SONY TA-DA9100ES
¥650,000(2005年12月21日発売)
解説
TA-DA9000ESの後継機として開発されたAVアンプ。
自動音声補正機能を搭載しています。
TA-DA9100ESではステレオマイクが付属しており、ホームシアターの特性を測定して自動的にシステムの調整を行う事が可能です。
測定スタートボタンを押すと、各スピーカーの有無の判定、チャンネル毎のゲイン補正、距離補正、31バンドのグラフィックイコライザーを用いた周波数特性測定、サラウンドスピーカーの位置設定などを約30秒で自動的に行います。スピーカーの距離補正は1cm単位で行うなど、きめ細かい調整が行われます。
チューニング後の音声特性は3種類あり、全てのスピーカー特性をフラットにするフルフラットモード、前方スピーカーの特性をサラウンドスピーカーに近似させて再現するフロントリファレンス、ソニーの設定ルームの音場に近づけるエンジニアリファレンスが選択できます。
パワーアンプ部にフルデジタルアンプ32ビットS-Master PROを7ch搭載しています。
た32ビットS-Master PROでは別の素子で構成されていたDCフェーズリニアライザー回路をプロセッサー内部に同化し、さらに高密度の処理が可能となっています。
S-Masterでは、入力段に採用したサンプリングレートコンバーターによってデジタルオーディオ信号を受取、音質に有害なジッターを水晶発振器の精度まで低減しています。次にデジタルボリュームコントロール処理を行った上で、独自開発の高精度演算アルゴリズム(デジタル信号の量子化ノイズのスペクトラムを制御する技術)により、出力段を駆動する広大なダイナミックレンジを持つストリーム信号(信号をパルス幅や密度で表現したもの)を生成します。そして最後に、高速かつ極めて高い時間軸精度のストリーム信号で安定化した電源電圧をスイッチングする事によって電力増幅を行います。
このS-Masterでは高い時間軸精度を持った信号を生成できるため、フィードバック制御などを行う必要が無く、全てのステージをデジタル処理で構成する事ができています。また、S-Masterはパルスの疎密で波形を作るため、アナログアンプで発生すゼロクロス歪が原理的に発生しません。また、電力効率が90%以上と高く、出力段の発熱を小さく抑えています。
S-Master PROはS-masterをさらに高音質化したもので、パルスハイトボリュームとDCフェーズリニアライザー技術を投入する事でディテール再現力と、従来からのアナログアンプとの音質の統一感を得ています。
また、使用パーツにもトロイダルコアのローパスフィルターを用いるなど、プロと呼ぶにふさわしい構成としています。
パルスハイトボリュームはデジタルアンプでの新しい音量調節技術として開発されたものです。この方式はパルスの高さを増減させて音量を調節する方法で、音量を半分に絞る場合はパルスの高さを半分にしています。デジタル領域でデータやパルスの構成を一切操作しないので情報の消失が起きず、-50dB付近の小音量から大音量レベルまでの広い音量範囲で高音質を維持しています。
DCフェーズリニアライザーはアナログアンプの低音域を再現する技術です。
アナログアンプでは低域で位相が回転しており、一般的には数10Hzより下の帯域で位相が進んでいます。これに対してデジタルアンプでは位相回転が起きず、低域でもフラットな特性を維持しています。
スピーカーは位相回転を前提にチューニングされているため、フラットな特性のデジタルアンプで増幅した音は低域ではアナログアンプと異なるものになりがちです。DCフェーズリニアライザーではここに着目し、アナログアンプ特有の位相回転をデジタル技術で再現しており、アナログアンプのような低音感を得ています。
電源部には大型トロイダルトランスを搭載しています。
SACDプレイヤーとの双方向通信が可能なi.LINK接続が可能です。
i.LINKはSACDのマルチチャンネルDSDデータを余裕を持って伝送できる200Mbpsの転送レートを確保した上で、アンプからプレイヤーへの通信が可能となっています。これによりプレイヤーからアンプへのオーディオデータの伝送を同期をとってフローコントロール事ができ、ジッターの少ないデータを得ています。
また、双方向通信でも必要なケーブルは1本のみとなり、シンプルな接続を実現しています。
i.LINKの入力端子は2系統装備しています。
9.1chサラウンドシステムを搭載しています。
この方式はハリウッドのダビングシアターで実際に行われているスピーカー配置を家庭で再現するための技術です。
9.1chサラウンドシステムでは、アンプのスピーカーA+B系統セレクターを活用しており、A系統単独では7.1chサラウンドとして、B系統単独では5.1chサラウンドとして機能させると共に、A+B系統を選択した時にはA/Bそれぞれの系統に接続した側方のサラウンドスピーカーがグループとなって動作するよう結線されます。この際にアンプの出力も2個のスピーカーが鳴った時に1個の時と同じ音圧になるように自動調整します。
これにより側方に実スピーカーが2個配置され、フロントと側方、側方と後方の音のつながりを自然なものとしています。また、適切な音像感が得られるサラウンドのサービスエリアが広いという特長も持っています。
この方式は合計6本のサラウンドスピーカーを使用する方式ですが、スピーカー1本あたりの負担を軽減するため、比較的小型のスピーカーを使用しても効果が得られます。
アナログ入力をDSD信号に変換して処理するA/DSD入力を装備しています。
デジタルアンプではスピーカー出力の直前まで一貫してデジタル信号処理を行います。デジタルソースはそのままで処理し、アナログソースは入力でデジタル信号に変換して処理を行います。変換されるデジタル信号はSACDでも用いられているDSD信号で、64fs、1ビットのデジタルデータとして扱われます。
TA-DA9100ESでは、マルチチャンネル入力及び2chアナログ入力はDSDに変換して処理されます。
ドルビーデジタルやDTSに加え、当時最新のドルビープロロジックIIxにも対応し、さらにDVDビデオの音声フォーマットであるDTS 96/24にも対応しています。
また、CDやビデオなどの2chソフトを5.1chで楽しめるドルビープロロジックIIデコーダーや、BSデジタル放送の5.1ch音声に対応したMPEG-2 AACデコーダーも搭載しています。
HDMI端子を入力2系統、出力1系統装備しており、1080Pまでの信号に対応しています。
ビデオアップ/ダウンコンバーターを搭載しています。
アップコンバーターではコンポジット入力やS映像入力の信号をコンポーネント信号に変換でき、さらにコンポジット、S映像、コンポーネント入力信号をHDMI信号に変換する事も可能です。
また、ダウンコンバーターではコンポーネント入力信号をコンポジット信号及びS映像信号へ変換する事が可能です。さらに、インターレースからプログレッシブ(I/P)変換する機能も搭載しています。
※ビデオデッキからコンポジット信号やS映像信号が変換されてテレビに接続された場合、非標準信号(早送り/巻戻しなど)が入力されると映像が出力されない場合があります。また、ダウンコンバーターでコンポーネント信号からコンポジット/S映像信号への変換は480iのみです。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
普段の操作が手軽に行えるようにコンパクトタイプの簡単リモコンも付属しています。
機種の定格
| 型式 | AVアンプ |
| 映像系機器(音声&映像)入力 | 8系統 |
| 映像系機器(音声&映像)出力 | 3系統 |
| 映像モニター出力 | 2系統 |
| S映像入力 | 8系統 |
| S映像出力 | 3系統 |
| S映像モニター出力 | 2系統 |
| コンポーネント映像入力 | 3系統 |
| コンポーネント映像出力 | 1系統 |
| D端子映像入力 | 3系統(D5) |
| D端子映像出力 | 1系統(D5) |
| HDMI入力 | 2系統 |
| HDMI出力 | 1系統 |
| i.LINK端子 | 2系統(IEEE1394準拠 4ピンコネクター S200) |
| デジタル入力 | 光:7系統 同軸:5系統 |
| デジタル出力 | 光:2系統 |
| オーディオ入力 | Phono MM:1系統 Line:4系統 7.1ch入力:2系統 |
| オーディオ出力 | Rec out:2系統 フロントL/R:1系統 センター:1系統 サラウンドL/R:1系統 サラウンドバック:1系統(L/R) サブウーファー:1系統 ヘッドホン:1系統 |
| 実効最大出力(JEITA) | 4Ω フロント:320W+320W センター:320W サラウンド:320W+320W サラウンドバック:320W+320W 8Ω フロント:260W+260W センター:260W サラウンド:260W+260W サラウンドバック:260W+260W |
| 定格出力(20Hz~20kHz) | 4Ω フロント:220W+220W センター:220W サラウンド:220W+220W サラウンドバック:220W+220W 8Ω フロント:200W+200W センター:200W サラウンド:200W+200W サラウンドバック:200W+200W |
| スピーカー適合インピーダンス | 4Ωまたはそれ以上 |
| 全高調波歪率 | フロント:0.15%以下(4Ω/8Ω負荷、220W+220W/200W+200W、20Hz~20kHz) |
| 周波数特性 | アンプ・ブロック部:10Hz~50kHz ±3dB |
| SN比(Aネットワーク) | Line系:100dB(サラウンド、EQ全てoff) |
| 対応フォーマット | ドルビーデジタル ドルビーデジタルEX DTS DTS-ES マトリックス6.1 DTS-ES ディスクリート6.1 DTS 96/24 MPEG-2 AAC ドルビープロロジック ドルビープロロジックII ドルビープロロジックIIx DTS NEO:6 |
| サラウンドモード | ノーマルサラウンド シネマスタジオEX A/B/C ヘッドホンシアター バーチャルマルチディメンジョン デジタルコンサートホールA/B ジャズクラブ ライブコンサート(ライブハウス) チャーチ スタジアム スポーツ |
| トーンコントロール | フロントBass:±10dB(250/500Hz) フロントTreble:±10dB(2.2/4.3kHz) センター:Bass/Mid(100/300/1k/3k/10k)/Treble サラウンド:Bass/Treble |
| ACアウトレット | 連動1系統 |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 400W 1W(待機時) |
| 外形寸法 | 幅430x高さ238x奥行480mm |
| 重量 | 約28.5kg |
| 付属 | ワイヤレスリモコン RM-AAE004 簡単リモコン RM-U9S |
.webp)
.webp)
.webp)
.webp)
.webp)
.webp)
.webp)