OTTO/SANYO DCA-1300
¥43,800(1971年頃)
解説
ベストセラーとなったDCA-1400をリファインしたプリメインアンプ。
アンプ部にはピュアコンプリメンタリー結合の出力段を採用しています。
この方式ではメイン部最終段にプラス信号を増幅するNPN型とマイナス信号を増幅するPNP型のシリコントランジスタを対称に組合せて使う回路で、位相の反転と電力増幅を同時に行うトランジスタ回路方式です。これによりプラス信号とマイナス信号のつなぎ目が理想的になり、スイッチング歪を除去できます。
全段直結OCL回路を採用しており、段間のコンデンサを1個も使わず、±2電源方式で出力コンデンサも取り除いています。
位相の回転を起こして回路を不安定にするコンデンサを排除したことでNFBは直流域から安定して均等にかかり、周波数特性や出力帯域特性、ダンピングファクターなどを改善しています。
全段直結ピュアコンプリメンタリー回路では出力端子の安定度が重要となります。
DCA-1300ではメイン部の初段に差動増幅回路を採用しており、電源電圧の変動に対して出力回路の中点電位が0Vになるようにしています。
プリアンプ部のイコライザ回路には2段NF型を採用しています。低雑音で有名な2SC693などを厳選し、高い動作電圧で使用することで優れたSN比と130mVという許容入力を得ています。
また、イコライザ素子を一個一個厳選することで優れたRIAA偏差を得ています。
トーンコントロール部は2dBクリック付きとなっており、回路にはNF型を採用しています。
メイン部の初段にはダイオードを用いた遅延回路が付加されています。これにより電源ON時のショックノイズを取り除いています。
電源回路にはトランジスタとツェナーダイオードを用いたリップルフィルタ兼用の定電圧電源を採用しています。
機種の定格
| 型式 | プリメインアンプ |
| <メインアンプ部> | |
| 回路方式 | 全段直結差動増幅ピュアコンプリメンタリー回路 |
| ミュージックパワー | 60W(IHF) |
| 実効出力 | 23W/23W(片ch動作、8Ω) 20W+20W(両ch動作、8Ω) |
| 全高調波歪率 | 0.5%(定格出力時) |
| 混変調歪率 | 0.2%(定格出力時) |
| パワーバンドウィズス | 10Hz~100kHz |
| 周波数特性 | 15Hz~100kHz |
| 入力感度/インピーダンス | 450mV/100kΩ |
| ダンピングファクター | 70(8Ω) |
| 負荷インピーダンス | 4Ω~16Ω |
| <プリアンプ部> | |
| 入力感度/インピーダンス | Phono1、2:2.5mV/50kΩ Tuner、Aux1、2:100mV/65kΩ Mic:3.2mV/50kΩ Tape PB:100mV/75kΩ |
| 周波数特性 | 10Hz~70kHz |
| SN比 | Phono1、2:65dB Tuner、Aux1、2:75dB |
| トーンコントロール | Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
| ラウドネスコントロール(Vol-30dB) | +9dB(100Hz)、+1.5dB(10kHz) |
| フィルター | Low:70Hz、-6dB High:10kHz、-6dB |
| <総合> | |
| 付属回路 | テープモニター ローフィルター ハイフィルター モード ラウドネスコントロール スピーカーセレクタ Mic端子 プリ・メイン分離端子 DIN規格録再コネクター パワートランジスタプロテクタ ヘッドホン端子 |
| 使用半導体 | トランジスタ:25個 ダイオード:23個 |
| 電源電圧 | AC100V、50H/60Hz |
| 消費電力 | 55W |
| 外形寸法 | 幅420x高さ130x奥行330mm |
| 重量 | 8.5kg |