Pioneer RT-1020/RT-1020H
RT-1020:
¥120,000(1972年頃)
¥125,000(1973年頃)
RT-1020H:
¥120,000(1972年頃)
¥128,000(1973年頃)
¥149,000(1976年頃)
解説
すみずみまでプロ仕様に適した設計を施し、長期にわたる優れた安定性と高いクオリティを追求したテープデッキ。
スピード仕様によって2種類のバリエーションがありました。
RT-1020は19~9.5cm/sのスタンダードスピード機で、10号大型リールを使えば7号標準リールの2倍の録音/再生が可能です。また、RT-1020Hは38cm/s~19cm/sのプロスピード機で、4トラック形式の持つ経済性や高い機能、市販音楽テープとの互換性をそのまま維持しつつハイスピード化による超Hi-Fi録音が可能です。
内部は5mm厚の一枚シャーシで基準面の平面精度を抑え、モーターやヘッド、ガイド、キャプスタン等はダイキャストフレームにしっかりと固定されています。これにより部品相互間の寸法精度や平行度に狂いが無く、大型10号リールの使用にも耐えるよう安定性と信頼性が向上しています。
また、メカはブロック別にユニット化してレイアウトされており、高いメンテナンス性を確保しています。
キャプスタン駆動用には4極/8極2速度ヒステリシスシンクロナスモーターと100mmφの大型フライホイールを採用しています。また、キャプスタンには真円度を0.2μ以下に抑えた6mmφのストレートシャフトを使っています。
リール駆動にはエディカレント型の特性と発熱の少ないインダクション型の大きな起動トルクを合わせ持つ6極インナーローター特殊インダクションモーターを新開発して搭載しています。このモーターはローター慣性が小さく、ソレノイドを組み込んだ差動型バンドブレーキとの相乗効果でテープに無理な力が加わらないようになっています。
また、バックテンションとテークアップテンション用には、10号・7号とリールサイズに合わせてリールモーターのトルクをアジャストできるスイッチを装備しており、常に一定のテンションを保つことでドロップアウトを防いでいます。
ブレーキ機構にはこのクラスではじめて安定性の高い差動型バンドブレーキを採用しており、確実なブレーキ効果を得るとともにテープへの負担を低減しています。
テープガイド部には精密ベアリングを用いたステンレスローラーを採用しており、テープ走行をより安定させるとともにテープ終端でのフラッターを低減しています。
ヘッド部には3ヘッド方式を採用しています。
再生ヘッドにはインライン特性が優れテープタッチも良いハイパボリック型パーマロイヘッドを使用しており、4トラック2チャンネル再生だけでなくディスクリート4チャンネル再生も可能です。
また、録音ヘッドには4トラック2チャンネル用ヘッドで、再生ヘッド同様にハイパボリック型を採用しています。
操作ボタンには純電子式を使用しており、マイクロスイッチやリレーの使用を避けることでシンプルで高い信頼性を得ています。
さらにダイレクトチェンジ式となっているため、REW(FF)状態からSTOPボタンを経ずにPLAY操作することができます。また、10号テープ使用時でもテープが確実にストップした後に自動スタートするテープ保護システムを内蔵しています。
操作はソレノイド(プランジャー)コントロールとなっていますが、メカニカルロック式となっているため、電源がOFF状態でもプリセットが可能となっています。これにより市販のタイマーを組み合わせることで留守録音や目覚し再生が可能です。
再生アンプ部には低雑音シリコントランジスタを用いた三段直結方式を採用しており、4チャンネル分を内蔵しています。
録音アンプはLineとMicが独立した構成となっており、高S/Nとワイドなダイナミックレンジを確保しています。特にMicアンプは600Ωのプロ用ローインピーダンス型マイクもそのまま使用できる設計となっています。
また、独立したイコライザー回路は正確なカーブを持たせるとともに、再生側ではFET使用の電子スイッチを使用することで従来の接点を持った電気的スイッチに代わり信頼性を高めています。
さらに、録音状態OFFの際にバイアス電流が消えた後にヘッドの信号回路を切るバイアスOFF遅延回路を採用しており、ヘッドの帯磁を防ぎ、かつクリックノイズがテープに録音されることを防いでいます。
この他にIC化されたメーターやヘッドホン専用回路、バッファアンプ、定電圧電源回路などを備えています。
バイアス3段、イコライザー2段のテープセレクターを搭載しており、市販メーカーのテープに対応しています。
大型レベルメーターを搭載しています。
また、録音インジケーターいはLEDを使用しています。
サウンド・オン・サウンド機能を搭載しており、Lトラック再生をマイク入力とミキシングしながらRトラックに録音するなどの編集が可能です。また、外部接続により再生ヘッド出力信号の一部を録音ヘッドへフィードバックしながらライン録音し、エコー効果を出すこともできます。
FF/REW時はテープリフターが連動してテープをヘッドから離します。
RT-1020/RT-1020Hではリフター移動量が小さいため、誘導再生によって再生レベルを上げてCUEモニターも可能です。
再生状態のまま、テープを走らせながら録音状態へ後追い録音も可能です。
4トラックのモノラル録音が可能です。
テープモニタースイッチはL/R独立型のレバースイッチ式を採用しています。
4チャンネル-2チャンネル切換えスイッチ、4チャンネルステレオFRONT・REARメーター表示切換スイッチを搭載しています。
録音モードスイッチをOFFにしておけば間違い録音が防止できます。
ポーズにはロックが可能なレバー方式を採用しています。
MICとLINE入力のミキシング入力が可能です。
RT-1020Hでは出力レベルが調整できる再生レベルコントロールを搭載しています。
この機能はフロントとリアに分かれており、4チャンネル再生時に独立して調整できます。
ワンタッチ着脱式のリールクランパーを採用しています。
4チャンネルの再生レベルコントロールはシャーシ底部に設けられた半固定式レベルコントロールで微調整できます。
別売りでキャリングケースキットがありました。
機種の定格
型式 | ステレオテープデッキ | ||
動作方式 | 3モーター | ||
ヘッド構成 | 2チャンネル消去ヘッドx1 2チャンネル録音ヘッドx1 2&4チャンネル再生ヘッドx1 |
||
モーター | キャプスタン駆動用:4極/8極2速度ヒステリシスシンクロナス型モーター リール用:6極インナーローター特殊インダクション型モーターx2 |
||
テープスピード | RT-1020:19cm/s、9.5cm/s RT-1020H:38cm/s、19cm/s |
||
早巻き速度 | 10号リール(740m):110秒 7号リール(340m):90秒 |
||
回転ムラ |
|
||
S/N | 55dB以上 | ||
歪率 | 1%以下 | ||
周波数特性 |
|
||
クロストーク | 60dB以上(1kHz) | ||
チャンネルセパレーション | 50dB以上(1kHz) | ||
消去率 | 60dB以上 | ||
録音バイアス周波数 | 125kHz | ||
入力感度~最大許容入力/インピーダンス | Line:50mV~25V/100kΩ(基準316mV) Mic:0.25mV~80mV/20kΩ(基準1mV) 録再:15mV~1.5V/1.5kΩ、DIN規格 |
||
出力基準レベル/インピーダンス | ライン:316mV(-10dBs)/50kΩ、出力インピーダンス3.3kΩ DIN:316mV(-10dBs)/50kΩ、出力インピーダンス3.3kΩ ヘッドホン:40mV/4Ω~16Ω RT-1020Hは出力レベルコントロール付き |
||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||
消費電力 | 100W | ||
外形寸法 | 幅440x高さ431x奥行227mm | ||
重量 | 20kg | ||
付属 | 10号メタルリール 10号リール用アダプター(厚さ補正シート)x2 クリーニングキット スプライシングテープ 接続コード |
||
別売 | キャリングケースキット PP-235(¥15,000) デジタルタイマー PP-215A(¥7,700) |