
SAE 2600
¥650,000(1981年頃)
解説
400W+400Wのハイパワー設計のステレオパワーアンプ。
回路構成は全段コンプリメンタリー回路を採用しています。
初段は差動増幅デュアルコンプリメンタリー回路で、プリドライバ段はプッシュプル増幅フルコンプリメンタリー回路となっており、ここまではA級増幅となっています。そして、ドライバ段ではPchとNchに分割され、それぞれ別個のトランジスタを有したプッシュプル増幅コンプリメンタリー回路で増幅され、フルコンプリメンタリー回路の出力段へと接続されています。この特徴的な回路はPSO(Parallel-Series-Output)回路と名づけられています。
一般的なパワーアンプ設計に見られる、シングル構成のドライバ段から差動増幅出力段へ、という回路方式では、大出力に対して低周波変調ノイズを避けることが出来ず、SN比の低下を招いていますが、PSO回路を採用することで広帯域にわたって低歪率を実現しています。
電源部に採用されたトランスには、ハイパワーに対応するために様々な検討が加えられています。
例えば巻線については、切断面を正方形にし、素材についても銅と鉄の混合率を厳しく吟味するなどの設計がされています。これにより発熱を低く抑えた能率の良いトランスを実現してます。このトランスの一対の力量は、175ジュールのエネルギーを貯えているコンピューターの4つ分に相当し、負荷ゼロから飽和状態までの変化が10%に抑えられいます。
さらに、差動入力段の各チャンネルに対応する独立のレギュレーターを装備することで、各回路内で起こり得る事故に対処しています。
8個のドライバトランジスタと16個の出力トランジスタから発生する膨大な熱を発散させるため、長い突起をもったヒートシンクカーを採用しています。このヒートシンクでは冷却のための空気の流入・流出が容易で、さらに表面積の総合系が1000平方インチを超えており、高い冷却能力を獲得しています。
さらに、高速ファンでオープンエアーを送り込むことで安定性を向上させています。
パーツにも厳選されたものが使用されており、Mil-Specのガラスエポキシ基板やメタル・カーボンフィルムの抵抗などを使用しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
実効出力 | 600W+600W(4Ω) 400W+400W(8Ω、20Hz~20kHz、両ch駆動、歪率0.05%) |
全高調波歪率 | 0.05%(20Hz~20kHz、8Ω、250mW~400W) |
混変調歪率 | 0.05%(250mW~400W、8Ω、20Hz~20kHz間の任意の2周波数の4:1混合) |
周波数特性 | 20Hz~20kHz ±0.25dB(定格出力時) |
SN比 | 100dB(定格出力時) |
ダンピングファクター | 150(100Hz) |
入力端子 | 1系統 |
入力感度/インピーダンス | 2.12V/50kΩ |
入力レベル調整 | 左右独立プッシュボタン式4段階ゲイン切替 (0、-3、-6、-12dB) |
メーター感度 | 左右連動プッシュボタン式4段階切替 (0、-6、-12、-24dB) |
付属 | 冷却用ファン |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 1,500W(定格出力時) |
外形寸法 | 幅483x高さ178x奥行461mm(端子、ハンドル類を含む) |
重量 | 29.5kg |