
SANSUI XR-Q5
¥59,800(1982年頃)
解説
XR-Q7IIの基本性能を可能な限り受け継ぎ、さらにMCカートリッジを搭載したフルオートプレイヤー。
ダイレクトドライブ方式ので発生していたキャビネットのネジレ振動を低減するため、独自のサイレント・シンクローターを採用しています。
サイレント・シンクローター方式では、モーターが定常回転をしている時は動かず、トルク変動があるとその反作用のみを取り除くように動くシンクローターを下部に搭載しています。これによりモーター間の反作用を互いに吸収し合うことでキャビネットの回転振動レベルは1/4以下に低減され、ネジレ振動を解消しています。
駆動モーターには従来のコアレスモーターの問題点を解決したFF(Friction Free)コアレスモーターを採用しています。
このモーターのステーターは非磁性体で作られており、磁気回路を形成するためのヨークローターはスピンドルに固定されています。このため、ローターの磁石と全く同一に回転することでステーターと磁石間に吸引力は働かず、軸受にはローターの自重以外の圧力がかからなくなっています。
また、磁気回路を形成するヨークローターが磁石と共に回転しているため、磁気ヒステリシスも渦電流も生じないという理想的な動作が可能となっています。さらに、トルクむらを極力小さくできるサイン波によるリニア駆動方式を採用することでスムーズな回転を可能にしています。
このFFコアレスモーターは、ターンテーブルを外してスピンドルを手で回すと、従来のコアレスモーターに比べてスムーズかつ滑らかに長く回転するのが確認できます。
サーボ回路にはクォーツロックサーボ方式を採用しています。
トーンアームにはD.O.B.(Dynaoptimum Balanced)トーンアーム(最適支持点トーンアーム)を採用しています。
このアームは、振動伝達のメカニズムに対し支点位置の理論解析というアングルからアプローチして開発されたもので、ピボット軸を動的支点に置くことで針先からピックアップされた振動がピボットに伝わるのを抑制し、さらに外部振動が針先に伝わるのを抑制しています。
また、真鍮製ストレートタイプのアームパイプを採用してます。
コネクター部にはADCタイプのユニバーサル方式を採用しています。
カートリッジには左右チャンネルで独立した発電機構を持つデュアルコイル方式のMCカートリッジを採用しています。
このカートリッジはMC型でありながら針交換が可能です。
コンピューター制御による光電検出型・無接触フルオート機構を搭載しています。
この方式は初動感度の劣化などのアーム基本性能への悪影響がありません。また、針先やレコード、オートメカニズムを保護するセーフティ設計が施されており、オート動作中に故意にトーンアームを止めた場合やメカトラブルの場合には、20秒後に全ての動作がストップします。
キャビネットには高密度素材を採用した重厚なミラー仕上げのウッドキャビネットを採用しています。
機種の定格
型式 | レコードプレイヤー |
駆動方式 | 電子制御ダイレクトドライブ |
モーター | クォーツPLLサーボFFコアレスモーター |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
ターンテーブル | 30.8cm、1.5kg(ゴムシート含む) |
ワウフラッター | 0.012%以下(WRMS) |
SN比 | 78dB以上(DIN-B) |
起動特性 | 2秒at33・1/3rpm |
回転数偏差 | ±0.002% |
トーンアーム | スタティックバランス型最適支持点方式ストレートアーム |
実効長 | 245mm |
オーバーハング | 16mm |
カートリッジ | MC型(AT-3100S) |
周波数特性 | 20Hz~23kHz |
出力電圧 | 0.4mV(1kHz、50mm/sec) |
負荷インピーダンス | 100Ω |
適性針圧 | 1.7g±0.3g |
針先 | 0.6milダイア針(ATN-3100S) |
フルオート機構 | オートリードイン オートリターン オートリピート マニュアルリフター付 |
定格消費電力 | 8W |
外形寸法 | 幅490x高さ178x奥行385mm |
重量 | 9.5kg |