SONY TA-F222ESJ
¥49,800(1993年発売)
解説
パワーMOS FETを採用したESシリーズのプリメインアンプ。
出力段素子に新開発のオーディオ専用・非磁性パワーMOS FET(メタルオキサイドセミコンダクターFET)を採用しています。パワーMOS
FETは、もともと小信号のスイッチング素子として開発されたMOS FETを、優れた高周波特性やスイッチング速度をそのままに、大電力増幅を可能にしたものです。
この素子は、入力インピーダンスが高いためドライバー段の負担が少なく、比較的シンプルな回路構成で高音質が得られることに加え、二乗特性の伝達関数を持つため、歪は偶数次のものが主体で、音質への悪影響が少ないという特長を持ってます。また、ゲートが絶縁された電圧制御素子であるため、ドライバー段と出力段を電気的に分離でき、互いの干渉を無くす事が可能です。
シャーシ構造には、無振動・無共振設計を徹底したGシャーシを採用しています。
Gシャーシは、大理石の主成分である炭酸カルシウムを不飽和ポリエステルに加え、グラスファイバーで強化したもので、高い強度を有しながら内部損失が大きく、優れた振動減衰特性を持っています。これにより、外部振動や電源部などで発生する内部振動を抑え、振動や共振による変調ノイズの発生を大幅に低減しています。また、Gシャーシは非磁性・非金属なため、電源トランスやコンデンサーなどから誘発される電磁歪やうず電流の発生が無く、音質的に有利となっています。
Gシャーシへの各パーツの実装については、オーディオ回路基板、電源トランスを直付けにして固定しています。また、フロントパネル、端子パネル、ケースは、Gシャーシの上に連結アングルを入れて固定するなど、より強固に剛体化をすすめています。
また、ヒートシンクには両面フィン型アルミダイキャストを採用しています。
電源部には、パワーアンプ部の入力信号を電圧増幅するAクラス段と電力増幅するBクラス段(出力段)を整流回路から分離・独立して供給するS.T.D.(Spontaneous Twin Drive)電源を搭載しています。これにより、大出力時にもAクラス段の電源は揺さぶられず、常に安定した電源供給を可能にしています。
出力段にS.L.L.(スーパーレガートリニア)方式を採用しています。これによりスイッチング歪やクロスオーバー歪を低減させ、さらに実使用再生レベルでの低歪化を図っています。
フォノイコライザーアンプを内蔵しています。
トーンコントロールやモード切換えなどをバイパスするソースダイレクトスイッチを採用しています。
また、入力セレクターをバイパスするダイレクトイン端子を搭載しています。
サラウンドプロセッサーなどの接続に役立つアダプター入出力端子を搭載しています。
ACラインからのノイズ混入を防ぐESフィルターを搭載しています。
CD、Phono入力に金メッキピンジャック端子を採用しています。
サブソニックフィルターを搭載しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
実効出力(20Hz~20kHz) | 100W+100W(4Ω) 90W+90W(6Ω) 80W+80W(8Ω) |
高調波歪率 | 0.008%(10W出力時、8Ω) |
混変調歪率 | 0.004%(定格出力時、8Ω、60Hz:7kHz=4:1) |
周波数特性 | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.2dB Line系:2Hz~200kHz +0 -3dB |
SN比(Aネットワーク) | Phono MM:87dB Phono MC:68dB Line系:105dB |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/50kΩ Phono MC:170μV/100Ω Line系:150mV/50kΩ |
出力レベル/インピーダンス | Rec out:150mV/1kΩ Headphone:25mW/8Ω |
トーンコントロール | Bass:±7dB(100Hz) Treble:±6dB(10kHz) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 210W |
外形寸法 | 幅430x高さ150x奥行375mm |
重量 | 14.0kg |