Pioneer CS-810
¥46,000(1台、1973年頃)
¥49,800(1台、1974年頃)
解説
ドーム型ユニットを採用した3ウェイのスピーカーシステム。
低域には30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットはコーン紙にコーティング処理が施されており、トランジェント特性が向上しています。また、エッジにリニアリティが良く温度・湿度変化に強いポリウレタン発泡体を採用することで低域の歪を抑えると共にエッジの共振を抑えています。さらに、ロングボイスコイルや2重ダンパーを採用することで低域の歪を抑えています。
磁気回路には140mmφのフェライトマグネットを採用しています。さらにセンターポールには純銅キャップを装着することで磁性材料の非直線性によって発生する中高音域の歪を抑えています。
中域には4.8cmドーム型ミッドレンジを搭載しています。
振動板には40μ厚の超硬質ジュラルミンダイアフラムを使用しており、前面には拡散放射状フィンとデュフューザーを取り付けることで、優れた指向特性を得ています。また、磁気回路内部のチャンバーには吸音材を封入し、センターポール中央の貫通孔とバックチャンバー内には2種類の吸音材を使い分けて挿入してます。これにより振動板背面の内部定在波を防止するとともに切れの良い低域特性を得ています。
ダイアフラムの中心保持にはウーファーのエッジと同じ材料であるポリウレタン発泡体を使用しており、振動板のハイコンプライアンス化、低fo化とともに立ち上がり部の歪やエッジ自体から発生する歪を低減しています。
高域には2.5cmドーム型トゥイーターを搭載しています。
20μ厚の硬質チタンダイアフラムに加え、専用に開発された拡散放射状フィンとデュフューザーの併用によってレベル変動の少なくフラットな周波数特性と優れた指向特性を得ています。
エッジにはミッドレンジと同じくポリウレタン発泡体を採用しており、エッジ幅を小さくして低域特性の改善と低歪率化を実現しています。また、信頼性向上のためボイスコイルのリード線の引き出しにはウーファーやミッドレンジと同様に疲労限度の高い引出線をジョイントしています。
ネットワークのウーファー部にはユニットとパラレルにインピーダンス補償回路が挿入されており、インピーダンスの変化を抑えると共に過渡特性を向上させています。
また、高透磁率の大型フェライトコアやトゥイーター部にはマイラーフィルムコンデンサを使用するなど、定損失を少なく抑えるとともに優れた過渡特性を実現しています。
エンクロージャーには20mm厚の硬質パーチクルボードを使用しています。また、エンクロージャー内部には、定在波の最大速度面にあわせてフェルトによる仕切りが設けられており、中低域の音質改善と内部定在波を抑えています。
外観はウォルナットのオイル仕上げが施されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型 中域用:4.8cmドーム型 高域用:2.5cmドーム型 |
インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 35Hz~20kHz |
出力音圧レベル | 90.5dB/W |
最大入力 | 60W |
クロスオーバー周波数 | 760Hz、5.6kHz |
外形寸法 | 幅380x高さ660x奥行317mm |
重量 | 22.5kg |