Pioneer A-900
¥135,000(1979年発売)
解説
ノンスイッチングアンプを採用したプリメインアンプ。
パワーアンプ部の回路方式にはノンスイッチングアンプを採用しています。
この方式は、ハイスピード・バイアスサーボ回路によって、入力信号に応じてバイアス電流をコントロールすることによりスイッチング動作を一切なくし、スイッチング歪を抑えています。
ラインストレートスイッチを搭載しており、トーン回路だけでなく、Modeスイッチ、バランスボリュームをパスして、イコライザーアンプとパワーアンプを直結することができます。
このスイッチをonにするとBass、Treble、Mode、Balanceの各インジケーターが消え、回路をキャンセルしていることが確認できます。
信号の入口から出口まで信号系にある全てのカップリングコンデンサーを排除した、ノンカップリングコンデンサー構成を採用しています。
そのため、MCヘッドアンプ、イコライザーアンプ、パワーアンプの全増幅段にDCサーボ回路を設けており、特にMCヘッドアンプには高SN比が得られる新DCサーボ回路(PAT.P.)を採用しています。
音質に影響する箇所の抵抗、コンデンサーのリード線から一切磁性体を追放し、銅リード抵抗や黄銅端子電解コンデンサーなどを使い、磁性体によるヒステリシス歪の発生を無くしています。
小信号回路基板(MCアンプ、イコライザーアンプ)に左右それぞれ独立した定電圧電源を組み込み、大信号回路基板(パワーアンプ)も専用の定電圧電源を組み込んだダイレクトパワーサプライ方式を採用しています。これにより、コードの引き回しが無く大幅な低インピーダンス化を実現しています。
さらに、電源トランスは3個のトランスで合計6つの独立した2次巻線を各回路用に使い分けており、各回路間の相互干渉を防止しています。
また、DCサーボ回路用の電源については、MCヘッドアンプ、イコライザーアンプ基板では左右それぞれが独立して定電圧電源を使用し、この基板に供給する電源はすでに別の定電圧電源を一度通過するダブルロック電源となっています。これにより、1段目の定電圧電源で入力信号による電圧変動が多少あっても、2段目でほぼ変動は無くなっています。また、パワーアンプ基板でもDCサーボ用の電源は別になっており、合計で6ペア12の定電圧電源を持っています。
信号経路の切換えにはリレーを使い、配線の最短距離化を図っています。また、入出力端子も基板と一体となっており、信頼性と安定性を向上させています。
リレー切換えの制御回路にはICを使ったロジック回路で、電源スイッチをOFFにしても最終の使用状態をメモリーしてます。また、電源プラグへの電力供給が無くなった場合も3日間メモリーし、3日以上たってメモリーが消えた時電気を入れると、FunctionはTuner、Line Straightはonとなります。
MCヘッドアンプは、入力にスーパーローノイズFETを2段パラレル・プッシュプルで使用しており、ライズタイムやスルーレイトを高め、高SN比を得ています。FET入力とDCサーボ回路により、入力にも出力にもカップリングコンデンサーがありません。
またカートリッジロードは負荷抵抗5ポイント切換えとなっています。
イコライザーアンプは初段FET入力とパイオニア独自の新カレントミラー差動増幅(PAT.P)を採用しています。ここでもDCサーボ回路によってカップリングコンデンサーを排除しています。
カートリッジロードの切換えは、負荷抵抗、負荷容量とも4ポイントの独立切換えとなっています。
トーンアンプ回路、パワーアンプ回路にも、新カレントミラー回路を採用しており、偶数次歪の打消しを行い低歪率化を図っています。
また、パワーアンプの終段デバイスには、高域特性に優れた集団トランジスター(EBT)採用しています。
プッシュノブの周囲が光るイルミネートスイッチを採用しています。
パワースイッチは、ミューティング回路動作時は赤、正常時は緑色に点灯し、Phono1はMC時にオレンジ、MM時に緑に点灯します。
電源ON-OFF時のノイズを消すミューティングを搭載しています。
特にMCポジションでは回路が安定するまでのミューティング時間を特別に設定しています。
スピーカー出力端子、プロテクションリレー、スピーカー切換えスイッチなどは同一基板のごく近くに配置し、配線の引き回しによる影響を抑えています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ | ||||||
実効出力 | 110W+110W(8Ω、10Hz~20kHz、両ch駆動) | ||||||
高調波歪率(10Hz~20kHz) | 0.005%(実効出力時) 0.005%(55W出力時、8Ω) |
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混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.005%(実効出力時) 0.003%(55W出力時、8Ω) |
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出力帯域幅 | 5Hz~100kHz(IHF、両ch駆動、THD0.02%) | ||||||
ダンピングファクター | 60(10Hz~20kHz、8Ω) | ||||||
入力感度/インピーダンス |
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Phono最大許容入力 (1kHz、THD0.002%) |
MM:300mV MC:12mV |
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周波数特性 | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.2dB Tuner、Aux、Tape play:5Hz~200kHz +0 -3dB |
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SN比(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット) |
Phono MM:90dB Phono MC:73dB Tuner、Aux、Tape play:110dB |
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トーンコントロール | Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
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フィルター | Low:15Hz、12dB/oct | ||||||
アッテネーター | -20dB | ||||||
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||||
消費電力(電気用品取締法) | 350W | ||||||
外形寸法 | 幅460x高さ150x奥行455mm | ||||||
重量 | 22.5kg |