オーディオの足跡

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TA-F80の画像
 解説 

トータルダイナミックディストーションの低減というテーマのもと、シンプル&ストレートの思想を個々の部品の伝送特性に至るまでつきつめた高級プリメインアンプ。

シンプル&ストレート思想を実現するため、ストレート伝送、プリパワーセパレート構造を採用しており、入出力端子の配線の最短化、信号の流れに沿った自然な部品配置、信号の交錯を避けるなどを徹底しています。
TA-F80では、プリアンプ部をフロントパネル部に配してボリュームスイッチ類を直付けし、無駄な線材を追放してシールド板で遮蔽されたパワーアンプに伝送しています。また、パワーアンプ部では難問であったパワートランジスタの設置場所をヒートパイプによって任意に決める事が可能となり、信号の流れの上で理想的な位置に配しています。

冷却装置にはヒートパイプ構造を採用しています。
ヒートパイプは減圧した銅パイプの中に特殊な液体を封入し、気化⇔液化を連続的に行うことで、パイプの端から端へ、瞬間的に熱を伝えています。このため熱伝導率は銅や銀の同径の金属棒の数百倍を実現しています。
このヒートパイプ構造によりパワートランジスターの配置の自由度を高め、線材による引き回しを回避しています。

パワートランジスタには過渡混変調歪(TIM歪)を低減したHi-fTトランジスタを採用しています。
このトランジスタはソニーの半導体工学を生かして開発されたもので、高域特性の良い小電力トランジスタを無限大個集積したようなもので、大電力にも充分な安全動作を実現しています。
特性的には遮断周波数は従来の4MHzに対して20MHz~60MHz以上と著しい改善をしており、高域応答が極めて速くなっています。

電源部にはパルス幅制御定電圧回路を搭載したパルス電源を採用しています。
パルス電源の整流方式は、AC100Vをダイレクト整流し、パワーオシレーターで20kHzのパルスに変換、高周波トランスで高圧した後再整流するという構造になっています。高周波トランスで高圧するため効率が極めて高く、優れたレギュレーション特性を容易に得ることが出来ます。また、正弦波整流を異なり整流しただけでほぼ直流状態が得られるため、平滑も容易で、脈流成分もほぼゼロとなっています。
さらに、AC100Vをダイレクト整流するため交流ハム発生源が事実上なくなり、この点でも大きな効果があります。
TA-F80ではパルス電源方式に加えてパルス幅制御定電圧回路を採用しています。この回路は電圧変動をパルス幅の変化に変換し、このパルス波形と逆の形に、1次整流回路で得られたDCをON⇔OFF。復調させて変動分がキャンセルされた電圧を得るという構造となっています。
これにより電圧変動率は1%以下となり、信号系の純度を生かしています。

パワーアンプにハイゲインDCアンプを採用したことでフラットアンプの省略を実現しています。
これにより「Direct」状態では、Tuner、Aux、Tape各入力からスピーカーout間でDC伝送を可能にしています。また、MCカートリッジ再生時でも、ヘッドアンプ→イコライザー、パワーアンプと、必要最小限の回路しか通過せず、音質の劣化を少なくしています。

ボリュームには、クロストークや矩形波応答歪率などの諸特性および精度を改善した物を開発・採用しています。

バランスとカートリッジコントロール用の可変抵抗器にはメタルグレーズ型可変抵抗器を採用しています。
この可変抵抗は、抵抗体としてカーボンの代わりに金属微粒とガラス微粒を混合焼結したもので、厚膜金属被膜抵抗=メタルグレーズ型と呼ばれています。温度特性と歪率が良く、誤差も0.1%以内となっています。

リード線の長さを最短距離とするため、プリント基板を使わず立体配線を行いモールドしたRIAAユニットを採用しています。これにより信号入力の変化によって発生するコンデンサーの機械的共振も抑えています。
また、コンデンサーには無誘導のスチロール型、抵抗には安定度の高い単tなる金属被膜抵抗を採用しています。

2個の比較的小型のコンデンサーを並列接続して使用する4端子電解コンデンサーを採用しています。
パルス応答が速くなり音質を改善しています。

MCヘッドアンプ部は、低雑音トランジスタの並列接続による超LECと高性能ICにより、低雑音ノイズを実現しています。また、3Ω-40Ωインピーダンスセレクターを搭載しています。

カートリッジロードコントロール機能を搭載しており、カートリッジの入力インピーダンスマッチングを100pF~400pF/100Ω~100kΩの間で任意に設定可能です。

0.008W~130Wを直読できる20ステップのピークパワーインジケーターを搭載しています。

Lowフィルターを搭載しています。

機種の定格
型式 ステレオプリメインアンプ
回路方式 プリアンプ部:低雑音MC用ヘッドアンプ、NF型イコライザーアンプ
パワーアンプ部:全段直結ピュアコンプリメンタリーSEPP、DCパワーアンプ
電源部:パルス電源、パルス幅制御定電圧回路(PLPS)
<パワーアンプ部>
実効出力(両ch駆動) 120W+120W(8Ω、歪率0.007%、20Hz~20kHz)
出力帯域幅 5Hz~30kHz(IHF、歪率0.007%、8Ω、60W)
高調波歪率(20Hz~20kHz) 0.007%(実効出力時)
0.0025%(10W出力時、スペクトラムアナライザー測定)
0.0033%(1W出力時、スペクトラムアナライザー測定)
混変調歪率
(60Hz:7kHz=4:1)
0.007%(実効出力時)
0.0025%(10W出力時)
残留雑音(Aネットワーク) 100μV(8Ω)
ダンピングファクター 100(8Ω、1kHz)
適合スピーカーインピーダンス 8Ω~16Ω
<プリアンプ部>
入力感度/インピーダンス Phono1、2 MM:2.5mV/100Ω~100kΩ/100pF~400pF
Phono1、2 MC:0.125mV/33Ω、100Ω
Tuner、Aux、Tape1、2:150mV/50kΩ
SN比(Aネットワーク) Phono1、2 MM:88dB
Phono1、2 MC:80dB
Tuner、Aux、Tape1、2:105dB
出力レベル/インピーダンス Rec out1、2:150mV(最大出力20.0V)/4.7kΩ
Phono最大許容入力 Phono1、2 MM:300mV
Phono1、2 MC:15mV
周波数特性 Phono1、2:RIAA偏差 ±0.2dB
Tuner、Aux、Tape1、2:DC~100kHz +0 -1dB
トーンコントロール Bass:25Hz ±10dB(ターンオーバー周波数:250Hz)
Treble:50kHz ±10dB(ターンオーバー周波数:5kHz)
Lowフィルター 15Hz、12dB/oct(Phono入力のみ)
<総合>
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 145W
電源コンセント 電源スイッチ連動:1系統、100W
電源スイッチ非連動:2系統、100W
外形寸法 幅430x高さ160x奥行410mm
重量 9.9kg
付属 コードクランパー