
SANSUI SP-V100
¥46,000(1台、1982年頃)
解説
瞬間レスポンスの改善というテーマの下、バイクリスタル振動板を採用したブックシェルフ型スピーカーシステム。
ウーファーとミッドレンジの振動板にバイクリスタル振動板を採用しています。
この素材はポリプロピレンと結晶マイカの2つの素材を結合した構造となっています。優れた内部損失を持ちながら剛性を高めるのが難しかったポリプロピレンに、十分な剛性を有するなど優れた物性を持つ結晶マイカを混合し、特殊成型によって振動板状としています。ミクロ的にはポリプロピレン結晶とマイカ結晶とが重なり合うような結晶構造となっており、2つの結晶体の相乗効果で単一素材では得られない良好な素材特性を実現しています。
このバイクリスタル振動板は、剛性が紙やポリプロピレン(オレフィン系)に比べて2~3倍高く、紙に比べて内部損失(tanδ)が2倍大きくなっています。また、非メタル高分子材料の中で音速は10~20%早く、質量はポリプロピレンとさして変わらないという特徴を持っています。これらのことからワイドでフラットなレスポンスとパワーリニアリティに加え、優れた過渡応答特性を実現し、瞬間レスポンスの改善を実現しています。
低域には27cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このウーファーではバイクリスタルの物性をさらに有効に引き出すため、特徴のあるマイクロコルゲーションをコーンに施し、より実効的な剛性を確保しています。これにより素材から発生する鳴き現象を抑えています。
また、ダンパーも音質的に吟味しており、動特性の優れたハイスピードダンパーを採用しています。
磁気回路には磁束密度10,500gaussの大型ストロンチウムフェライトマグネットを採用しており、T型ポールの採用などによって歪を大幅に低減しています。
フレームにはアルミダイキャストフレームを採用しています。
中域には13cmコーン型ミッドレンジを搭載しています。
振動板にはバイクリスタル振動板を採用しており、磁気回路には磁束密度12,000gaussを持つフェライトマグネットとT型ポールを採用しています。
フレームにはアルミダイキャストを採用しており、バッフル板にしっかりと固定されています。
高域には2.5cmハードドーム型ツィーターを搭載しています。
振動板には新開発のクロムスパッタリングによる3層構造蒸着振動板を採用しており、高剛性と軽質量化を実現しています。
また、15,000gaussの磁束密度を持つマグネットによる磁気回路を採用しています。
ネットワーク部にはオーソドックスな並列型12dB/octのネットワークを採用しています。
この回路ではワイヤーによる音質への影響に着目し、ミッドレンジやツィーター用のインダクタンスに無酸素銅を採用するなど、音質的に吟味した素材を採用しています。
中域と高域にレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
フロントバッフルとリアバッフルには20mm厚の高密度音響ボードを配し、他のボードも高密度音響ボードを採用しています。さらに各部に補強を施し、高い剛性を獲得しています。
また、左右スピーカーのユニット配置を対称型とすることで音像定位を改善しています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:27cmコーン型 中域用:13cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型 |
最大入力 | 120W |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
周波数特性 | 30Hz~35kHz |
クロスオーバー周波数 | 800Hz、5kHz |
内容積 | 43.5リットル |
外形寸法 | 幅335x高さ600x奥行325mm |
重量 | 18.1kg |