Pioneer M-Z1
¥300,000(1台、1980年頃)
解説
スーパーリニアサーキットにより、信号系からNFBループをとりさった無帰還モノラルパワーアンプ。
電圧増幅部にスーパーリニアサーキットを採用しています。
これによりトランジスタの非直線性を逆モードの非直線性をもつトランジスタでキャンセルする事で、NFBを用いずにリニアな増幅を実現し、NFBに起因する問題を解決しています。
出力段には高速応答性を持つEBT(集団パワートランジスタ)を採用しています。
リニアリティを得るために1石あたりの電流負担を軽くし6個パラレルで使用し純A級増幅をさせています。これにより問題となりがちな高域再生も改善しています。
出力点のDC安定化を図るため、中点電圧の変動を抑えてスーパーリニアサーキットの信頼性をさらに高めるダブルロックドサーボレギュレーターを採用しています。
さらに、音の色づけの原因となるカップリングコンデンサーを取り除いた全段直結構成としています。
電源部にはパワートランスを2個使用しており、等価的な並列接続により電源インピーダンスを低減し、さらに出力段への電源ドライブの強化を図っています。
音質劣化の要因を取り除くため、ケースを従来のアルミからガラスに変えたガラスケース電解コンデンサーを採用しています。ガラスケース内面にはカーボン塗装を施し、さらに電極箔に改良も加えることで、より高音質化を図っています。
また、小容量のコンデンサーには、電極箔に高純度の無酸素銅を使用した銅箔スチロールコンデンサーを採用し音質の向上を図っています。
カーボン抵抗には、鉄キャップに換え、引出し部に黄銅キャップカーボンを採用した黄銅キャップカーボン抵抗を採用しており、歪の発生を抑えています。
シャーシやフレームなど全てに非磁性体であるアルミニウム材を使用しており、さらに内面に特殊樹脂をコーティングを施す事でシールド効果の均一化を図っています。
これら非磁性体構造化により、磁性体構造に起因する伝記トラブルや特性の劣化を大幅に低減しています。
プリント基板には機械的強度が高く、高周波特性のすぐれたガラスエポキシを採用しています。さらに銅箔には従来の約4倍の140μの厚さをもたせることで直流抵抗やインダクタンスを軽減させています。
また、信号系の配線材には無酸素銅を使用し、その他信号の流れるところや接続金具類にも無酸素銅を採用しています。
過負荷、中点電圧、さらに電源電圧の異常を検出する保護回路を採用しています。
これにより、スピーカー端子のショートなどといった事故により中点電圧が異常変化した場合は、瞬時にスピーカーとパワーアンプを切り離します。
また、電源スイッチのon/off時には、ミューティング回路として動作します。
全面パネルのパワーインジケーターには、マイクロコンピューターによる20ポイントのLED表示インジケーターを採用しています。対数圧縮回路を用いて、0.001Wから最大100Wまでを、レンジ切換えなしでピーク値を指示します。
また、ピークホールド機能を持っており、ピーク値の読取りも可能です。
電源コードには、2重に絶縁された大容量電源コードを採用しています。
さらに電源コード芯線からC-Z1、M-Z1の内部回路に至るまで極性を統一してあるので、ACラインと極性のマッチングが図れます。
ピンプラグコードは素材に無酸素銅を用いたスターカッド構造を採用しています。これにより、コードの自己インダクタンスを軽減し低損失で高域までフラットな伝送特性を得ています。
機種の定格
型式 | 無帰還モノラルパワーアンプ |
実効出力(20Hz~20kHz) | 60W(8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Input:1V/50kΩ |
出力端子 | Speaker:8Ω |
ダンピングファクター (20Hz~20kHz、8Ω) |
80以上 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 220W(電気用品取締法) |
ACアウトレット | 電源スイッチ非連動:1系統、100W |
外形寸法 | 幅220x高さ185x奥行440mm |
重量 | 19.1kg |