Pioneer A-780
¥74,800(1981年発売)
解説
スーパーリニアサーキットを採用したプリメインアンプ。
トランジスタ等の半導体増幅素子は固有の非直線性(歪)を持っています。この非直線歪に着目し、歪そのものを解消するために、スーパーリニアサーキットをパワー部の初段に採用しています。
トランジスタの非直線性と、逆モードの非直線性をもったトランジスタをペアにして打ち消す方式で、これによりトランジスタの非直線性をほぼリニアにすることが可能となっています。
この結果、裸特性が向上したため、NFBは従来の約1/1000と低減することに成功し、NFBに起因するTIM歪などの不安定要因を解決しています。
B級アンプでは、原理としてトランジスタ増幅素子をスイッチングさせています。
これにより、スイッチング歪が発生していましたが、このスイッチング歪を解決し、純度の高い音質を得るためにパワーアンプ部にノンスイッチング回路を搭載しています。
これは、ハイスピードバイアスサーボ回路によって、入力信号に応じてバイアス電流をコントロールし、トランジスタを常に動作状態に保つ方式で、これにより、トランジスタはスイッチングせず、スイッチング歪は根本的にゼロとなっています。
また、クロスオーバー歪ゼロも追求し、ペア特性の高いトランジスタを厳選し、動作点を最適ポイントに設定することにより、リニアリティの高い入出力特性を実現し、クロスオーバー歪もゼロに近づけています。
パワーアンプ部にDCサーボ回路を採用し、音質を劣化させる不要な超低域をコンデンサを使うことなくカットしています。
このDCサーボにより、AUXやTuner入力からSP出力まで一切カップリングコンデンサを使用しない回路構成を実現しており、カップリングコンデンサによる音の色づけを無くしています。
より純化された音質を求めた、ラインストレートスイッチを搭載しています。
MCカートリッジが使えるMM/MC切換え機能を搭載しています。
Rec
Outセレクターを搭載しており、Rec1、2のどの端子に録音出力が出ているか一目でわかるインジケーターを搭載しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
実効出力 | 70W+70W(8Ω、20Hz~20kHz、両ch駆動) |
高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.009%(実効出力時) 0.007%(35W出力時、8Ω) |
混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.008%(実効出力時) 0.004%(35W出力時、8Ω) |
出力帯域幅 | 5Hz~50kHz(IHF、両ch駆動、THD 0.009%) |
出力端子 | Speaker:A、B Tape Rec:150mV |
ダンピングファクター | 60(20Hz~20kHz、8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/50kΩ Phono MC:0.25mV/0.1kΩ Tuner、AUX、Tape Play1、2:150mV/50kΩ |
Phono最大許容入力(1kHz) | MM:200mV(THD 0.002%) MC:20mV(THD 0.005%) |
周波数特性 | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.3dB Tuner、AUX、Tape Play:5Hz~200kHz +0 -3dB |
SN比(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット) |
Phono MM:88dB Phono MC:70dB Tuner、AUX、Tape Play:105dB |
トーンコントロール | Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
フィルター | Low:20Hz、6dB/oct |
ミューティング | -20dB |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 145W |
外形寸法 | 幅420x高さ132x奥行423mm |
重量 | 11.9kg |