
SANSUI TU-207
¥29,800(1977年頃)
解説
基本性能を充実させると共に薄型デザインを採用したFM/AMチューナー。
FMフロントエンドの高周波段に特性の良いジャンクション型FETを採用しています。
また、精密加工による周波数直線型3連バリコンとの組み合わせによって200kHz目盛間隔による周波数読み取り精度を向上させています。
IF部には、入力信号を忠実に伝送するため、電力帯域幅積が広く逆伝達関数の大きなトランジスタを用いたディスクリート1段+3段差動リミッターICとの組み合わせを採用しています。これにより十分なゲインとリミッター特性を得て小入力から大入力に至るまで安定した動作を達成しています。
また、FMフロントエンドから検波段までの群遅延平坦特性を重視し、4素子リニアフェイズセラミックフィルターを使用しています。
検波回路にはクアドラチュア検波回路を採用しています。
クアドラチュア検波回路はFM変調波を0゜と90゜位相をずらして掛け算する事で音楽信号を得る方式です。90゜移相したのち、ICとサンスイ独自のダブルチューン広帯域同調回路を用いて微分利得の平坦化を限界まで追求しており、Sカーブの直線性が良く、微分利得特性のうねりを0.5%以内に抑え、帯域幅を±200kHz以上に拡張し、検波歪の発生を最小限に抑えています。
MPX部にはPLLを採用しています。
PLL回路で問題となるパイロット信号とのビート歪が発生する問題については、時定数の相違する2段ラグリード型ローパスフィルターを採用しており、低域でのフィルター効果を向上させて安定した動作を実現しています。
FMミューティング回路を搭載しています。
このミューティング動作はFM auto時に動作します。また、FM mono時にはミューティングは動作せず微弱な電波に対して威力を発揮します。
AMチューナー部には2連バリコンとAM専用高集積度モノリシックICを使用しています。
また、AM-IF部には高選択度特性のセラミックフィルターとLCブロックを内蔵させており、微弱な信号から強力な信号まで安定した受信を可能にしています。
電源部にはレギュレーションの良いパワートランスを使用すると共に、全回路へ定電圧電源回路による電源供給を行っています。
シグナルメーターとセンターメーターの2メーター方式を採用しています。
AM専用のフレキシブル型バーアンテナを装備しています。
FM用アンテナ端子には300Ωと75Ω同軸用の2系統を装備しています。
また、AMアンテナ端子も装備しています。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー |
<FMチューナー部> | |
実用感度(IHF、83MHz) | mono:10.3dBf(旧IHF 1.8μV) stereo:20dBf(旧IHF 5.5μV) |
50dBクワイティング感度(IHF) | mono:15dBf stereo:37dBf |
S/N比 | mono:71dB以上 stereo:70dB以上 |
周波数特性 | 30Hz~15kHz ±1dB(stereo) |
歪率(IHF、65dBf) | mono: 0.13%以下(100Hz) 0.12%以下(1kHz) 0.23%以下(6kHz) stereo: 0.17%以下(100Hz) 0.13%以下(1kHz) 0.25%以下(6kHz) |
キャプチャーレシオ | 1dB以下 |
選択度(IHF) | 50dB以上(400kHz) |
スプリアスレスポンス比(IHF) | 80dB以上(83MHz) |
イメージレスポンス比(IHF) | 55dB以上(83MHz) |
IFレスポンス比(IHF) | 95dB以上(83MHz) |
AM抑圧比(IHF) | 55dB以上 |
ステレオセパレーション | 40dB以上(1kHz) |
出力電圧/インピーダンス | 0.7V/2kΩ |
<AMチューナー部> | |
実用感度(IHF、バーアンテナ) | 48dB/m(1MHz/250μV/m) |
選択度 | 35dB以上(±10kHz) |
S/N比 | 48dB以上 |
歪率(30%変調、80dB/m) | 0.5%以下 |
イメージレスポンス比(IHF) | 50dB以上(1MHz) |
IFレスポンス比(IHF) | 38dB以上(1MHz) |
<総合> | |
消費電力(電気用品取締法) | 4W |
外形寸法 | 幅430x高さ110x奥行307mm ラックマウントアダプター付き:幅482x高さ110x奥行314mm |
重量 | 5.1kg ラックマウントアダプター付き:5.3kg |