Pioneer SA-8900II
¥79,800(1976年発売)
解説
優れた回路構成と厳選した高精度部品の採用により高音質化を図ったプリメインアンプ。
イコライザー部の回路方式は初段差動・3段直結終段A級動作純コンプリメンタリーSEPP・正負2電源構成となっています。また、イコライザー偏差を得るNFB素子には、抵抗誤差±1%、温度特性±50ppm/cのニクロム蒸着金属被膜抵抗や、容量誤差±2%のスチロールコンデンサーなど、厳選した素子を採用し、優れた特性を得ています。
この回路には±30Vの電圧を印加しており、イコライザーアンプの最大出力は18Vで、最大許容入力は300mV、感度は2.5mVなため、大きなダイナミックマージンを持っています。
多くのカートリッジの性能をより発揮させるため、Phono1、2ともに負荷抵抗4種類、負荷容量4種類がそれぞれ独立で選べるカートリッジロード切換えスイッチを搭載しています。
コントロール部のフラットアンプは、初段差動・2段直結回路で構成されています。初段を差動増幅にすることでトランジスタのリニア領域に動作点を選び、歪の低減を図っています。
トーンコントロールはBass/Trebleともにメインとサブ2つの可変ポジションを持つ、ツイントーンコントロールを採用しています。可変は2dBステップでスイッチタイプボリュームを使用しています。
ボリュームには32ステップのアッテネーター式を採用しており、左右チャンネル間のギャングエラーが0.5dB以内と少なく、またパネル面の指示値とも誤差±0.5dB以内となっています。
さらに-20dBのミューティングレバーを備えており、組合せによりデリケートな音量調整が可能です。
パワーアンプ部の回路方式は、±2電源供給・差動2段増幅カレントミラー回路・終段パラレルプッシュプル純コンプリメンタリーOCL回路で構成されています。
入力は差動増幅として外部温度の変化による電圧変動を抑え、歪の低減を図っています。プリドライバー段はカレントミラー回路により定電流化することで、裸特性をあげ十分なNFBで歪を低減し、同時に偶数次の高調波歪を抑えています。また、出力段からのNFBループには大きな時定数を持たせて、DCアンプに近い回路動作とし位相ずれを少なくしています。出力段はパラレルプッシュプルとして大出力を安定に取り出しています。
放熱器は効率の良いチムニースタイルを採用し、熱的安定性を高めています。
電源部は左右チャンネル独立の2電源トランスを採用しており、2個の重量級トランスと12,000μFx4の大容量コンデンサーで構成しています。
この2電源トランス構成により、電源部でのチャンネル間相互干渉を排除してチャンネルクロストークを改善しています。
保護回路は信頼性の高いツイン接点のパワーリレーと応答の速い電子回路で構成しています。
また、電源投入時のクリック音も排除しています。
プリ・パワー分離端子や2系統テープモニター、トーンon-offスイッチ、ラウドネスコンター、ローカット(サブソニック)、ハイカットフィルターなどの付属機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ | ||||
<パワーアンプ部> | |||||
回路方式 | 差動2段全段直結パラレルPP純コンプリメンタリーOCL | ||||
実効出力 (両ch駆動、20Hz~20kHz) |
100W+100W(4Ω) 80W+80W(8Ω) |
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高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.05%(実効出力時) 0.01%(40W出力時、8Ω) 0.01%(1W出力時、8Ω) |
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混変調歪率 (50Hz:7kHz=4:1) |
0.05%(実効出力時) 0.01%(40W出力時、8Ω) 0.01%(1W出力時、8Ω) |
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出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~45kHz(歪率0.05%) | ||||
周波数特性 | 5Hz~100kHz +0 -1dB | ||||
入力感度/インピーダンス | Power amp in:1V/50kΩ | ||||
出力端子 | Speaker A・B:4Ω~16Ω Speaker A+B:8Ω~16Ω Headphone:4Ω~16Ω |
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ダンピングファクター | 30(20Hz~20kHz、8Ω) | ||||
S/N | 110dB(IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) | ||||
<プリアンプ部> | |||||
回路方式 | イコライザーアンプ部:初段差動3段直結A級SEPP トーンコントロール部:初段差動2段直結フラットアンプ、NFB型ツイントーン |
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入力感度/インピーダンス | Phono1、2:2.5mV/10kΩ、25kΩ、50kΩ、100kΩ カートリッジ負荷容量:100pF、200pF、300pF、400pF(Phono1、2共) Tuner、Aux、Tape play1、2:150mV/50kΩ |
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Phono最大許容入力 | Phono1、2:300mV(1kHz、高調波歪率0.05%) | ||||
出力レベル/インピーダンス | Tape Rec1、2:150mV Pre out:1V/2kΩ、10V/2kΩ(max) |
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高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.01%(1V出力) 0.1%(10V出力) |
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周波数特性 | Phono:20Hz~20kHz ±0.2dB Tuner、Aux、Tape play:5Hz~50kHz +0 -1dB |
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トーンコントロール |
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フィルター | Low:15Hz、6dB/oct High:8kHz、6dB/oct |
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ラウドネスコンター (Volume -40dB) |
+6dB(100Hz) +3dB(10kHz) |
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ミューティング | -20dB | ||||
S/N(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット) |
Phono:75dB Tuner、Aux、Tape play:95dB |
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<総合> | |||||
使用半導体 | トランジスタ:55個 ダイオード他:33個 |
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ACアウトレット | 電源スイッチ連動:2系統 電源スイッチ非連動:2系統 |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 200W(電気用品取締法) 560W(最大) |
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外形寸法 | 幅420x高さ150x奥行376mm | ||||
重量 | 16.2kg |