Pioneer CS-755
¥69,800(1台、1977年頃)
解説
ベリリウム振動板を採用した3ウェイスピーカーシステム。
ウーファーには、新開発の30cm口径のユニットを採用しています。
コーン紙は浅型ストレート形状で、適度な内部損失と背圧に十分耐える高い強度をもち、広いピストン運動領域を得ています。そして、18Hzの低foを実現し、低域再生の限界を拡大しました。
磁気回路には156mm径のフェライトマグネットを採用し、センターポールには純銅キャップを装着して、ひずみの低減を計っています。
ボイスコイルは、大入力時でもひずみの発生をおさえすぐれたリニアリティを示すロングタイプを使用し、ボビンの上部にはアルミ合金製のマスバランサーを装着し、コーンとボイスコイルの重量バランスをととのえるとともに、振動によるコーンネック部の動的変形を防止するなどで、ひずみの発生を排除しています。
エッジは、変形ロールクロスエッジを採用し、これによりコーンとエッジの接続境界条件が改善され、バックリングが現象し。リニアリティーのよい動作を得ています。
また、フレームはアルミダイキャスト製を採用しています。
ミッドレンジは65mmのドーム型を採用。材質は厚さ22μの硬質アルミ合金をベースにベリリウムを厚さ60μに蒸着し、軽量で剛性に富むすぐれた物性を得ています。
さらに、ドーム頂部を切り取った形状とし、共鳴音を排除する設計です。
サスペンションはドームの内周と外周の双方に、タンジェンシャルエッジを設けた、デュアルサスペンション方式になってます。
また、振動板の外周部のエッジを、アルミダイキャストのフランジでカバーし、フランジと振動板間のチャンバーをコントロールし、エッジイコライジング効果をもたせています。
そして、振動板の背圧を処理するため後部には高密度樹脂のバックチャンバーを装備し、チャンバー内部に特殊吸音材を充填することで定在波を防止するとともにチャンバーを無共振化し、振動板への反作用を効果的に防止しました。
トゥイーターには25mm径のベリリウムドーム振動板で、40000Hzまでの広い再生帯域とすぐれた指向性を確保しています。
リニアリティーのよいタンジェンシャルエッジを採用し、アルミダイキャスト製のフランジでエッジをカバーし、エッジイコライジング効果をもたせました。これにより、ドーム単体での特性のディップを補正し、振動板前面のイコライザーなしでも、優れた指向特性を実現しました。
エンクロージャーは、板厚20mmの高密度・高弾性針葉樹パーチクルボードと、板厚24mmのラワン合板を組合わせた完全密閉型です。
また、内部にも同じ針葉樹パーチクルボードの補強材を効果的に配し、板振動をおさえています。
ネットワークには使用素子を厳選し、とくにチョークコイルは、シリコンスチールの積層コアに太い銅線をまいたもので、損失やひずみが少なく、大入力時にも急激に歪が増加しない、ソフトディストーションタイプを採用しています。また、コンデンサーには、損失の少ないメタライズドペーパーコンデンサーを主に使用しています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型 中域用:6.5cmドーム型 高域用:2.5cmドーム型 |
インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 30Hz~40000Hz |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
最大入力 | 100W |
クロスオーバー周波数 | 650Hz、5500Hz |
外形寸法 | 幅375x高さ665x奥行315mm |
重量 | 26kg |