Pioneer M-22
¥120,000(1980年頃)
解説
ダイキャスト製の放熱器に、ダイキャスト製のシャーシを採用したA級ステレオパワーアンプ。
全段にA級動作を採用しています。
A級動作とは、無信号時でもトランジスタに多くのアイドル電流を流しておき、トランジスタのリニアリティの良い動作範囲だけを使用する方式です。
A級動作は電力利用率が低く、発熱量も増大しますが、プッシュプルの2個のトランジスタは上下ともに同じ波形で増幅して合成出力を得るため、B級アンプではさけられないスイッチング歪やクロスオーバー歪が発生しません。
M-22のA級動作回路は、NFB回路のコンデンサーを取り去ったDCアンプ構成で、このDC化によってNFBループの時定数形成が無く、超低域までフラットな位相特性が得られ、安定したNFB動作を得ています。
全段A級動作とこのDCアンプ構成により、歪感の無い中高域と優れた低域特性を実現してます。
電源部にはL/R独立の大型トランスと33,000μFx4のコンデンサーを採用しています。
電源部を含むアンプ全体のコンストラクションを左右対称形とし、保護回路のパワーリレーもL/R独立で2個使用しています。さらに、内部配線の引き回しなどにも注意を払っており、チャンネル間の相互干渉を排除しています。
電解コンデンサーからスピーカー端子までのアースラインに純銅板を採用しています。
万一の事故に対しても、スピーカーやトランジスタを守るため、パワーリレーと応答の速い電子回路で構成した、信頼性の高い保護回路を内蔵しています。
パワーリレーは2接点をパラレル接続して信頼性を高めています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
回路方式 | 差動2段、PPドライブ、2段ダーリントン、パラレルPP、 純コンプリメンタリーOCL(A級動作、DCアンプ構成) |
実効出力(両ch駆動) | 30W+30W(10Hz~30kHz、8Ω) |
高調波歪率 (10Hz~30kHz、8Ω) |
実効出力時:0.01% 15W出力時:0.005% 1W出力時:0.005% |
混変調歪率 (50Hz:7kHz=4:1、8Ω) |
実効出力時:0.005% 15W出力時:0.003% 1W出力時:0.003% |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~100kHz(歪率 0.01%) |
周波数特性 | 2Hz~150kHz +0 -1dB(1W出力時) |
入力端子 | Input:1V/50kΩ |
出力端子 | Speaker:8Ω |
ダンピングファクター | 60(20Hz~20kHz、8Ω) |
SN比(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット) |
106dB |
使用半導体 | トランジスタ:44個 ダイオード、他:62個 |
電源電圧 | 100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 240W (電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅420x高さ153x奥行370mm |
重量 | 22.0kg |