらホールボタンを押すことで選択でき、リバーブはセットボタンを押しながらシミュレーテッドボタンを押すことで選択できます。
電源のON/OFF以外の殆どの操作が行えるワイヤレスリモコンが付属しています。
また、ディレイタイムのL/R同時up/down、ドルビーサラウンド時のBassレベルup/down、リアスピーカーレベルのL/R独立up/down、センタースピーカーレベルのup/down、ホールポジション時のローパスフィルター切替え、Rearの位相切替え、の6つの機能はリモコンでのみ操作が行えます。
TVチューナーやビデオデッキなどの映像+音声ソースが4系統、CDなどの音声のみの入力が1系統コントロールできるAVセレクター機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | サラウンドプロセッサー |
<デジタルサラウンド部> | |
量子化ビット数 | 16ビット直線 |
サンプリング周波数 | 48kHz |
ディレイタイム | 0.1~80.0msec、0.1msecステップ、L/R独立 |
高調波歪率 | 0.008%(1kHz) |
ダイナミックレンジ | 90dB(Aネットワーク) |
周波数特性 | rear:5Hz~20kHz +0 -3dB |
<アナログ部> | |
周波数特性 | center:110Hz~100kHz +0 -3dB subwoofer:カットオフ110Hz、-12dB/oct |
入出力端子 | 音声入力:video1~4、audio1 音声出力:video1/2 映像入力:video1~4 映像出力:video1/2、monitor S映像入出力:video1/2、monitor |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 25W |
外形寸法 | 幅470x高さ86x奥行345mm サイドウッド取外し時:幅430mm |
重量 | 6.1kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-S77 |