
SANSUI AU-α907
¥198,000(1986年発売)
解説
α-Xバランスサーキットを採用したインテグレーテッドアンプ。
パワーアンプ部にはサンスイ独自のα-Xバランスサーキットを採用しています。
α-Xバランスサーキットでは、信号回路、電源回路、NFB回路で徹底して信号をアースから独立させており、IHM歪などが排除されています。さらに、プリ部にバランスアンプを搭載することでα-Xバランス入力だけでなく通常入力もα-Xバランス伝送できています。
この回路ではスピーカーの+側と−側を各々専用のアンプでドライブするため、スピーカーの動きをアンプ側で制御することが可能です。
電源部にはαーXバランス電源を採用しており、アースとは独立してエネルギー供給を行っています。こにれよりACラインからのノイズ混入がなく、スピーカーへアンバランス電流やリップル電流が流れ込むのを防いでいます。さらに、電源方式はパワー段と電圧増幅段とを分離独立させており、相互干渉を排除しています。
電源トランスには密閉式超大型電源トランスとグレイト・ピュアフォーカス/HSコンデンサーを採用しており、安定したエネルギー供給を可能にしています。
パワーアンプダイレクトを搭載しており、入力信号をパワーアンプに直結することができます。
ダイレクト端子には通常の端子とバランス入力の2系統が設けられています。
ボリュームには専用開発された6連マスターボリュームを採用しています。
このボリュームはプリメインアンプ用2連(インピーダンス50kΩ)と低インピーダンス型ダイレクトポジション用4連(インピーダンス5kΩ)のトータル6連となっており、サウンドクオリティを損なわない伝送・増幅を可能にしています。
目盛りはプリメイン用、ダイレクトポジション用を各々表示しています。
内部構造には左右チャンネルが分離したツイン・モノ・コンストラクションを採用しており、チャンネル間の相互干渉を排除しています。
また、パワートランジスタはパワーアンプ基板の下部に取り付けられており、パワートランジスタから発生する振動やノイズの悪影響を低減しています。さらに、パワーブロックが固定されたヒートシンクはダンプ材を介してソリッド・シャーシに固定されており、振動による悪影響を抑えています。
シャーシ構造には新開発のソリッドシャーシを採用しています。
ソリッドシャーシでは、フロント部と両サイドに外部パネルとは空間をおいて高剛性セパレーターを設置しており、外部筐体の中にパーツを擁護する内部筐体を設けた構造としています。さらに、内部筐体のボンネットとインシュレーターを直結するセパレーターを設け、アンプ内部の相互干渉を防止しています。
これにより上下、左右の振動に対してアンプ全体の構造を内部から高剛性化することで防振しています。また、ソリッド・シャーシのセパレーターはシールド効果の高い高導電率素材を使用しており、優れたシールド効果を得ています。
脚部にはCF5(シャーシ・フィクスド・5点支持)インシュレーターを採用しています。
CF5インシュレーターでは底板に固定されていた従来のインシュレーターとは異なり、ソリッドシャーシに直に固定されているため、底板をしっかりと固定し、全体的な剛性アップを実現しています。
また、インシュレーターにかかる荷重を均等化して振動を防止するため、大型インシュレーターを5つ使用しており、重量が集中する電源部付近にコンプライアンスを持つ5番目のインシュレーターを配することで荷重バランスをとり、メカニカルアースを実現しています。
ボンネットにはCF12(シャーシ・フィクスド・12点留め)ボンネットを採用しています。
CF12ボンネットでは、振動的解析結果から決定したコの字型剛性ボンネットを、従来よりもはるかに大型のネジ12本を使ってソリッドシャーシに固定することで共振や振動を抑えています。
フォノイコライザーは厳選したパーツを用いたディスクリート構成を採用しており、FET差動2段、トータル5段構成となっています。
音楽性を追求するため、プリント基板をむやみに乱用するのを避け、信号系や電源系、アース系にクロストーク対策と高導電性の実現を図るため積極的にワイヤーを使用しています。
ソースダイレクト機能を搭載しており、全てのソースをアクセサリー回路を通過せずにα-Xバランスサーキットに直結することができます。また、ソースダイレクト時にもトーンコントロールを使用できます。
ディフィート付きのトーンコントロールを搭載しています。
このトーンコントロールではターンオーバー周波数を切替えることができます。
Phono、CD、Tape/DAT-1、Power amp direct(Normal)の端子には金メッキ端子を採用してます。
極性表示付き電源コードを採用しています。
OFFポジション付きのRECセレクターを搭載しています。
フロントパネルはアルミ材を用いたグロッシー&ヘアライン仕上げとなっています。
機種の定格
型式 | インテグレーテッドDCアンプ |
<パワーアンプ部> | |
実効出力(10Hz~20kHz、両ch駆動) | 190W+190W(6Ω) 180W+180W(8Ω) |
全高調波歪率(実効出力時) | 0.003%以下(8Ω) |
混変調歪率 | 0.003%以下(8Ω) |
ダンピングファクター | 100(6Ω) |
周波数特性(1W) | DC~300kHz +0 -3dB |
入力感度/インピーダンス(1kHz) | Normal:1V/5kΩ Balance:1V/5kΩ |
SN比(Aネットワーク) | 120dB以上 |
TIM歪(SAWTOOTH) | 測定限界以下 |
スルーレイト | ±200V/μsec |
ライズタイム | 0.5μsec |
<イコライザー部> | |
入力感度/インピーダンス(1kHz) | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC:300μV/100Ω CD、Tuner、Line、Processor:150mV/47kΩ Tape play/DAT-1、2、3:150mV/47kΩ |
Phono最大許容入力 (新IHF、THD 0.01%) |
MM:210mV MC:21mV |
周波数特性(1W時) | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.2dB CD、Line、Tape play/DAT-1、2、3:1Hz~300kHz +0 -3dB |
SN比(1W時) | Phono MM:88dB以上 Phono MC:70dB以上 Tuner、Line、CD:110dB以上 Tape play/DAT-1、2、3:110dB以上 |
トーンコントロール | Bass:±5dB(50Hz) Treble:±5dB(15kHz) |
ターンオーバー周波数 | 75Hz、150Hz、7kHz |
サブソニックフィルター | 16Hz(-3dB、6dB/oct) |
ラウドネス | +8dB(50Hz)、+6dB(10kHz) |
<総合> | |
定格消費電力(電気用品取締法) | 370W |
外形寸法 | 幅448x高さ160x奥行441mm |
重量 | 28.0kg |