オーディオの足跡

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SeriesVの画像
 解説 

マグネシウムを用いたトーンアーム。

アームパイプ部にマグネシウムを採用しています。
マグネシウムはアルミニウムに比べて約1.6分の1と軽量でありながらカーボンファイバー複合材などに比べて高剛性で、特に微小振動に対して剛性が高いという優れた特長を持っています。しかし素材としては不安定なため使用できずにいました。
この素材を実用化するため試行錯誤を繰り返し、特殊真空製法によってダイキャスト化に成功。表面加工についても先端技術によって安定化を図っています。

アーム本体はヘッドシェル部からカウンターウェイト取付部まで完全一体化した構造となっています。これにより接合部の微少なガタツキによる共振を排除しています。また、同じ理由から指かけも排除しています。
一体型パイプアームは特殊なカーブを描くテーパー状としており、カートリッジの針先と垂直回転軸の中心とを一直線上に位置させる事で理想のトレース状態を実現しています。また、パイプアーム自体は45gの軽量化を実現しており、パイプ内部には薄手のプラスチック成形パイプを圧入する事で共振を徹底排除しています。

SeriesVのために特別開発された超精密・密閉型ベアリング軸受を採用しています。
垂直ベアリングに密閉型ベアリングを採用し、ベアリングシャフトはパイプアーム部と2本のセットスクリューで固定されています。このセットスクリューは主に航空機用に使用される特殊なロッキングナットで、振動を受け続けても微動だにしません。また、ベアリングは精密加工されており、シビアすぎるほどの検定基準から選び抜かれたものだけを採用しています。

カウンターウェイトにはタングステンを採用しています。
カートリッジの針先と垂直回転軸の中心を同一線上に設定すると、アームの重心位置が垂直支点より上になるためバランスがとれません。また、従来の素材を用いたウェイトではアームの重心位置を低く設定すると大きくなるため、プレイヤーボードに接してしまいます。
SeriesVではカウンターウェイトにタングステンを用いる事でこの問題を解消しています。また、タングステンは非常に高い硬度を持つため加工が困難ですが、これについても専用の加工システムを開発する事で対処しており、タングステンの精密加工に成功しています。

アームベースは2分割になっており、アーム本体のピラーを両側から強固に固定する構造となっています。
プレイヤーボードの取り付け部分とピラーを締め付ける部分に分かれ、2つの結合面は旋盤のレースと同様のV字型の突起と溝で噛み合う設計となっています。このV字型の突起の片面にラックギアを切り込み、オーバーハング調整ができます。

SME独自のフルイドダンパーをSeriesV用にアレンジしたものを採用しています。
このダンパーはシリコンオイルの流動特性を利用して共振を制動しており、ハウリングを防止し低域をクリアにします。SeriesVではこのオイルダンプを標準装備しており、アームをアームレストに戻すとオイルバスが遮蔽される配慮がされています。

出力コネクターは90゜の角度で設置しており、300゜の範囲で回転する設計となっています。これによりケーブル引き出しの自由度を高めています。
また、ケーブル自体にもバランスタイプの2芯シールド線を採用しており、単芯に比べて高いシールド効果を持たせてノイズの影響を排除しています。

機種の定格
型式 トーンアーム
実効長 233.15mm
スライドベース中心からターンテーブル中心まで(L) 215.35mm
スライドベース移動範囲 ±9.0mm
取付面からアーム最高部までの高さ調整範囲(H) 最高:87.0mm
最低:56.4mm
取付面からターンテーブル上面までの高さ調整範囲(T) 最高:57.9mm
最低:26.4mm
取付面から下方に必要な深さ(D) 56.0mm
バランスウェイトの移動のために必要な後方間隔(R) 73.0mm
ターンテーブル上面からダストカバー内側までの間隔(C) 35.0mm