SANSUI AU-9500
¥135,000(1972年10月発売)
解説
サンスイが、選び抜いたパーツをもとに、最高の回路技術を駆使して完成させた、最高級プリメインアンプ。
十分に吟味された部品と、専門技術を駆使することによって、安定した全段直結OCLピュア・コンプリメンタリー回路を採用しています。また、大出力、低歪率を誇るパラレル・プッシュプル回路を採用することで、小出力から大出力までの、全高調波歪率、混変調歪率、またパワーバンドウイズも5Hzから40kHzまで0.1%以下を十分に余裕をもって保証しています。
電源部には大型電源トランスと、4x4,700μFの大容量コンデンサを使用しています。
各チャンネルごとに、パワー段に独立した電源供給するとともに、+−2電源方式を採用し、安定度を向上させ、パワートランジスタのゆとりをもった駆動を可能にしています。
さらに、パワー段とプリドライブ段を別電源にし、プリドライブ段をパワー段よりも高い電圧で駆動させています。このため、負荷変動に影響されずに安定したドライブを可能にしています。
パワートランジスタのコレクタ電流を従来の1/2に縮小できるパラレル・プッシュ回路。この回路では、トランジスタの電流特性の良い部分だけを選択できるため、全段直結OCLピュア・コンプリメンタリー回路とあいまって、歪を押さえ安定した高出力を得ることができます。
また、全段直結の安定度を左右する差動アンプを、低雑音トランジスタの組み合わせによる2段構成とし、定電流駆動させることにより、パラレル・プッシュプル動作が理想的に行われるよう設計しています。
アンプの安定度をはかる、一つの手段として考えられている、位相余裕を重視しています。
超低域ばかりでなく、超高域までも十分大きくとり、イコライザー部からメイン部にいたるまで、あらゆる負荷条件のもとでの信頼性が考えられています。
これにより、基本波に対して広範囲なスペクトル分布をし、かつパルシブな音楽の信号に対しても、性格な応答をしめし、安定な動作と共に、高品位な音質を可能にしています。
イコライザー回路は、PNP-NPN-PNPの3段直結イコライザー回路を採用しています。
さらに、安定した定電圧電源から供給される高電圧により、最大許容入力300mVとなっています。
また、音質に影響のあるRIAA偏差も、RIAA素子に、低雑音トランジスタ、誤差の少ない抵抗、コンデンサにより、30Hz~15kHzにおいて±0.5dBの値を保証しています。
スイッチ切換時に発生するクリックノイズは、−電源を利用し、初段のベース電位を0にすることにより解決しています。
トランジスタの保護には、過負荷になった場合に、出力段およびドライバー段のコレクタ電流が、ある一定値以上流れないように制限するカレントリミッター回路を内蔵しています。
電子回路を組合わせたリレーと、速断ヒューズにより、異常時にはパワートランジスタとスピーカーを保護します。
また、リレー回路はオーディオミューティングを兼ねているため、電源投入時の不快なポップノイズはありません。
低音、高音は3dBステップで±15dB、中音のみ1dBステップで±5dBと、理想的なカーブが得られる、サンスイだけのT.T.C.(トリプル・トーン・コントロール)を採用しています。
T.T.C.アンプは、初段に高入力インピーダンスを確保するため、ローノイズFETを使用し、3段直結、2段直結回路のNF型となっています。
音質は、トーンセレクター回路により、低音150Hz、300Hz、600Hz、高音6kHz、3.5kHz、2kHzを上昇、下降点とし、中音は750Hz、1.5kHz、3kHzを中心に、計9段階に調整することができます。
また、デフィート・スイッチを備えており、T.T.C.回路をそれぞれデフィートでき、フラットな特性が得られるように設計されています。
12dB/octの切れの良いNF型の専用アクティブ・フィルター回路方式を採用し、ハイ・フィルターは12kHz、6kHzに、ロー・フィルターは25Hz、50Hzに、カットオフ周波数を切替えることができます。
中域での周波数レスポンスの変動はありません。
テープモニター回路は2回路あり、同時に接続した2台のテープデッキのどちらにも、録音と再生モニターが可能です。
また、テープ・リプリント・スイッチにより、どちらのテープデッキからも、テープ・リプリントが自由にできます。リプリント中のモニターも可能です。
しかも、リプリントしながら、スピーカーからレコードやFMなどを普通に楽しむ事ができます。
4chアダプターを接続することで、4チャンネル・ステレオシステムを構成することができます。
4chアダプターを使用しない場合は、テープデッキを接続して、録音、再生モニターが可能です。
テープモニター回路に接続したテープデッキからテープ・リプリントも可能です。
N.R.(ノイズ・リダクション)アダプターを接続することにより、テープヒスを軽減し、接続した2台のテープデッキに、同時にHi-Fi録音することができます。
また、再生はテープモニター・スイッチの切替えで、どちらのテープデッキでも動作させることができます。
スピーカー端子はA、B、Cの3系統搭載しており、スピーカースイッチにより、それぞれ単独、A+B、A+Cを切り換える事が可能です。
Phono入力は2系統搭載しており、Phono1は50kΩ、Phono2はカートリッジに応じて30kΩ、50kΩ、100kΩの3段階に入力インピーダンスが切替えられるように設計されています。
プリアンプ部とメインアンプ部は、裏面パネルのコネクターをはずすことで単独で使用することが可能です。
ボリュームを使わなくても、音域のすべてを20dB減衰できるミューティングスイッチを搭載しています。
Deck1、2、AUXには、レベルアジャスターがついており、各入力レベルの統一ができ、セレクター切り替えのたびのボリュームセットを省く事ができます。
ハイ・インピーダンス型のマイクロホンの接続が左右別々にできます。
テープデッキの接続を簡単にするDINコネクターを搭載しています。
Stereo Reverse、Normal、Mono、L+R、L、Rの5ポジション モード・セレクターを搭載しています。
ラウドネス回路を搭載しています。
ヘッドホンジャックを2系統装備しており、うち1系統は、ヘッドホンを差し込むと自動的にスピーカーが切れる設計になっています。
2個のアース端子を搭載しています。
Switchedx2、Unswitchedx2の4個のACアウトレットを搭載しています。
ツマミは全てアルミ無垢製です。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力 | ミュージックパワー(IHF):260W(4Ω、1kHz) 実効出力(片ch動作):85W/85W(8Ω、1kHz) 実効出力(両ch動作):80W+80W(8Ω、1kHz) 連続実効出力(両ch動作、定格歪率8Ω、20Hz~20kHz):75W+75W |
全高調波歪率(定格出力) | 0.1%以下 |
混変調歪率 | 0.1%以下(定格出力、70Hz:7kHz=4:1、SMPTE) |
パワーバンドウィズ(IHF) | 5Hz~40kHz |
周波数特性 | 3Hz~80kHz、+0 -1dB(メインアンプ、1W出力時) |
ダンピングファクター | 50(8Ω) |
入力感度/入力インピーダンス (1kHz) |
Phono1:2.5mV/50kΩ Phono2:2.5mV/30kΩ、50kΩ、100kΩ [最大許容入力 300mV、全高調波歪率 0.5%以下] MIC:2.5mV/50kΩ Tuner、AUX(レベル調整可能):100mV/50kΩ Tape Monitor1、2(PIN)(レベル調整可能):100mV/50kΩ Tape Monitor2(DIN):100mV/50kΩ 4ch、N.R.Adaptor:100mV/50kΩ |
出力電圧/出力インピーダンス | Tape Rec1、2(PIN):100mV/1.5kΩ Tape Rec2(DIN):30mV/70kΩ 4ch、N.R.Adaptor:100mV/1.5kΩ プリアンプ(定格出力):0.8V/1.5kΩ [最大出力、全高調波歪率 0.5%以下]:4.5V |
クロストーク(定格出力 1kHz) | Phono1、2:50dB以上 |
ハム及びノイズ(IHF) | Phono1、2:75dB以上 Tuner、AUX:85dB以上 メインアンプ:100dB以上 |
トーンコントロール | Bass(Defeat、150Hz、300Hz、600Hz):±15dB(20Hz)、3dBステップ Midrange(Defeat、750Hz、1.5kHz、3kHz):±5dB(1.5kHz)、1dBステップ Treble(Defeat、6kHz、3.5kHz、2kHz):±15dB(20kHz)、3dBステップ |
ラウドネス(ボリューム -30dB) | 50Hz:+10dB 10kHz:+8dB |
ロー・フィルター | 25Hz、50Hz:-3dB(12dB/oct) |
ハイ・フィルター | 12kHz、6kHz:-3dB(12dB/oct) |
使用半導体 | トランジスタ:58 FET:2 ダイオード:37 |
定格消費電力 | 205W(最大550VA) |
外形寸法 | 幅500x高さ140x奥行347mm |
重量 | 23.3kg |