
SANSUI TU-7900
¥60,000(1976年頃)
解説
高忠実度なFMステレオ再生をテーマに開発されたFM/AMチューナー。
フロントエンド部のRF段には高周波特性が優れ、かつ低雑音のデュアルゲートMOS型FETを使用しており、同調精度が高く精密仕上げの周波数直線型4連バリコンと組み合わせています。これにより妨害信号などの排除能力を十分に備えています。
IF部には高利得でリミッター特性に優れた専用IC3個と、4素子フェイズリニアー・セラミックフィルター2個、2素子セラミックフィルターなどを使用しています。これにより選択度特性と位相特性の相反する関係を改善し、優れた2信号選択度特性を得るとともに基本特性に優れた回路構成としています。
また、検波回路には直線性が良く広帯域のレシオ検波を採用しています。
MPX部にはICを用いたPLL方式を採用しており、優れたセパレーション特性と低歪率を獲得しています。
AMチューナー部は高集積度のICに加えてRF1段を設けた高感度設計となっています。特にIF部にヤーマンタイプの2素子セラミックフィルターとICを使用することで歪の少ない回路としています。
また、夜間などに発生するビート音を防止するためホイッスルフィルター回路を搭載しており、AM放送の音質向上を図っています。
電源部にはレギュレーションの良い電源トランスを使用しています。
また、定電圧電源回路による安定化電源を全段に供給しており、各ブロック段は安定度の高い動作を実現しています。
FM MPXノイズキャンセラーを搭載しており、FMステレオ受信時に発生する高域ノイズをカットできます。
TU-7900では自動的にノイズをカットする構造となっており、FMステレオ受信時に電波が弱くノイズが発生する場合は自動的に作動します。
FMミューティング回路を搭載しています。
2系統のFMアンテナ入力端子を搭載しています。
FMアンテナアッテネータースイッチを搭載しており、強力な電波や弱い電波のレベルに応じて最適な入力レベルでFM放送の受信ができます。
アウトプットボリュームを搭載しており、出力レベルの調整が可能です。
また、録音専用の出力端子も搭載しています。
マルチパス観測端子を搭載しており、オシロスコープを接続して波形を観測しながらFMアンテナの方向を調整することで最良のFM受信が可能です。
また、TU-7900ではマルチパス検出回路を内蔵しており、シグナルメーターでマルチパスの状態を観測できます。
フェライトバーアンテナを搭載しています。
フロントパネルにはヘアラインを活かしたアルマイト仕上げのブラックパネルを採用しています。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー |
<FMチューナー部> | |
実用感度(IHF) | 1.7μV/9.8dBf(新IHF) (最大許容入力125dB以上) |
S/N50dB感度 | mono:3μV/15dBf(新IHF) stereo:32μV/35dBf(新IHF) |
全高調波歪率 | mono:0.25%以下(1kHz) stereo:0.35%以下(1kHz) |
S/N比 | mono:75dB以上 stereo:65dB以上 |
実効選択度 | 85dB以上(±400kHz) |
キャプチャーレシオ | 1.5dB以下 |
AM抑圧比 | 55dB以上 |
イメージ妨害比(IHF) | 70dB以上(83MHz) |
IF妨害比(IHF) | 95dB以上(83MHz) |
スプリアス妨害比(IHF) | 85dB以上(83MHz) |
ステレオセパレーション(IHF) | 30dB以上(100Hz) 40dB以上(1kHz) 30dB以上(10kHz) |
周波数特性(IHF) | 30Hz~15kHz +0.5 -2.0dB |
<AMチューナー部> | |
感度(バーアンテナ) | 50dB/m(1,000Hz) |
選択度 | 30dB以上(1,000Hz ±10kHz) |
イメージ妨害比 | 30dB/m以上(1,000Hz) |
IFリジェクション | 30dB/m以上(1,000Hz) |
<総合> | |
出力電圧(FM100%変調) | 可変出力:0~775mV 録音用出力:400mV |
消費電力 | 18W |
外形寸法 | 幅430x高さ132x奥行243mm |
重量 | 6.6kg |