Pioneer F-717
¥59,800(1987年発売)
解説
音質を高めるためのシステムを数々採用すると共に、高感度なチューナーを目指して開発されたFM/AMチューナー。
DDD(デジタル・ダイレクト・デコーダー)TypeIIをさらにバージョンアップさせたDDDtypeIIIを採用しています。
メイン検波方式を従来のパルスカウント方式からPLL(フェイズ・ロック・ループ)方式に変更しており、これにより第2IF段が不要となり、信号系をよりシンプルにし、S/Nを改善しています。
長距離受信や近隣局受信でも高感度を保つため、ARTS(Active RealTime Tracing System)を搭載しています。
この方式では、希望する信号に合わせてナローフィルターが追随するため、ナローとワイド両フィルターの長所を得られ、歪率と選択度の性能を向上しています。
また、フィードバックではなく、フィードフォワードであるために、回路系の安定とノンスペクトラムを実現しています。
歪につながる振動や共振を排除するため、振動減衰特性に優れたハニカムシャーシを採用することで強度を高めるとともに、音圧など外部からの振動にも良好な減衰特性を得ています。
また、ローカルブロックは振動に関して高感度で、微小な振動でも音エネルギーに変わり、音質劣化につながるため、ローカルブロックを樹脂で充填して音質劣化を防いでいます。
さらに外部からの振動には、CDやアンプにも使われている大型インシュレーターを採用しており、下方面からの不要振動を抑えています。
2系統のFMアンテナ端子を搭載しており、聴きたいそれぞれの局に向けてアンテナを切り換えて使い分けが出来ます。
全部で24局までプリセット可能なランダムプリセットを搭載しています。
電界強度に合わせて3段階に自動選局レベルを選択できます。自動選局レベルよりさらに弱い電波を受信したい時は、マニュアル選局で可能です。
プログラムメモリー機能を搭載しており、電源がOFF・ON・OFFを繰り返すごとに、メモリーした順番に放送局を呼び出す事が出来るため、オーディオタイマーと合わせて利用するとメモリーされた3つの放送を順番に留守録音できます。
MPXモード機能を搭載しており、電界強度に合わせてステレオ/モノ/ハイブレンドの3つのポジションを選択できます。
FM放送用の基準レベルである約330Hz、50%変調相当の発信信号を内蔵しており、デッキのレベルメーターを-2dBに合わせる事で簡単に適正レベルの録音が可能です。
機種の定格
型式 | FM/AMデジタルシンセサイザーチューナー |
<FMチューナー部> | |
受信周波数 | 76MHz~90MHz |
実用感度 | mono:9.3dBf(0.8μV/75Ω) |
SN比 | mono:100dB stereo:92dB |
高調波歪率 | mono:0.008%(100Hz)、0.005%(1kHz)、0.01%(10kHz) stereo:0.01%(100Hz)、0.008%(1kHz)、0.05%(10kHz) |
キャプチャーレシオ | 0.8dB |
実効選択度 | 90dB(400kHz) 60dB(300kHz) |
ステレオセパレーション | 1kHz:70dB 20Hz~20kHz:54dB |
周波数特性 | 20Hz~15kHz +0.2 -0.8dB |
イメージ妨害比 | 80dB |
IF妨害比 | 100dB |
スプリアス妨害比 | 80dB |
AM抑圧比 | 70dB |
サブキャリア抑圧比 | 65dB |
ミューティング動作レベル | 25.2dBf(5μV/75Ω) |
アンテナ入力インピーダンス | 75Ω不平衡型 |
<AMチューナー部> | |
受信周波数 | 522kHz~1629kHz |
実用感度(付属ループアンテナ) | 150μV/m |
選択度 | ±9kHz:40dB |
SN比 | 50dB |
イメージ妨害比 | 40dB |
IF妨害比 | 60dB |
アンテナ | ループアンテナ(付属) |
<総合> | |
出力レベル/インピーダンス | FM(100%変調):650mV/900Ω AM(30%変調):150mV/900Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 18W |
外形寸法 | 幅420x高さ84x奥行316mm |
重量 | 4.6kg |