解説　

上級マニュアルプレイヤーの技術やノウハウを受け継ぎ、音質重視の設計がされたフルオートプレイヤー。

駆動モーターにはコアレスモーターを採用しており、回転ムラの原因となるコギングを原理的に排除しています。
また、このモーターには新着磁方式を採用しており、マグネットの着磁パターンの中心部に逆着磁を施した構造とする事でトルクリップルによる回転ムラを極少に抑え、より安定した滑らかな回転性能を実現しています。
また、軸受にはSH・ローター方式を採用しています。この方式ではモーターの底部にあったローター(ベアリング)の支点をターンテーブルのすぐ下に移動した構造を採用しています。これによりターンテーブルの重心と支点をほぼ一致させる事に成功しており、従来の構造で問題視されていたモーターシャフトの逆円錐運動や、軸受に加わる側圧を解消しています。
トーンアーム部にはDRA(Dynamic Resonance Absorber)を装着したカーボングラファイトストレートアームを搭載しています。
DRAはコンピューターによる振動解析技術を駆使して開発されたもので、アームパイプに適度なバネ特性を持つダンパーとウエイトで構成された副共振体を装着したもので、アームパイプ自身の共振を吸収しています。軽く剛性が高く、しかも共振しにくいカーボングラファイトをアームパイプとして組み合わせる事で、再生音に悪影響を及ぼすアーム自身の共振を排除しています。

フルオート機構を採用しています。
トーンアームの駆動にはマイクロコンピュータ制御による専用モーターが行っています。また、フォノモーターの回転数切換や回転停止もマイクロコンピュータがコントロールしています。
さらにフェールセーフ機構を搭載しており、アームをクランパーに固定したままスタートボタンを押してもアームやフォノモーターの動作が自動的に解除されます。

前面操作式となっており、ボタン操作はダストカバーを閉めたままで行えます。

カートリッジには新設計のMC型カートリッジを採用しています。
コイルの中心に磁性体や巻枠の無いコアレス、ボビンレスコイルを採用しています。また、パイオニア独自の6極2マグネット磁気回路を採用する事で、針交換を容易にしています。

キャビネットには黒の木目調仕上げが施されています。

脚部には全方向ダブルインシュレーションシステムを採用しています。
従来のインシュレーションシステムでは床と本体キャビネットだけがフローティング構造となっていましたが、このシステムでは床とアンダーボード、アンダーボードとキャビネットの間にそれぞれインシュレーションを装着したダブルフローティング構造を採用しています。さらに低重心構造とラテラルダンパーを採用する事で床などから伝わる縦方向の振動だけでなく、スピーカーからの音圧による横方向の振動、ハイトルクモーターの反エネルギー作用による回転方向の振動と、あらゆる振動を効果的に抑制しています。
素材はコンピューターシミュレーションとプレイヤー本体を加振して得られる実特性の比較検討を繰り返して決定されており、音質面での寄与率の高い中低域での振動遮断特性を向上させています。

機種の定格

型式	レコードプレイヤー
<ターンテーブル部>
モーター	コアレスクォーツPLL DCホールモーター
駆動方式	ダイレクトドライブ
軸受構造	SH・ローター方式
ターンテーブル直径	31cm
回転数	33-1/3、45rpm
回転ムラ	0.012%以下(WRMS、FG直読法) 0.025%以下(WRMS/JIS)
S/N比	80dB以上(DIN-B)
起動特性	1/2回転以内
速度検出方式	全周積分方式FG
回転数偏差	0.002%以内
時間ドリフト	0.00008%/h
温度ドリフト	0.00003%/℃
ブレーキ機構	純電子式
<トーンアーム部>
型式	スタティックバランスストレートアーム
有効長	235mm
オーバーハング	15mm
トラッキングエラー	+2.3゜、-1.3゜
針圧調整	ウエイト1回転3g
適合カートリッジ自重	3～8.5g(ヘッドシェル含まず)
<カートリッジ部>
カートリッジ	MC型
針先	0.3x0.7mil楕円ダイヤ針
出力電圧	0.2mV(1kHz、5cm/sec LAT.Peak)
適正負荷	40Ωポジション(トランス使用時) 100Ωポジション(ヘッドアンプ使用時)
適正針圧	2g±0.3g
周波数特性	10～35kHz
交換針	PN-7MC
<総合>
付属機構	オートリードイン オートリターン オートカット オートリピート クイックプレイ クイックスキップ
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	7W
外形寸法	幅460x高さ164x奥行409mm
重量	8.5kg