SANSUI B-2301 Vintage
¥470,000(1982年発売)
解説
プリメインアンプで蓄積された技術と実績を基に、新しい視点から分析と技術的なチャレンジを行い開発された高級ステレオパワーアンプ。
回路構成は、出力段にはPc200Wのパワートランジスタを片チャンネルあたり8個用いた4パラレル構成の新開発ダイアモンドパワーステージを採用しており、プリドライブ段には高域特性を改善したカスコード接続プッシュプル構成を採用しています。
電源部には178x173x120mmの大型トロイダルトランスを搭載しています。
このトランスは12kgもの重量があり、1.3kVAという大容量を実現しています。しかもコイルの巻線手法に従来にないノウハウを注ぎ込み、充填剤まで音質上の配慮を払っています。
電源部はこのトランスを核にしてパワーステージに60,000μF、プリドライブステージに40,000μFのピュアフォーカスコンデンサを用いた構成となっており、ステージ独立、左右チャンネル独立の6電源方式となっています。これによりハイパワーを余裕をもってサポートするとともに、音質にきわめて有害なIHMも完璧なまでに排除しています。
シャーシ構造には純銅製のサブシャーシを採用しており、電磁気的シールドと電磁波的シールドを得るとともに適度な内部損失によって防振性も確保しています。また、純銅製ケースや堅牢なアルミシャーシを採用することで素材からもシールド効果や振動抑制効果を追求しています。
さらに、パワートランジスタの振動防止のため特製アルミブロックと純銅板によってサンドイッチ構造としており、それを大型ヒートシンクに強固に固定することで、振動レベルを大幅に低減しながら電磁波の輻射を防止しています。
電源部に使用した新開発のピュアフォーカスコンデンサをはじめ、信号系には音質的に吟味を重ねた銅箔スチロールコンデンサーや振動を防止したダンプ材つきブチルコンデンサーを、パワートランジスタには共振現象の排除も対策した最良品を採用しています。さらに、極めて良質なカーボン抵抗やラムダ抵抗を採用するなど、当時望みうる最良のパーツを徹底的に厳選して投入しています。
プリント基板上に描かれているプリントパターンは通常の4倍にあたる140μ厚となっており、直流的、交流的に極めて低インピーダンス化されています。
ディスプレイ部には液晶パワーメーターを採用しています。
これは-60dBまで読み取れる対数圧縮式のメーターで離れた場所からでも確実に出力モニターできるものとなっています。また、ピーク指示とピークホールド指示(3sec)の切替が可能です。
さらに万一DC漏れがあった場合には保護回路が動作し、DC Leakが点灯します。また、誤接続による発振や負荷ショート時はProtectorが点灯し、過大入力の時はOver
Swingが点灯するといったように保護回路と連動した見やすいインジケーターとなっています。
入力端子には従来の5~6倍の厚さを持つ3μ厚の金メッキ処理が施されています。さらにバランス入力型キャノン端子を搭載しており、インプットセレクターによってノーマル/バランス切替がワンタッチで行えます。
また、入力レベルのセッティングはアッテネータータイプを採用しています。
極性表示付き電源コードを採用しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
定格出力 | 300W+300W(8Ω、20Hz~20kHz) 550W+550W(4Ω、1kHz) |
全高調波歪率 | 0.003%以下(定格出力時、10Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.003%以下(60Hz:7kHz=4:1) |
周波数特性 | DC~300kHz +0 -3dB |
入力感度/インピーダンス | Normal:1V/15kΩ Balanced:2V/10kΩ |
スルーレイト | ±300V/μsec |
ライズタイム | 0.5μsec |
SN比 | 120dB |
TIME歪 | 測定限界値以下 |
エンベロープ歪 | 測定限界値以下 |
消費電力 | 630W(定格、電気用品取締法による) |
外形寸法 | 幅474x高さ215x奥行490mm |
重量 | 37kg |