オーディオの足跡

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TA-DA9000ESの画像
 解説 

フルデジタルアンプS-Master PROを搭載したAVアンプ。


パワーアンプ部にフルデジタルアンプS-Master PROを7ch搭載しています。

S-Masterでは、入力段に採用したサンプリングレートコンバーターによってデジタルオーディオ信号を受取、音質に有害なジッターを水晶発振器の精度まで低減しています。次にデジタルボリュームコントロール処理を行った上で、独自開発の高精度演算アルゴリズム(デジタル信号の量子化ノイズのスペクトラムを制御する技術)により、出力段を駆動する広大なダイナミックレンジを持つストリーム信号(信号をパルス幅や密度で表現したもの)を生成します。そして最後に、高速かつ極めて高い時間軸精度のストリーム信号で安定化した電源電圧をスイッチングする事によって電力増幅を行います。
このS-Masterでは高い時間軸精度を持った信号を生成できるため、フィードバック制御などを行う必要が無く、全てのステージをデジタル処理で構成する事ができています。また、S-Masterはパルスの疎密で波形を作るため、アナログアンプで発生すゼロクロス歪が原理的に発生しません。また、電力効率が90%以上と高く、出力段の発熱を小さく抑えています。

S-Master PROはS-masterをさらに高音質化したもので、パルスハイトボリュームとDCフェーズリニアライザー技術を投入する事でディテール再現力と、従来からのアナログアンプとの音質の統一感を得ています。
また、使用パーツにもトロイダルコアのローパスフィルターを用いるなど、プロと呼ぶにふさわしい構成としています。

パルスハイトボリュームはデジタルアンプでの新しい音量調節技術として開発されたものです。この方式はパルスの高さを増減させて音量を調節する方法で、音量を半分に絞る場合はパルスの高さを半分にしています。デジタル領域でデータやパルスの構成を一切操作しないので情報の消失が起きず、-50dB付近の小音量から大音量レベルまでの広い音量範囲で高音質を維持しています。

DCフェーズリニアライザーはアナログアンプの低音域を再現する技術です。
アナログアンプでは低域で位相が回転しており、一般的には数10Hzより下の帯域で位相が進んでいます。これに対してデジタルアンプでは位相回転が起きず、低域でもフラットな特性を維持しています。
スピーカーは位相回転を前提にチューニングされているため、フラットな特性のデジタルアンプで増幅した音は低域ではアナログアンプと異なるものになりがちです。DCフェーズリニアライザーではここに着目し、アナログアンプ特有の位相回転をデジタル技術で再現しており、アナログアンプのような低音感を得ています。


電源部には大型トロイダルトランスを搭載しています。

SACDプレイヤーとの双方向通信が可能なi.LINK接続が可能です。
i.LINKはSACDのマルチチャンネルDSDデータを余裕を持って伝送できる200Mbpsの転送レートを確保した上で、アンプからプレイヤーへの通信が可能となっています。これによりプレイヤーからアンプへのオーディオデータの伝送を同期をとってフローコントロール事ができ、ジッターの少ないデータを得ています。
また、双方向通信でも必要なケーブルは1本のみとなり、シンプルな接続を実現しています。

9.1chサラウンドシステムを搭載しています。
この方式はハリウッドのダビングシアターで実際に行われているスピーカー配置を家庭で再現するための技術です。
9.1chサラウンドシステムでは、アンプのスピーカーA+B系統セレクターを活用しており、A系統単独では7.1chサラウンドとして、B系統単独では5.1chサラウンドとして機能させると共に、A+B系統を選択した時にはA/Bそれぞれの系統に接続した側方のサラウンドスピーカーがグループとなって動作するよう結線されます。この際にアンプの出力も2個のスピーカーが鳴った時に1個の時と同じ音圧になるように自動調整します。
これにより側方に実スピーカーが2個配置され、フロントと側方、側方と後方の音のつながりを自然なものとしています。また、適切な音像感が得られるサラウンドのサービスエリアが広いという特長も持っています。
この方式は合計6本のサラウンドスピーカーを使用する方式ですが、スピーカー1本あたりの負担を軽減するため、比較的小型のスピーカーを使用しても効果が得られます。

アナログ入力をDSD信号に変換して処理するA/DSD入力を装備しています。
デジタルアンプではスピーカー出力の直前まで一貫してデジタル信号処理を行います。デジタルソースはそのままで処理し、アナログソースは入力でデジタル信号に変換して処理を行います。
変換されるデジタル信号はSACDでも用いられているDSD信号で、64fs、1ビットのデジタルデータとして扱われます。
また、TA-DA9000ESに装備されたマルチチャンネル入力もすべてDSDに変換して処理されます。

ドルビーデジタルやDTSに加え、DTS 96-24などの当時最新のフォーマットにも対応しています。
さらに、CDやビデオなどの2chソフトを5.1chで楽しめるドルビープロロジックIIデコーダーと、BSデジタル放送の5.1ch音声を楽しめるMPEG-2 AACデコーダーも搭載しています。

時間軸補正機能を搭載しています。
この機能では音声と映像のズレを補正する事が可能となっており、ディスプレイ側での処理の影響やソフトの状態によって発生する事がある時間的なズレを調整する事が可能です。
また、部屋の形状や都合によって理想的な配置にスピーカーが設置できない時に、理想的な位置との距離さを調整できる機能も搭載しています。
時間軸補正機能はアナログ入力、デジタル入力、i.LINK接続のすべてについて調整が可能です。

新開発のDSPを採用しています。
従来のモデルでは32ビットのDSPを3個搭載していましたが、TA-DA9000ESでは新開発のDSPを用いる事で3個分の機能を2個に集約しています。
これによりデジタル演算部で発生するノイズを低減させると共に信頼性を向上させています。

D端子には1080P信号に対応したD5端子を採用しており、入力3系統、出力1系統を装備しています。
また、液晶モニター用のデジタル端子としてDVI-D端子も入力2系統、出力1系統を装備しています。

コンポジット信号をS映像やコンポーネントへ、S映像をコンポーネントへと変換するアップコンバートICを搭載しています。
この際に色相や色の濃さ、シャープネスを調整する事が可能です。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

機種の定格
型式 AVアンプ
映像系機器(音声&映像)入力 8系統
映像系機器(音声&映像)出力 3系統
映像モニター出力 2系統
S映像入力 8系統
S映像出力 3系統
S映像モニター出力 2系統
コンポーネント映像入力 3系統
コンポーネント映像出力 1系統
D端子映像入力 3系統(D5)
D端子映像出力 1系統(D5)
DVI-D映像入力 2系統
DVI-D映像出力 1系統
i.LINK端子 1系統(IEEE1394準拠 4ピンコネクター S200)
デジタル入力 光:7系統
同軸:5系統
デジタル出力 光:2系統
オーディオ入力 Phono MM:1系統
Line:4系統
7.1ch入力:2系統
オーディオ出力 Rec out:2系統
フロントL/R:1系統
センター:1系統
サラウンドL/R:1系統
サラウンドバック:1系統(L/R)
サブウーファー:1系統
ヘッドホン:1系統
実用最大出力(JEITA)
 フロント:320W+320W
 センター:320W
 サラウンド:320W+320W
 サラウンドバック:320W+320W

 フロント:260W+260W
 センター:260W
 サラウンド:260W+260W
 サラウンドバック:260W+260W
定格出力(20Hz~20kHz)
 フロント:220W+220W
 センター:220W
 サラウンド:220W+220W
 サラウンドバック:220W+220W

 フロント:200W+200W
 センター:200W
 サラウンド:200W+200W
 サラウンドバック:200W+200W
スピーカー適合インピーダンス 4Ωまたはそれ以上
全高調波歪率 フロント:0.15%以下(4Ω/8Ω負荷、220W+220W/200W+200W、20Hz~20kHz)
周波数特性 アンプ・ブロック部:10Hz~50kHz ±3dB
SN比(Aネットワーク) Line系:100dB(サラウンド、EQ全てoff)
サラウンドモード ノーマルサラウンド
シネマスタジオEX A/B/C
ヘッドホンシアター
バーチャルマルチディメンジョン
デジタルコンサートホールA/B
ジャズクラブ
ライブコンサート(ライブハウス)
チャーチ
スタジアム
スポーツ
トーンコントロール フロントBass:±10dB(250/500Hz)
フロントTreble:±10dB(2.2/4.3kHz)
センター:Bass/Mid(100/300/1k/3k/10k)/Treble
サラウンド:Bass/Treble
ACアウトレット 連動1系統
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 600W
1W(待機時)
外形寸法 幅430x高さ238x奥行430mm
重量 約28.5kg
付属 ワイヤレスリモコン RM-LJ312