
SANSUI AU-D907F Extra
¥175,000(1981年発売)
解説
AU-D907FのEXTRAバージョンとして改良が施されたインテグレーテッドアンプ。
パワーアンプ部にはサンスイ独自のスーパーフィードフォワードシステムを採用しています。
AU-D907F EXTRAではこの回路のさらなる高品質化を図るため、エラーコレクションアンプにMOS-FETを採用していばす。バイポーラトランジスタの5倍以上のスイッチングスピードを持ち、さらに広帯域特性や温度の安定性に優れたMOS-FET用回路を使ったことによってエラーコレクションアンプが作り出す歪打ち消し信号の安定ドが向上しています。
また、プリドライバ段にはTIM歪を限りなくゼロに抑えたダイアモンド差動回路を搭載しています。
MCカートリッジに対応するため、リニアステップMCトランスを搭載しています。
このトランスはサンスイのアンプ技術とトランス技術を反映させたもので、パーマロイ5重シールド構造、78%0.1m/mLタイプパーマロイコアを採用するとともに太い巻線をバランス特殊巻線構造にしており、さらにマイクロフォニック・ショックノイズ対策も施さています。これにより動特性が良く、ワイドレンジでSN比の高いトランスを実現しています。
また、あらゆるMCカートリッジに対応するためHighインピーダンスとLowインピーダンスの切替が可能です。
電源部にはレギュレーションに優れたCIコアによるバランス巻線の大型トランスを採用しています。また、コンデンサーにはハイスピード・超低倍率のオリジナルαコンデンサーを新開発して採用しており、12,000μFx4によって低域の音作りを行い、4,700μFx4のαコンデンサーでは中域以上の充実を図っています。さらに、ファーストリカバリーダイオードを採用することで再生音のハイスピード化を図っています。
またトータル5電源構造とすることで左右の独立とステージ間の干渉排除を図っています。
イコライザー回路にはダイアモンド差動回路のDCアンプ構成を採用しています。
初段はペア特性が良く、ローノイズ、ハイgmのデュアルFETを用いた差動回路を採用しており、入力インピーダンスによる影響を受けないカスコード・ブートストラップ回路を構成しています。また、2~3段はドライブ能力に優れたダイアモンド差動回路と電流差動プッシュプルで構成しています。そして、出力段はダーリントン接続によるSEPP回路で充分な電流余裕を得ており、低出力インピーダンスと低インピーダンスNF回路で負荷インピーダンスの変化にも十分なダイナミックレンジがとれ、SN比も向上しています。
また、DC領域の安定化を行いながら出力コンデンサーを排除するため、DCサーボを採用しています。
マグネットディストーションを排除するための素材・コンストラクションを採用しています。
AU-D907F EXTRAではシャーシに銅メッキを施すことで非磁性体化し、アンプの骨組みから磁気歪を排除しています。また、ヒートループを中央に配し、発熱などによる影響から解放することで磁気フラックスを避けることに集中できるコンストラクションとなっています。
さらに、NM(ノンマグネティック)素子の採用などによってマグネット・ディストーション対策を徹底しています。
16Hzのサブソニックフィルターと20kHzのスーパーソニックフィルターを搭載しています。
トーンコントロールにはターンオーバー周波数切替機能を搭載しています。
2系統のソースが独立するレコーディングセレクターと2回路テープモニター/コピー機能を搭載しています。
リアルウッドのサイドパネルを採用しています。
金メッキフォノ入力端子を採用しています。
機種の定格
型式 | インテグレーテッドDCアンプ |
<パワーアンプ部(Super Feedforward & DD/DC方式)> | |
実効出力 | 130W+130W(8Ω、10Hz~20kHz、THD 0.003%) 130W+130W(8Ω、1kHz、THD 0.002%) |
全高調波歪率(10Hz~20kHz、実効出力時) | 0.003%以下(8Ω) |
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1、SMPTE) | 0.003%以下(8Ω) |
出力帯域幅(IHF、両ch動作、THD 0.02%) | 5Hz~80kHz(8Ω) |
ダンピングファクター(新IHF、20Hz~20kHz) | 100(8Ω) |
周波数特性(1W) | DC~300kHz +0 -3dB |
エンベロープ歪 | 測定限界以下 |
TIM歪(Sawtooth法) | 測定限界以下 |
スルーレイト | ±250V/μsec(8Ω) |
ライズタイム | 0.5μsec |
<イコライザーアンプ部(Hi-Precision DCサーボイコライザー)> | |
入力感度/入力インピーダンス(1kHz) | Phono1、2 MM:2.5mV/47kΩ Phono1、2 MC(Low/High):70μV(3.2Ω)/250μV(40Ω) Tuner、Aux、Tape play1、2:250mV/27kΩ |
Phono最大許容入力(1kHz、THD 0.01%) | MM:200mV MC:25mV(low)、トランス方式 |
出力レベル/インピーダンス(1kHz) | Tape rec(PIN):250mV(47kΩ)/600Ω |
全高調波歪率(20Hz~20kHz、5V出力時) | Phono1、2 MM:0.005%以下 Phono1、2 MC:トランス方式 |
RIAA偏差(MM、Rec out) | 20Hz~300kHz ±0.2dB |
SN比(Aネットワーク、ショートサーキット) | Phono1、2 MM:90dB以上 Phono1、2 MC:75dB以上(Low) Tuner、Aux、Tape play1、2:110dB以上 |
Phono入力換算雑音 (Aネットワーク、ショートサーキット) |
Phono1、2 MM:-142dBV Phono1、2 MC:-155dBV |
チャンネルセパレーション(1kHz) | Phono1、2 MM:60dB以上 Phono1、2 MC:50dB以上 Tuner、Aux、Tape play:80dB以上 |
トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
トーンセレクター | Bass:150Hz、300Hz Treble:3kHz、6kHz |
フィルター | Low:16Hz(-3dB、6dB/oct) High:20kHz(-3dB、6dB/oct) |
オーディオミューティング | -20dB |
<総合> | |
定格消費電力(電気用品取締法) | 320W |
外形寸法 | 幅460x高さ160x奥行444mm |
重量 | 17.7kg |