SIMAUDIO P-5
¥750,000(1997年頃)
解説
NON-NFB回路を採用したプリアンプ。
アンプの設計では一般的にNFBを用いて歪を低減しています。しかしNFBを用いるとスルーレート特性が悪化し、反応速度が遅くなったり、位相ずれが起きたり、スピーカー側で発生したエネルギーがアンプに取り込まれるなど、デメリットも見られるました。
この問題を解消するため、NFBを用いずに独自の回路であるルネッサンスサーキットを採用しています。このサーキットのベースになっているのが、Dale、Wima、Cornell Dubiller、Motorola社などNASAに納入実績を持つ超精密タイプのパーツや軍規格のガラスエポキシプリント基板を採用で、これにより応答性に優れ立ち上がりの良い再生音を実現しています。
P-5のコントロール部と電源部は別シャーシで完全に分離されており、微小振動や磁気による悪影響を排除しています。
さらに電源部はアナログ用トランスとデジタル用トランスに分離されています。デジタル用電源はデジタルディスプレイ用とRGBゲインコントロール専用に使用されています。
アナログ用トランスにはトロイダルトランスを採用しています。このトランスは鉄のコアに熱処理を行い磁性体の方向を同一方向にしています。
コントロール部のパーツは左右対称のレイアウトとなっており、LRの影響を打ち消し合う様になっています。
また、入力から出力までは約9インチ(22.8cm)と最短距離となっており、外部ノイズの飛び込みやインピーダンスの上昇を抑制しています。
ボリューム部にはSim Audioによって開発されたRGBゲインコントロールによる出力レベル設定を採用しています。
つまみはデジタルエンコーダーに取り付けられており、長期使用の信頼性があります。このRGB技術もNASAに納入している高度専門メーカーの部品供給によって実現しています。
入力はRCAが4系統、バランスが1系統あり、出力はRCA1系統とバランス1系統があります。
バランスの入出力端子にはスイスのノイトリック社製のものを採用しています。
P-5は販売時期によってフロントパネルのデザインが若干異なるようです。
MOONブランドのパネルデザインのものもあったようです。
機種の定格
型式 | プリアンプ |
全高調波歪率 | 0.02%以下(20Hz~20kHz) |
S/N比 | 98dB(Full Power) |
周波数特性 | 20Hz~20kHz 0.1dB |
ゲイン | 6.5dB |
入力端子 | Line:4系統 Balance:1系統 |
出力端子 | Tape rec:1系統 Line:1系統 Balance:1系統 |
外形寸法 | 幅433x高さ190x奥行360mm |
重量 | 13.5kg |