Exclusive M4a
¥430,000(1981年頃)
解説
品位の高い音質を、A級増幅回路に求めたステレオパワーアンプ。
回路構成は、差動アンプの入力段で、プッシュプルのプリドライバー段を駆動し、片チャンネル当り8個のパワートランジスター(4個パラレル接続)の最終段をドライブしています。
A級動作のプッシュプル回路は、ノッチング歪やクロスオーバー歪が無いため、NFBをかけない時の歪も本質的に少なく優れた回路となっています。また、パワーの大小による電源の変動が無いため、特に低域の安定度と過渡特性に優れています。
マイラー、スチコン、電解コンなどのコンデンサー類、無誘導巻非磁性体抵抗など、音質部品の1つ1つにわたり特別仕様のものを開発して使用しています。
歪の発生を極力抑えるため配線材には無酸素銅線を採用しています。
基板には140μ厚銅箔ガラスエポキシ基板を採用しています。
従来のガラスエポキシ基板は35μの銅箔を貼り付けて使用していましたが、基板内のDCR(直流抵抗)、インダクタンスの減少を図るため、従来の4倍の140μの銅箔を採用しています。
安定した性能と信頼性を確保するため、入出力端子および各アッセンブリの端子は全て金メッキにするなど、伝導特性を大幅に向上させています。
従来はメッキを安定させて着けるために、ニッケルメッキを下地に施していましたが、ニッケルが強磁性体なためヒステリシスに起因する歪の発生がありました。
M4aに採用された新開発のピンジャックでは、ニッケルと同等もしくは、それ以上の安定度を示す非磁性体の下地にメッキを施し、歪の発生を防ぎ、安定した接触性能を得ています。
電源コードには二重絶縁を施した、高信頼性、大容量(15A)の電源コードを採用しています。
さらに、電源コードの芯線を白と黒で色分けし、ACプラグとの接続を管理することにより、極性の統一を図っています。
接続コードは、素材に無酸素銅線を使用するとともに、ピンプラグには非磁性体下地からなる金メッキプラグを用いるなど、接続コードにおける歪の発生を極力抑えています。また、接続コードの構造は、従来の同軸構造と異なった、信号線の互いに対向する芯線をより合わせたスターカッド方式にすることにより、インダクタンスの低減を図っています。さらに、信号線を導電性高分子材料と編組による完全なシールドを行っています。
これらによって歪の発生が少なく、低損失で高品質な信号伝送が可能となっています。
A級アンプの発熱に対応するため、シャーシ内部が冷却用ダクトを形成するような構成にし、キャビネット下部に装着された2個のファンを用いて強制空冷方式をとっています。さらに、ファンの回転音を抑えるため、低電圧で低速動作をさせています。
保護回路は、従来のリレーと電子回路を組み合せた出力点直流電位検出回路に加え、ポジスター使用の熱検出部及びサイリスターによる保護回路が追加されています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
回路方式 | 差動2段、PPドライブ、2段ダーリントン、クォドルプルPP 純コンプリメンタリーOCL(A級動作) |
実効出力(20Hz~20kHz、両ch駆動) | 50W+50W(8Ω) |
高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.01%以下(実効出力時) 0.01%以下(25W出力時) 0.01%以下(1W出力時) |
混変調歪率 | 0.01%以下(実効出力時) 0.01%以下(25W出力時) 0.01%以下(1W出力時) |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~100kHz(高調波歪率 0.05%) |
周波数特性(1W出力時) | 3Hz~60kHz +0 -1dB |
入力感度/インピーダンス | Input1、2:1V、2V/50kΩ |
出力端子 | Speaker:8Ω |
ダンピングファクター(20Hz~20kHz、8Ω) | 30以上 |
サブソニックフィルター | 8Hz、6dB/oct |
S/N (IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) |
110dB以上 |
使用半導体 | トランジスタ:59個 IC:6個 ダイオード他:67個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
定格消費電力(最大消費電力) | 320W(電気用品取締法) |
電源コンセント | 電源スイッチ非連動:1系統 |
外形寸法 | 幅468x高さ206x奥行385mm |
重量 | 27.3kg |
付属 | ピンプラグ付中継コード |