SANSUI SP-XII
¥44,800(1台、1972年頃)
解説
DLコーンウーファーを採用し、測定だけでなくリスニングルームでの聴感を重視した3ウェイスピーカーシステム。
低域には25.5cmのコーン型ユニットを採用しています。
コーン紙にはパルプコーンに特殊コーティング剤を塗布したDLコーンを採用しており、ピストン運動帯域を拡大し、S/Nを改善しています。
また、ボイスコイルには0.27mm経の銅線を直列4層巻にし、磁束密度を高め能率を向上させています。
さらに、エッジには両面にダンプ剤を塗布した低Qアップロールエッジを採用し、foを下げています。
中域には3.5cmのソフトドーム型ユニットを採用しています。
振動板には純麻を使用しダンプ剤を塗布してあり、さらに振動板内部にミクロン繊維のグラスウールを2段重ねにして、振動板に一定の張力をもたせています。
これにより、歪となって現われる変形振動を制御し、歪を低減させて聴感上のS/N比を向上させています。
また、ボイスコイルには軽量化と導電性に優れた0.15mm径のC.C.A.W.を使用しており、磁気回路には11,000ガウスのマグネットが採用されています。
フレームには、4.5mm厚のアルミダイカスト製で、ユニット取り付け時のフレームの歪みや共振の影響、磁束漏れなどによる音質の劣化を防いでいます。
高域には1.9mmのドーム型ユニットが採用されています。
振動板の材質にダンプ剤を塗布した特殊繊維を使用しており、形状を大きくせりだしたドーム型構造とすることで、振動板の強度もあがり、分割振動と不要な変形運動を制御すると共に、指向特性を改善しています。
また、0.15mm径の銅被膜アルミ線を使用したC.C.A.W.ボイスコイルと磁束密度12,000ガウスの磁気回路により、過渡特性を向上させています。
フレームには4.5mm厚の精度の高いアルミダイカスト製となっています。
ネットワークには低域、中域用に磁束密度が高く、ダイナミックマージンが大きく、大入力でも磁気歪を起こさないラミネートコアを採用して、低歪率化をはかっています。
また、トゥイーターのローカットには空芯コイルを採用し、小入力時の非直線性歪をなくしリニアリティを改善しています。
エンクロージャーは密閉型を採用しており、板の材質や、補強材が吟味され採用されています。
また、吸音材を大量に入れることで歯切れのよい重低音を再生します。
さらに、前面バッフル板には特殊なポリウレタンを貼りつけ、位相特性や指向特性を改善しています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:25.5cmコーン型 中域用:3.5cmドーム型 高域用:1.9cmドーム型 |
周波数帯域 | 40Hz~20000Hz |
最大許容入力 | 55W |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 1500Hz、10000Hz |
ネットワーク | High Cut(ウーファー):6dB/oct Low Cut(スコーカー):18dB/oct Low Cut(トゥイーター):18dB/oct |
トゥイーターレベル | 中域、高域:ボリューム式連続可変(3クリックポイント) |
外形寸法 | 幅346x高さ598x奥行300mm |
重量 | 17.7kg |